アーセナルのキャプテンに関して 前編
キャプテンというのはサッカーファンの間でよく話題になるが、アーセナルファンもその例外ではなく、特にクラブのキャプテンが相次いで物議を醸すスタイルでキャプテンの座を去ることが相次いでいる最近はよく議論の中心となっている。
2002年にトニー・アダムズがダブルを達成した数日後に15年間務めたキャプテンの座を退いたとき、その後継が非常に難しく、現実的ではない期待をされることは明らかだった。
ファンにとってヴィエラやアンリの二人はキャプテンとして良い思い出の方が多いだろうが、この2人には、部分的にはアーセナル退団を先延ばしにしてもらうことを目的としてキャプテンマークが渡された節がある。
アンリは素晴らしい選手だったことは間違いがないが、キャプテンとして特に仕事を果たしたわけではなく、ギャラスのキャプテンは大いなる悲劇だった。彼はフランスメディアに不満を漏らすことが多く、選手との対立を避けることで有名だったアーセン・ベンゲルですらも、彼からキャプテンはく奪せざるを得なかった。
その後キャプテンを務めたのはセスク・ファブレガスで、最終的には彼はバルセロナへの移籍を志願したが、彼はキャプテンとしては成功だったと言っていいと個人的には思う。
そして、キャプテンを務めた期間中に関して言えば、ロビン・ファン・ペルシーも良いキャプテンだったが、彼はマンチェスター・ユナイテッドに去ったため、それも霞んだ。
その後のヴェルマーレンはキャプテン任命とほぼ同時にポジションを失ってしまい、アルテタとメルテザッカーは良いキャプテンだったが、怪我のせいで二人ともクラブでの最後のシーズンはあくまで象徴的な意味でのキャプテンに過ぎなかった。
コシェルニーもキャプテンとしては良いチョイスだったように思うが、プレシーズンツアー帯同拒否を経てクラブ退団となり、ジャカに何が起きたかは再び語るまでもないだろう。
そして、その後のオーバメヤンも結局ウィリアム・ギャラスと同じ結末となり、冬にクラブを去ってしまった。
簡潔に言うと、アーセナルにとってキャプテンマークはまるで呪われたアイテムのようになっている。アルテタが今季終了までのキャプテンをラカゼットに任せるという決断を下すまでに6週間かかったのも驚きではない。
エメリはなかなかキャプテンを決定せず、19/20シーズン開幕後かなり経ってからジャカに任せることを決めたが、最終的にジャカはエミレーツスタジアムのファンの前でまるでハルクの様なジェスチャーを見せることになってしまった。
現在その呪いの腕輪はラカゼットが保持しているが、どちらにせよ彼も夏にクラブを去ることだろう。
暫定キャプテンを任命することで、アルテタは夏により長期的な決断を下すまでの時間を稼ぐことが出来た。今のアーセナルはまだまだ成長途上のチームだ。
選手たちの年齢も若いのだが、彼らが一緒にプレイした期間もまだまだ少ない。アルテタは向こう数か月で現在のチームを率いる素質があるのは誰なのかを見極めようとしていることだろう。
今アーセナルはチャンピオンズリーグの出場権争いを戦っており、シーズン終盤にかけて、非常に大きなプレッシャーがかかることにある。もしかすると、このような状況下で、プレッシャーに負けてキャプテンに相応しくない所を見せるような選手も今後出てくる可能性はある。
ツイッター上で『そもそもキャプテンというのはそこまで重要なものなのか』というのは時折話題になることではあるが、確かに我々イギリス人は誰が布切れを身に着け、コイントスを行うかに少々固執しすぎる傾向はあるかもしれない。
イングランドフットボールの世界では、チームを勝利に導く1人の選手の物語というのを聞かされながら我々は育つのだ。以前スコット・マレーが漫画の"ロイオブザローヴァーズ"シリーズのせいで、多くの英国人がサッカーを個人の貢献の観点でサッカーを見るようになってしまったという記事を書いていた。
我々はボビー・ムーアが1966年のW杯でイングランドを優勝へと導いたと教わるし、2005年のリバプールのCL優勝はスティーブン・ジェラードのミラクルパワーのおかげで、1999年のマンチェスター・ユナイテッドの優勝も、準決勝のロイ・キーンのトリノでの英雄的なパフォーマンスと並べて語られることが多い。
これらのストーリーが完全に間違っているというわけではないが、恐らくこれらが示しているのはキャプテンシー自体というよりもリーダーシップの重要性だろう。
例えば、トニー・アダムズは代表でのキャリアを通して、イングランド代表ではほとんどキャプテンを務めなかったが、だからと言って彼が内に秘めたリーダーシップを発揮できなかったというわけでは特になかった。
(後編に続きます)
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