売却下手なアーセナル? 後編

分析Tim Stillman,海外記事

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そして、プレミア中位下位クラブのアプローチが変わり始めたことで、上位クラブがローリスクの投資であると考えていた、タヴァレスやロコンガといった選手たちの獲得の雲行きも怪しくなり始めている。

彼らも移籍金を伴っての放出は困難で、彼らの移籍先がプレミアリーグ残留争いを演じそうな2クラブとなったのは、彼らが多少の金銭的リスクを冒してでも降格してしまえばそれを遥かにうわ●ダメージをこうむるため、残留に全力を尽くさなくてはならないクラブであることと無関係でないだろう。

事態がこのようになってくると、そろそろビッグ6のクラブにとってこのようなローンや少額の移籍金での放出はある程度必要経費と捉えなくてはならないのではないかとも感じられる。

かつてのエジルやオーバメヤンのように、チームにはいるが全くプレイしない、という選手を生み出してしまうよりも、ある程度の損失は諦めてサンビ・ロコンガのような選手は売却してしまった方がチームにとっては良いのだろう。

もちろん、これは選手の売却においてアーセナルの改善点が存在しないという意味ではない。

ただ私が思うにアーセナルは『売却が下手』だと言われるが、売却自体はそこまで大したスキルが要求されるようなものではないだろうか。エドゥが小切手やペイパルの使い方を知らない、などといった話ではないし、単純に選手の売却交渉は選手の移籍金を決める最後のステップに過ぎない。

選手を高値で売却するかにおいて遥かに重要なのは、売却交渉自体ではなく、それまでの過程と、どのタイミングで売却するか、そのタイミングだ。

選手が他クラブにとっての魅力ある素質を備えているが、内部的にはこの選手がアーセナルでファーストチームの一員として地位を確立できないという判断が下され、かつ将来的なアーセナルのプランにその選手が含まれていない、ということが外から見てまだ火を見るよりも明らかになっていない、これが最高の移籍金がつくタイミングだ。

そういった意味では、良い売却というのは常にファンの間で議論を呼ぶような種類のものであると言える。

もし昨夏アーセナルフロントがティアニーはアルテタのサッカーにフィットしないと決断し、売却を決断していたら、ファンの間では賛否両論あっただろうが、かなりの移籍金を勝ち取れただろう、そして、タイミングとしてもそれが最適な売却時であったはずだ。

同様に、ロブ・ホールディングに関しても、1年前よりも遥かに早い段階で同様にある程度の移籍金が期待できるタイミングがあっただろう。

もちろん、他に補強しなくてはならないポジションも多く、放出そして代役の獲得を行う余裕がないため、移籍金の減少を知っていながらも、何人かの選手たちをクラブに留めたという部分はあったかもしれない。だが、ティアニーとホールディング(そしてメイトランド=ナイルズも同じだろう)に関しては、彼らが高額の移籍金で売却することが出来なかったのは、既に他クラブにアーセナルで彼らに出番がないということが知れ渡ってしまった後だったからに間違いない。

そして、今後を考えると現スカッドのメンバーでは、トーマス・パーティとエミール・スミスロウにも同じことが起きるのではないかと少々心配だ。

もし実際にパーティにオファーが届いていたのであれば、アーセナルは今夏彼の売却を行うべきだったかもしれない。既にアーセナルにはライスとジョルジーニョがいるし、彼はアーセナル移籍後常に怪我と隣り合わせで、安定した稼働が見込めていない。

今季の彼の立ち位置次第では、今夏であれば数十m£得られたかもしれない移籍金が、またしても来夏はほとんどゼロに近い、ということになってしまうだろう。

そして、アーセナルがスミスロウをクラブに留めることに固執するのも少々理解が難しい。彼は現在のシステムで、どのポジションにおいても2番手にすら入れていない。

もしこの夏アーセナルがスミスロウを売却したとしたら、恐らく多くのファンが苛立っただろうが、今の立ち位置からチームの絶対的な主力に彼が返り咲くところを想像するのは難しく、理に適った決断ではあったはずだ。

スミスロウがもう一シーズンアーセナルで練習着を着て過ごすことになれば、またしても、アーセナルは来夏少額の移籍金での売却を受け入れることになるだろう。

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Posted by gern3137