圧倒的注目を集めるヌワネリの裏で大躍進を遂げるルイス=スケリー
2022年にプレミアリーグ史上最年少デビューを果たして以来、ヌワネリはアーセナルファンの注目を集める将来のスターとなっている。
アルテタはどのような背景で彼をここまでの若さでデビューさせることにしたか語ってはいないが、この時アーセナルはヌワネリと契約延長の交渉を行っており、恐らく3-0という余裕のある試合展開に加えて、この影響もあったのだろう。
そこから2年が経っているが、最近ファンの間ではヌワネリにもっと多くの出場機会を与えるべきかという声が上がっている。
これはある程度理解のできることで、彼はスミスロウとビエイラが放出となった今、怪我で不在のウーデゴールに一番タイプとしては近い選手であり、確かに、いま彼の前に道は開けているように見える。
だが、圧倒的注目を集めるヌワネリの陰に少し隠れるような形で少々過小評価されているのがマイルズ・ルイス=スケリーが見せている素晴らしい成長だ。
ヌワネリと同じく夏のアメリカツアーに帯同し、彼らの先輩のセスク・ファブレガスウィルシャーといった選手たちと同じくプレシーズンをきっかけにルイス=スケリーもファーストチームでのチャンスを掴んで見せた。
もちろんアルテタがビエイラの移籍を許可したということは、ヌワネリが既に期待できる戦力だという信頼があるということの裏返しのはずだが、今季だけに関して言えばルイス=スケリーの台頭はヌワネリを上回るスピードで起きた。
先週のシャフタール戦でヌワネリの出場機会がなかったことに気をとられて見落とされがちだが、この試合でリカルド・カラフィオーリと交代で出場したのはジンチェンコではなくルイス=スケリーだった。
夏のプレシーズンでもルイス=スケリーは中に入るタイプのサイドバックとして起用されたが、実はこれはルイス=スケリーがユース時代にずっとプレイしていたポジションではなかった。
今のアーセナルが多くの左サイドバックを抱えていることを考えると一見これは奇妙なコンバートに見えなくもない。だが結果的に冨安健洋はほとんどプレイできていないし、ジンチェンコはセドリックの背番号と一緒に彼のチーム内での立ち位置までもを引き継いでしまったようだ。
また、ジンチェンコ、キヴィオル、冨安は夏の移籍の可能性もなくはなかったはずだ。セドリックの夏の退団は決定的だったはずだが、ジンチェンコの背番号変更は8/6まで発表されなかった。これは裏でクラブが彼の売却も検討していたことを示唆しているのだろう。
もしかすると、その結果が今の彼の立ち位置に繋がっているのだろうか?
いずれにせよ、現状アーセナルの左サイドバックの控えに少し空きがあるのは事実だ(結局のところ、ルイス=スケリーは30分以上リバプール戦でサラーをマークすることになった)。
中に入ってプレイできる左サイドバックというのは現代サッカーにおいても比較的新しい役割であり、市場で獲得しようと思っても、そこまで簡単に見つかるものではない。今現役の選手たちがアカデミーでプレイしていたころは、そのようなコンセプトのサイドバックは存在しなかったはずだ。
したがって、選手を獲得しようとするのではなく、若手をそのようなタイプの選手に育て上げようという試みはある程度理に適っていると言える。
同時に、ルイス=スケリーに関してもう一つ興味深いのは、アーセナルの中盤のポジションにも近い将来空きが出る可能性があるという点だ。
トーマス・パーティもジョルジーニョも既に30代で、どうやら長期的にデクラン・ライスはアンカーのポジションに収まる可能性が高そうに見える。したがって、アーセナルは中盤の層の厚みを近いうちに強化する必要があるだろう。
中に入る左サイドバックは中盤の一角としてプレイすることが多いし、これはルイス=スケリーがアーセナルにおいて最も適しているポジションがどこなのかを見つけるうえで非常に有益な経験となるだろう。
前アーセナル女子チーム監督のエイデバルも、23歳程度までは選手のポジションは柔軟に考えるべきだと語っていたが、恐らくアーセナルはルイス=スケリーがアーセナルで左サイドバックあるいはMFを務めることができるか、今後試していくことになりそうだ(もしかすると、両方のポジションを務められる可能性もある)。
これはアーセナルにとっては賢い内部リソースの活用法で、かつ若手にチャンスを与えることもできる良いやり方だ。
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