シティの不正、アーセン・ベンゲルの再評価とサッカーファンが被った金銭的な損失

語ってみたTim Stillman,海外記事

マンチェスター・シティが、財務上の不正行為に関する114件の容疑で有罪とされた。

プレミアリーグの言葉を借りれば、「財務規則を順守しているように見せるため、問題となった期間中にクラブの収益を人為的に膨らませ、コストを9億ポンド以上圧縮する」行為によって、10年分ものプレミアリーグの歴史が汚されていたかもしれない、ということになる。

これはあまりにも重たく、この事実をどう受け止めればいいのかは難しい。

これはプレミアリーグというブランドに巨大な汚点を残し、再考を促す出来事だ。そもそもプレミアリーグが、これほど多数かつ重大な容疑を提起することに強くこだわったという事実は、「すべてを白日の下にさらすことこそが最善の治療薬である」という考えを真剣に実践に移そうとしていたことを常に示唆していた。

そして今や各クラブのファンは、もしこれがなかったら、自分たちのクラブの別の歴史はどのようなものになっていたのか、と、ここ17年ほどを振り返りながら考え込むことになってしまった。なぜなら、2009年から2018年までの期間に生じた影響が、これで魔法のように消えるわけではないからだ。

トニー・ピューリスは2011年のFAカップ決勝でストーク・シティを率い、シティに僅差で敗れた。彼は今週すぐに公の場で「今も不正に奪われたと感じている」と主張した。

アグボンラホールも今週、アストン・ヴィラがチャンピオンズリーグ出場権を争っていた時期に、シティがギャレス・バリー、ファビアン・デルフ、ジェームズ・ミルナーといった選手たちをヴィラから獲得したことの影響について語った。

ユルゲン・クロップがこの一件について何を思っているのかは、想像するほかない。容疑の対象期間は2009年から2018年までだが、その影響だけをその期間内に閉じた形で考えることなど不可能だ。

クロップは勝ち点90の壁を3度突破するリヴァプールを作り上げた。それにも拘らず、彼が得たプレミアリーグのタイトルは、わずか1つだった。

降格、欧州カップ戦出場権、国内カップ決勝、チャンピオンズリーグ敗退。影響範囲は際限がない。そして、シティの控訴が不成功に終わった場合、そのうちどれほどが現実の訴訟へと発展するのかは、まだ分からない。

アーセナルファンにとって、我々がこの期間をどう再解釈するかは、とりわけ興味深い。

アーセン・ベンゲルのことを考えずにはいられない。彼は1990年代初頭にフランス・フットボール界を揺るがした贈収賄スキャンダルにひどく失望し、その後日本で監督を務めることを決めた人物だ。

彼がアーセナルに残したものはいくつかの時代に分けて語ることができ、その中には他よりも良い思い出となっている時期もあれば、そうでない時期もある。

だがいずれにせよ、彼の功績とレガシーは今回の件を受けて、改めて見直されるべきだろう。ちなみに今週は、彼がアーセナル監督に就任してからちょうど30年の節目でもある。

彼が競い合おうとし、率直に言えば、多くの場合で敗れた相手のうち、チェルシーとマンチェスター・シティの2クラブは、その後いずれも重大な形で規則違反を犯したと認定された。

チェルシーによる4700万ポンド相当の秘密裏の支払いでさえ、驚くべきことに、プレミアリーグがマンチェスター・シティについて有罪と認定されたとする9億ポンド相当の偽装スポンサー契約とは、あまりにレベルが違う話ではあるが。

これはベンゲルにとって、特にやりきれない話だろう。彼はスタジアム移転に伴う費用を自ら背負い、その結果チームのために使える資金を制限され、主力選手を売却することを強いられたからだ。

アーセナルは、自分たちが勝利を目指して参加する大会のルールを尊重しながら、収益を自然な形で拡大しようとした。そのために中期的にかなり大きな痛みを受け入れ、それはトロフィーの数にも影響した。

その一方で、一部のライバルが同じルールを尊重していなかったのであれば、それはベンゲルに対する評価の一部を改めて見直す契機になるべきだ。

もちろん、それが行われたところで、相手がユニフォームの下にジェットエンジンを隠していたような状況で、相手のクラブに追いつけなかったことによって失った年月、失われた信頼、浴びせられた嘲笑をベンゲルとアーセナルがなかったことにすることはできない。

ここで「一部」と言ったのは、これがベンゲルの失敗や欠点の全てを白紙に戻すべきだとは思わないからだ。制約はあったかもしれないが、ムスタフィを獲得しろと彼に誰かが強いたわけではないし、アルムニアを正GKに据えろと強要した者もいない。

とはいえ、彼のレガシーは、全面的に書き換える必要まではないにせよ、再評価されるべきだ(ただし、とりあえず彼はまずFIFAの制服を返却して欲しい)。

ADUGによるシティ買収が行われた2008-09シーズン、ベンゲル率いるアーセナルには、後にマンチェスター・シティへ移籍することになる選手が4人いた。そのうち2人は、彼らのユニフォームを着てリーグ王者となった。

セスク・ファブレガスも、その後チェルシーでリーグタイトルを掲げることになる。(ロビン・ファンペルシーもマンチェスター・ユナイテッドで同じことを成し遂げたが、これは明らかに別の話だ。)

その影響は、目に見えない形、間接的な形でどれほど存在していたかを考えるまでもなく、目に見える形で存在していた。

そして、シティが2009年から2018年に行った違反がもたらした恩恵が、その期間の終わりと同時に突然途絶えたわけではないという前提に立つのであれば、ミケル・アルテタが現在アーセナルで成し遂げている成果についても、改めて評価し直されるべきだろう。

この判決が出る前に彼がアーセナルをプレミアリーグ優勝へ導くことができたという事実は、昨季の成功をさらに甘美なものにする。そして、マンチェスター・シティと競うことが、目に見えて明白な財政的優位性だけにとどまらず、どれほど困難なことだったのかを改めて浮き彫りにする。

アルテタはプレミアリーグで勝ち点89を獲得するチームを率いた。しかし、それでも手に入ったのは銀メダルだけだった。

もちろん、公平を期すためには、アルテタ自身も、容疑の対象となる期間の一部においてマンチェスター・シティのアシスタントマネジャーを務めており、彼の評価もまた間接的にはその恩恵を受けている、という点は指摘する必要がある。

この17年間が自分たちにとってどのようなものになっていた可能性があったのかを思わずにはいられない監督、選手、クラブは数多く存在するだろう。

さらに、これはファンにも極めて直接的な影響を与えてきた。

サッカー界が巨大な収益を生み出す時代に、競争するためのコストは大きく膨れ上がっている。そして、チケット価格、サブスクリプション料金、グッズ価格はいずれも上昇し続けている。

プレミアリーグは非常に大きな収益を生み出しているが、それでも各クラブが競争に必要な費用を賄うには足りないからだ。

そして、その金銭的な影響が行きつく先は、ただ一つの集団しかいない。サッカーファンだ。

フットボールにとって正当な収入源は、究極的にはファンしか存在しないのだから。スポンサー収入やサブスクリプション収入でさえ、我々が金を払うこと、そしてスポンサー企業の商品に我々サッカーファンが注目することを前提として、クラブに流れ込んでくるものだ。

アディダスがアーセナルに莫大な金額を支払うのは、100ポンドのパーカーに付けることを許可される大砲のロゴの見た目が気に入ってるからではない。その大砲がついてれば、我々アーセナルファンがその100ポンドを払うからである。

そして、フットボールであれ、他のスポーツであれ、他の産業であれ、本来その世界がオーガニックに生み出していない資金を大量に流し込めば、サッカー界で起きたようなことが起きる。

そのハイパーインフレ的な影響は甚大だった。そして、文字通りその代償を支払ってきたのは我々だ。

もちろん、サッカー界の強欲さという問題はマンチェスター・シティが登場するはるか以前から存在していた。そしてアーセナルも、その一端を担っている。それは誤解すべきではない。

2008年以前から、チケット価格もサブスクリプション料金も高騰していた。単にシティ登場後にその流れはさらに勢いを得て加速することになったというだけだ。だがいずれにせよ、そのツケを払うことになったのは、我々サッカーファン全員なのだ。

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Posted by gern3137