ガブリエル・ジェズスはアンリ、ベルカンプ、ヴィエラの後に続き、かつての輝きを取り戻せるか?

分析Tim Stillman,海外記事

私は、ガブリエル・ジェズスがまだブラジルでプレイしていた頃、キャリア初期から彼のプレイに注目していた。そして、この数シーズンに渡ってどこか賢いクラブは彼のことを引き抜くべきだと主張していた。

ジェズスはマンチェスター・シティに加入する直前、2016年にはパルメイラスをリーグ優勝へと導く原動力となった選手であり、19歳にしてブラジル代表デビューを果たすと、エクアドル相手の重要なW杯予選で即座に二得点を挙げてみせた。

10代でこのようなことを成し遂げられる選手は多く居ない。

そして、彼がある種"燻ぶって"おり、選手としてのポテンシャルをまだ100%は発揮できていないと感じられるのも、ジェズス獲得の魅力の一つだ。

過去のアーセナルの最高の選手獲得はジェズスと同じように、100%ポテンシャルを発揮できていない選手を引き抜くことで実現してきた。デニス・ベルカンプ、ティエリ・アンリ、パトリック・ヴィエラ。彼らは皆イタリアで苦しい時期を送っていた。

マルク・オーフェルマルスは膝の怪我のせいで市場で過小評価されていた。ロビン・ファンペルシーは態度面の問題を抱えているという噂だった。

そこまで昔までさかのぼらずとも、ほんの一年前、アーセナルのマルティン・ウーデゴール獲得は同じようなケースだと言えるだろう。彼もまた、才能はありながらもマドリードの荒波の中で輝けずにいた。

ガブリエル・ジェズスは、マンチェスター・シティで全く輝けていないというわけではないが、アレクシス・サンチェスと似たものを感じさせる。非常に才能のある選手だが、ネオンサインとミラーボールが溢れるロッカールームで、輝きが目立たないでいるキャンドルのような選手だ。

だが、ジェズス獲得は少しギャンブルの側面もあるとはいえ、リスクはかなり小さい。シティでの実績があるし、重要な試合でプレイし、4度プレミアリーグ優勝を果たしているのだから。彼はシティで立場を失ったことは一度もない。

ただし、キャリア初期にはウイングを務めていたこともあってか、セルジオ・アグエロの後継者としてよりも、サイドもこなせるローテーションオプションとしての色が強かったが。

ジェズスがシティ時代のプレイをそのままアーセナルで見せるとしても、クラブは柔軟なポジションでプレイできる良いアタッカーを手に入れるわけで、これは悪くない取引だろう。

一方で、アーセナルが賭けに勝利し、ジェズスがさらなる成長を遂げた場合の報酬は莫大だ。

ジェズスはアンリやベルカンプのように、かつては手にしていた、ゴール前での落ち着き、彼の本来の姿を取り戻す必要がある。

上で触れた通り、ジェズスはキャリア初期はウイングとしてプレイしており、パルメイラスでもサイドの選手としてファーストチームに台頭した。ロビーニョが彼のアイドルだったそうだ。

だが2016年前半には監督はジェズスを中央で起用することに決め、そこからチームを優勝に導く快進撃が始まった。そして、これに目を付けたブラジル代表監督のティテは彼にロナウドの後継者としての白羽の矢を立て、ジェズスは見事にブラジル代表でも結果を残して見せた。

言うまでもないことだが、ブラジル代表のセンターフォワードを務めることほどプレッシャーのかかる仕事はこの世界に多くない。2018W杯予選において(ずっと継続することはなかったとはいえ)、ジェズスはこの重責を見事に果たしたのだ。

もちろん、その当時期待されたほどの得点をジェズスは挙げられていない。ある程度高いレベルまで達したとはいえ彼の成長は停滞してしまったように見えた。正直になろう、もし彼がブラジル代表の絶対的なエースストライカーの座をものにし、得点を量産していたら彼はアーセナルには移籍していないはずだ。

だが、ジェズスの名誉のために言うと、例えばブラジルのファンの間で酷評された2018年のW杯でのジェズスのパフォーマンスは悪いものではなかった。

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ブラジルが敗北した準々決勝での試合でジェズスは得点が出来なかったが、私が見る限り、むしろプレッシャーに負けたのはジェズスではなくネイマールの方だった。

W杯に至るまでの2年間のブラジル代表での試合では、ジェズスとネイマールの連携は素晴らしかった。ジェズスの出来は素晴らしく、世界最高のゼロトップの一人でもあるフィルミーノに全く出番を与えなかったくらいなのだ。

だが、W杯本番で独力で局面を打開しようとし、この関係性を壊してしまったのはネイマールだった。そして、彼はこれに失敗してしまい、結果としてジェズスも孤立してしまい、輝けなかった。

もしジェズスがネイマールを輝かせる役割に徹し、ネイマールがこれを受け入れてブラジル代表が勝利を続けていれば、ジェズスの評価もまた違ったものになっていたはずだ。

例えば、このW杯で優勝を収めたフランスはオリビエ・ジルーが正ストライカーを務めていたが、彼もまた、得点しなかった。だが、チームが好調だったため、ジルーはグリーズマンを輝かせるためのプレイに徹しているのだ、というのは広く受け入れられた。

これはチームが優勝したからこそ可能だったことで、自国の代表が不調の際に、得点を決めないエースストライカーが批判を免れるのは難しい。監督から与えられた戦術面での複雑な役割など母国のファンは考慮してはくれない。

ジェズスがブラジル国内での批判に影響を受けていたのは明らかで、これに注意を払いすぎたのは彼の過ちだった。

彼は元来感情的な選手なのだ。それは、2019年のコパアメリカ決勝で退場になった際のこの彼のリアクションを見るだけでもわかる。

正直な所、ブラジル時代から抱えているジェズスのこの欠点がプレミアリーグのDFたちに未だにバレていないのが不思議なくらいだ。彼は時々我を失うことがあり、パルメイラス時代には時々退場になる選手として知られていた。

最終的に、2018年のW杯以降、ジェズスはブラジルのストライカーではもう居たくないと決めたようだった。彼は代表ではウイングに戻り、良いパフォーマンスを見せている。問題は、ブラジル代表のこのポジションにはヴィニシウス、ネイマール、ラフィーニャ、リシャルリソン、ロドリゴ、そしてマルティネッリが下り、非常に層が厚い事だろう。

そして同じように、彼はシティでも攻撃陣の中心というよりも、豪華なアタッカー陣のうちの一人、といった立ち位置となってしまった。

だが、アーセナルは恐らく、ジェズスにはサイドもこなせる器用なアタッカーというよりも、アルテタのプロジェクトの中心となるエースストライカーとなって欲しい、と期待しているはずだ。

そのためには、ジェズスは再びチームの攻撃の中心となり、得点を一手に担うという責任感を取り戻す必要がある。

私個人の意見としては、まさにこのような重要な役割を与えられることこそ、ジェズスがさらに一歩上のレベルに進むうえで必要なものだと思っている。パルメイラス時代にそうであったように。彼が10代の頃、ブラジル代表でそれを成し遂げたように。

彼がストライカーとしての嗅覚を取り戻すためには、監督からの厚い信頼が必要なのではないかと思う。

これはただの推測だが、シティではジェズスはあまりに自分にプレッシャーをかけすぎているように見え、これが決定力が高くなかったことに影響を与えた要因の一つのはずだ。

彼は、自身がアグエロに次ぐ二番手であることを知っており、出場機会が与えられた試合でチャンスを逃してしまえば、もう何週間かチャンスは訪れないかもしれないと考えていたはずだ。

もちろん、ジェズスはメインストライカーとしてではなく、他の選手を輝かせるフィルミーノ的なトップの役割をクラブ・代表の両方で非常に上手くこなしていることも事実で、私の考えは間違っている可能性もある。

だが、アルテタは、自分であれば、19歳の頃にバイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリード、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、そしてマンチェスター・シティが争奪戦を繰り広げた選手の本当のポテンシャルを引き出せるのではないかと考えていることだろう。

もしアルテタがこれに成功すれば、ガブリエル・ジェズスの獲得は大バーゲンだったということになるはずだ。

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Posted by gern3137