アルテタの若手に対するスタンスに関して

分析Tim Stillman,海外記事

スミスロウが契約延長を行い、背番号10を付けることが決まった際にアルテタは『自分の限界以上を要求する選手は好ましいし、もし本当にそれが可能だと信じているのであれば、こちらで限界を設定したりするつもりはないよ』と語った。

このコメントは非常に興味深いもので、アルテタ自身はスミスロウが10番をつけることに伴う責任を背負う刃部はまだできていないという風にもとれた。背番号が変わったからと言って何かが劇的に代わるわけでもないし、少なくとも監督は公の場ではそのようなコメントをするのが通例であるだけに、より驚きだった。

スミスロウは2020年の12月にアルテタのチームに組み込まれ、すぐにカギとなる選手となり、圧倒的に創造性が不足していたアーセナルを立て直した立役者となった。彼のライン間でプレイする能力はチームを一変させた。

さここからスミスロウが素晴らしいシーズンを送り、2021年のウエストブロム戦で彼が得点を挙げた後の会見でもアルテタは『だがまだこれは彼の最初のプレミアリーグのゴールだからね。アーセナルのトップ下が最高のシーズンを送った、と言えるためには15得点10アシストくらいしてくれないとね』と語った。

また、オールオアナッシングでも19/20シーズンにスミスロウをハダスフィールドにローンに送り出した際のやり取りを巡って興味深い一幕があった。

『私が彼をローンに出すと決めた時、エミールに告げたんだ、「私は君の試合は観ないからな」とね。「ローン先での君の評価だけを聞くつもりだ。選手としてではない、一人の人物としてのね。」と。』とアルテタは話した。

バログンのインタビューを聞く限り、アルテタは彼にも似たようなことを告げていたようだ。

『移籍前に、ミケルは僕に一人の大人として成長してこい、と言ったんだ。これは明確な答えがない要求で、僕なりの答えを見つけ出してほしいみたいだった。だけど、海外で暮らし始めて、少しずつミケルの言っていたことが分かりつつあるよ。ピッチ内で成長するだけではなダメで、ピッチ外でも成長しなくてはならないんだ。』

もちろん、これが革命的な新たなアイディアだというわけではない。若手がローンに出るのには、慣れ親しんだ環境から離れ、自分を試すという意味もあるのだ。

だがそれでも、アルテタがスミスロウをまるで試すかのように少しタフなアプローチをとっているのは非常に興味深い。

ユベントスとの親善試合の後に、アルテタはスミスロウに関して『ここ数日彼はトレーニングできていないが、来週にはスミスロウは復帰してくれるといいね。離脱が長かった分、本調子を取り戻すには少し時間がかかるだろう。彼はチームにとって非常に重要な選手であり、今我々は大いに彼を必要している。我々にはコンディションが整った彼にピッチに立ってもらう必要がある。』

もちろん、怪我からの復帰を急かしすぎるべきではないという意味もあるだろうが、アルテタのこのように、少々タフで試すような若手へのアプローチはスミスロウに限らずある程度一貫している。

FA杯のノッティンガムフォレスト戦の前半にヌノ・タヴァレスを交代させた後の会見でも、『チームのパフォーマンスを改善する必要があった』と述べたのみだったし、サンビ・ロコンガが出場機会の少なさに対してフラストレーションを表明したことについても『彼は自分が求めているものをピッチの上でもたらせると証明する必要がある』とあっさりとしたものだった。

そして、これは若手だけではなく、アルテタの選手全体に対する姿勢とも通ずるものがある。

ミケルが監督に就任してから3年が経とうしており、そろそろ我々は彼のことを理解してい始めているのではないだろうか。

当初、彼のこのような若手に対する厳しいともとれる姿勢は少し誤解されていた。その良い例がウィリアム・サリバとの関係性で、アルテタは『出場機会が少ない中で新たなクラブや監督、チームメイトん適応するのは難しく、彼の将来にとってマイナスになってしまうだろうと考えた。私は彼の将来のためには、出場機会が必要だと考えたんだ』とコメントしていたが、ファンから見るとこのコメントは少し冷たいものだと思われていた。

だが、18か月後の今、完全に準備が出来るまでには、ある程度アーセナルと距離を置くことも特に問題ないというアルテタの判断は結果的には正しかった。

また、2021年の秋にマルティネッリがメンバーを外れることが増えた際には現実的であり、忍耐強くあることが必要だと諭した。

『彼は私の決定を理解してくれないこともあるが、私は彼を助けるために決定を下しているんだ。彼はプレイしていない時も成長する必要がある。ベンチに座る辛さを知ることも必要なんだ。』と語り、この時もまた、ファンはアルテタはマルティネッリを評価していないのではないか、と心配することになった。

これも、アルテタの若手に対してもきちんと責任感を求めるアプローチの良い例だろう。

また、ボド/グリムト戦の後に途中出場のジェズスのパフォーマンスに対してのアルテタのコメントも非常に興味深かった。彼は『ベテランだろうが、途中出場だろうが、どのポジションだろうが関係ないんだ。ジェズスはこの数年全てを勝ち取っている。だが、それでもピッチ上で彼は全力を尽くす。彼がこのようなプレイを見せているのに残りのチームがそれに続かないわけにはいかないだろう』とコメントしたが、これは味方によってはかなり手厳しいもので、彼が他の選手にもジェズスのようにプレイしてほしいと考えており、この試合の後半チームが少し緩んでしまったことに満足していないことが見て取れた。

アーセン・ベンゲルと比べるとアルテタは選手に対してより厳格で、タフなアプローチをとっているが、彼はそれを若手に対しても緩めるつもりはないのだろう。

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Posted by gern3137