ガブリエル・ジェズスの復活?
チームの多くの主力選手にとって、プレシーズンというのはコンディションを整えるための期間だ。例えばサカやウーデゴール、ライスのような選手は仮にプレシーズン中のパフォーマンスが少々低調でもそれによって今季の彼らの行方が左右されることはないだろう(そもそもサカとライスは代表試合の影響でプレシーズンにフルで参加できてもいない)。
だが一方で、今季の行方を占うという意味でよりプレシーズンでのパフォーマンスが重要となる選手もいる。ファーストチームに食いこもうとしている若手などがそのよい例で、2019年の夏にマルティネッリが移籍してきた際にはユースチームに帯同するのではないかと見られていたが、アメリカでのプレシーズンツアーでその評価を変えることに成功した。
2010年に素晴らしいプレシーズンを送ったジャック・ウィルシャーはファーストチームでの立場を確固たるものとしたし、2004年のセスク・ファブレガスも状況は似ていた。
夏にはA代表の選手が多く参加されるトーナメントが開かれ、その分若手がチャンスを得ることが多い。
もちろん、これらのケースと同列にすべてを語ることは出来ないが、この夏のイーサン・ヌワネリについても似た雰囲気が漂い始めている。
また、若手に限らずプレシーズンは選手の復活の足掛かりとなることもある。
これに関して興味深いのがガブリエル・ジェズスだ。彼はプレシーズンのマンチェスター・ユナイテッド戦で得点を挙げ、試合後『僕は昨季プレシーズンを送れず、ひざに痛みを抱えながらプレイすることを強いられていた。その後手術もあり、そこから復帰するのは難しかった。だが、今年は違う』と語った。
💬 "I was focused to come back well and have a good pre-season. Now I’m in different shape and can play football again.”
— Arsenal (@Arsenal) July 28, 2024
Jesus on his growing confidence and the benefits of a full pre-season👇
プレシーズン中のけがは非常に影響が大きく、7月や8月に怪我をしてしまうと、その後シーズン開幕後の数か月をベンチで過ごすことになることも少なくない。
アーセナルは何年かラカゼットとオーバメヤンの共存(+ペペとウィリアン)を試したのち、ついにアーセナルにやってきたのがトップレベルでもプレイできる走力を持ち、かつ即座にチームに溶け込んだガブリエル・ジェズスだった。
だが、ジェズスは2018年のW杯の苦い思い出もあり、2022年のW杯のブラジル代表スカッド入りを果たすために、怪我を抱えているにも拘らず少し無理をしすぎてしまったようで、その代償を支払うことになった。
昨季はハヴァーツがストライカーとして好パフォーマンスを見せたおかげで、2022-23シーズンほどはジェズス不在の影響は大きくなかったため、かなり多くのアーセナルファンがジェズスのストライカーとしての質の高さを忘れてしまったようにも見える。
今年ガブリエル・ジェズスは万全のコンディションでアーセナルでの新シーズンに臨むためにブラジル代表の一員としてのコパアメリカ出場をあきらめるという決断を下した。
アーセナルのチーム総合力が上がるにつれて、ジェズスのアーセナルでの立場がシティ時代と同じようにハイレベルな前線のローテーション要員となってしまうのではないかという懸念も少々あり、究極的にはこれがジェズスがシティを去ることを決断した理由だった。
ただし、アルテタはハヴァーツを今後ストライカーで固定起用し、中盤でプレイすることがない、ということはないだろう。そして、初夏にアーセナルはシェシュコ獲得に動いていたが、彼の獲得がなくなった今、現実問題アルテタが望むようなストライカーの獲得がこの夏獲得だとは思えない。
したがって、今季はジェズスにとってチャンスの一年となるだろう。
ジェズスがジンチェンコと共にアーセナルに加わった際、彼は一瞬でアーセナルファンの心を掴んだ。当時は、まだ若いものの若手の多いスカッドの中では比較的経験豊富、という立ち位置だったが、今はもう年齢的にも経験豊富な選手の枠となっているはずで、かつ、彼の給与は『ハイレベルなローテーション要員』のものではない。
とはいえ、アーセナルにとってはジェズスがハヴァーツと交代でFWを務められ、あるいはサイドで良いプレイを見せられるような選手になってくれれば、悪くない話だろうが、一方でジェズス本人は自身がアーセナルにとって『悪くないオプション』に留まらない存在であると証明したいと考えているはずだ。
彼は19歳のころブラジル、パルメイラスでそのような存在だった。マンチェスター・シティでは多くのタイトルを勝ち取ったにもかかわらず中心選手の座を勝ち取れず、クラブを去ることになった。
ブラジルで頭角を現して以降、ジェズスのキャリアは常に『本格的なブレイク待ち』の雰囲気から逃れられていない。
もちろん、彼は今でも十分に評価されているし、アーセナルファンやシティファンに聞けば、多くがジェズスは良い選手だと話すだろう。
だが今季こそは、アーセナルのタイトル獲得のために、そしてジェズス自身のプライドのために、彼がそこからさらに一歩上、真にトップレベルの選手への一歩を踏み出すことができるのかが試されるシーズンになるだろう。
もしかすると、ジェズスが安定して力強いパフォーマンスを見せることが、アーセナルがマンチェスター・シティを一歩上回るために必要なピースとなるかもしれない。
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