ニコラ・ペペの起用法に関して

分析Tim Stillman,海外記事

この一月に5人のファーストチームの選手が去ったことからもわかる通り、アルテタが監督に就任して以降、アーセナルはかなりの勢いでスカッドの刷新を行っている。メンバー外、ローンやアーセナル側が給与を負担する形での契約解除など、少し手荒な技も駆使しての革命は続いている。

アルテタ監督就任以降、ソクラティス、ムスタフィ、エジル、コラシナツ、ウィリアン、そしてオーバメヤンがアーセナル側がお金を払ってでも移籍させる、という形となった。そして、現在ベジェリン、サリバ、メイトランド=ナイルズ、マヴロパノス、バログン、ルナルソン、ゲンドゥージがローンに出ている。

ムヒタリアンとダビド・ルイスはフリーで去り、エンケティアとラカゼット、エルネニーは夏に契約満了でクラブを去るだろう。そして、ジョー・ウィロックとエミ・マルティネスは移籍金をクラブが得る形での移籍となった。

移籍の形に違いはあるものの、これはかなりの退団者の数で、一貫してクラブ上層部は監督とテクニカルディレクターを支持してきた。

今アーセナルの手元に残っているのは非常にスリム化され、かつ監督が認めた選手たちで構成されたスカッドだ。契約満了が近いとはいえエルネニーとラカゼット、エンケティアの3人は監督から評価されている。

レノをアルテタがどう評価しているかは若干不透明ではあるが、どちらにせよ今季はもうカップ戦がなく、ラムズデールに怪我がない限りは試合出場はないだろう、

アルテタは中途半端な姿勢を許さない"0か100か"型のアプローチで、自身が認めるコミットメントを共有している選手のみで構成されたチームを作りあげたが、これに関して一人だけ例外と言えるかもしれないのが二コラ・ペペだ。

彼は前体制によって獲得された選手だし、そもそも当時の監督のウナイ・エメリですら、彼が本当に獲得を望んだのはペペではなかったと公の場でコメントしている。

ペペはアーセナルであまり愛されていない義理の息子のような扱いを受けてきている。アルテタとペペの間で何か大きな衝突が公にあったとされているわけではないが、彼ら二人は互いに利害が一致するから手を結んでいる、程度の関係性にあるように見える。もし買い手がつくのであれば、監督もペペ自身も夏の移籍を考慮することだろう。

確かにペペは時折フラストレーションの溜まるプレイを見せることもあるが、それでも才能ある選手だ。そして、チームにとって重要なことに、ペペの秀でた点の一つは相手GKが予測もしないタイミングで相手ゴールにボールをけり込めるという点だ。

オーバメヤンがいたころでも、ペペの決定力はチームトップクラスだったはずだ。ウイングでプレイするときの走り込みなどには何はあるかもしれないが、ペナルティエリアで彼の左足にボールを届けられれば、いつも観客を感嘆させるようなプレイを見せることが出来た。

そして、今季のアーセナルの得点の多くはサイドから生まれている。マルティネッリ、サカ、そして左サイドでプレイした際のスミスロウ。彼らが今のチームで最もシュート数が多い選手たちだ。

そして、ペペも多くシュートが打てる選手でもある。サカの好調により、出番が非常に限られている今季ですらも、ペペは90分当たりのシュート数は2.86本とチームトップに立っている。

そして、これはアーセナルとアルテタにとっては無視するのは非常に惜しいポイントだ。

もちろん問題は、今季の後半において、ペペをどのように活用すべきかだが、一番目のハードルが、そもそもアルテタとペペの関係性は今どのようなものなのか、という点だろう、

基本的にはアルテタはホールディングやセドリック、エルネニーといったあまり出場機会を得られていない選手たちとも良好な関係を築いているように見える。

ただし、現実的な見方をすると、監督から良い評価を得ようとするのは単に性格上の問題だけではないだろう。

彼らは皆現在アーセナルで、恐らくもし移籍した場合に他クラブがオファーするより良い条件での契約を結んでいる(ホールディングだけは例外かもしれないが、彼も昨年契約延長をしており、恐らく給与のポテンシャルという意味では今は最高レベルにあるはずだ)。

ペペがこれらの選手と異なるのは、アーセナルがペペの売却をしてもかまわないと考えているのと同じくらい、ペペ自身も移籍に前向きだろう、という点だ。

アーセナルがペペ獲得時に支払ったような額の回収は見込めないだろうが、それでもペペの売却を夏のストライカー獲得の資金に充てられるのであればクラブはありがたいと考えていることだろう。

したがって、上の"0か100か"のアプローチはペペには当てはまらないことになる。そもそもペペ側だけではなく、アーセナル側も少々中途半端なスタンスなのだ。

だが、特にそれが問題であるというわけではなく、どのような職場でもこのような状況はよくあることだ。全ての社員が100%会社にコミットしているなどということはなく、良いマネージャーというのはそのような、与えらえた仕事だけをこなし、それ以外の時間は会社のことなど全く気にかけない、というような社員からも力を引き出せるものだ。

さてでは問題は、ペペから得点を引き出すためにはどのようなかたちが最適か?というものになる。

彼がサカを差し置いて先発するべきだとは思わないし、それはマルティネッリやスミスロウについても同じだ。彼のゼロトップ起用を試してみるべきだという声もあるが、私としてはこれは機能するとは思えない。

彼は止まって足元でボールを受けようとしすぎる傾向にある。ウイングでプレイする時ですら、裏に抜けるような走り込みを見せる頻度は少ないどころか、裏に抜けるふりすらあまり行わない。

彼は基本的にタッチライン際で立ってボールが来るのを待つことが多く、そこから彼は3人ほどの相手選手を突破しなくてはならなくなる(もちろん、彼には時折それが出来てしまうだけの能力がある)。

ペペがストライカーとして起用されれば、相手のCBにとっては対処は楽だろう。そして、サカが仮に不在だったとしても、両翼にペペとマルティネッリを起用するとビルドアップへの貢献が少なすぎ、あまりうまくいかなさそうだ。

ペペは、サカあるいはスミスロウのうちのどちらかが逆サイドにいる場合に先発させるべきであるように思われる。

結局のところ、彼に最適なポジションはスーパーサブだということになるのかもしれない。ここまでのアーセナルでのキャリアでペペはベンチから4得点を挙げている。

途中出場の回数も多いことを考えると、これはそこまで素晴らしい数字というわけではないが、ペペはシーズン後半に調子を上げる傾向にあるし、アーセナルとアルテタは使える手はすべて使うべきだ。

もしかすると、夏により良い契約をどこかで勝ち取るというモチベーションがあり、かつ周りの選手を活かすのが上手いラカゼットをCFに起用したシステムでの器用であれば、もっとペペの力は引き出せるかもしれない。

どのような形にせよ、ペペを全く試合に出さずに、アーセナルが今季のプレミアリーグで4位に入れるとは思えない。アルテタとアーセナルは彼の得点とアシスト力を他の選手のプレイを乱すことなく引き出す術を見つける必要がある。

これは難しい挑戦だが、もし監督が来季CLで試合の指揮をとるのを望むのであれば、受けて立たなくてはならないものになるはずだ。

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Posted by gern3137