ファビオ・ビエイラに関して 後編

分析Tim Stillman,海外記事

前編はこちら:

アーセナルはELやカップ戦を通してまずビエイラをチームになれさせるつもりだったはずで、実際に今季のリーグ戦での出場機会はかなり限られている。

アルテタも以前ビエイラのユーティリティ性はチームにとって有用である一方で、彼の適応という意味ではディスアドバンテージとなっているかもしれない、という旨のコメントをしていたが、実際に便利屋的な立ち位置の選手はそれが足かせとなってしまうこともある。

トロサールのユーティリティ性はチームに多くのものをもたらし、特に彼は新チームへの適応にも問題を見せなかったが、彼は28歳と既に経験豊富で、4年間プレミアリーグでプレイした経験があった。加えて、彼が獲得された際にはアーセナルは前線に怪我を抱えており、比較的すぐチャンスが与えられた。

ある程度チームに慣れさえすれば、ピッチ内でポジションチェンジをさせることを好むアルテタの元においては、ユーティリティ性は非常に大きな武器となりうるし、異なるアングルからより多くの出場機会を得ることにもつながるはずだ。

他の若いクリエイティブな選手が抱えがちであるように、ビエイラは未だに時々試合から消えてしまう傾向にはあるが、フィジカル面ではかなり改善されているし、彼はいつ試合のテンポを上げ、キラーパスを狙い、いつゆったりと落ち着いてパスを回すべきかを学んでいるように見える。

これこそがまさにウーデゴールやエジルといった別次元のプレイメイカーが備えている素質だ。もちろん彼らの仕事で一番目立っていたのは素晴らしいアシストだが、彼らはどのタイミングでシンプルなパスをチームメイトに出し、再びパスを受けられる位置に移動して攻撃を組み立てなおすべきか判断する能力を備えている。

このような判断力は培うのに少し時間がかかるものではあるだろう。

もともとアーセナルにとって、今季はビエイラをゆっくりと適応させ、成長させるというプランだったのは間違いない。

恐らく、もし来季ビエイラがチームでより重要なポジションを占めるのだとすれば、一番見込みが高いのはグラニト・ジャカのポジションでプレイすることだろう。ウーデゴールとサカがポジションを失うとは考えづらい。

そうなる場合、ビエイラが今のジャカのように、ワンテンポ遅れてボックスに飛び込んで得点を挙げるようなプレイが出来るかどうかが重要となりそうだ。

今の所、ビエイラの本職と呼べるポジションがどこなのかは判然としないが、それはそこまで大きな問題ではないだろう。

昨季ベン・ホワイトを右サイドバックと考えていたファンはほぼいなかったはずだし、ジンチェンコはサイドバックの位置からアーセナルの中盤を変えてしまった。トロサールはウイングだがジェズスの代役を務めたし、そもそもブカヨ・サカですら最初は右ウイングの選手ではなかった。

もしビエイラが将来的に冨安やトロサールのように、高いレベルで様々なポジションでプレイできるアタッカーになれるのであれば、彼の獲得は成功だったと言えるはずだし、もし選手自身がそれ以上の立場を望むのであれば、どこか本職を一つに定め、そのポジションを勝ち取る必要があるだろう。

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Posted by gern3137