空中待機中のウーデゴール

分析Tim Stillman,海外記事

レアルマドリードから35m£で完全移籍でアーセナルにやってきて以降、ウーデゴールのアーセナルでのキャリアが勢いに乗っているとは言えない。

もちろん、まだパニックになる必要はないし、アーセナルが彼を獲得した背景には将来性も見据えていたはずだ。

ここまでの所ウーデゴールは7試合を先発、交代出場が4度で1ゴール0アシストという成績で、最近はラカゼットに先発を譲ることもある。

ただし、ウーデゴールは攻撃的MFでスタート位置がセンターサークル付近である一方でラカゼットはボックス手前で、下がり気味のストライカーなのでタイプが違う。ウーデゴールが不調で控えになったというよりも、ラカゼットがチームにもたらせるものが大きかったことの方が重要な要因だろう。

ラカゼットが万能型である一方で、ウーデゴールはどちらかというと特化型の選手だ。

だが、今季ウーデゴールは1アシストも記録できておらず、アシスト期待値も90分当たり0.07に留まっている。彼が守備陣を切り裂いているとは言えない。

ただし、ジャカ不在により比較的深めの位置でプレイすることが多いという点は考慮することがあるかもしれない。

ジャカ-パーティ-ウーデゴールという3人の中盤の場合、ボール前進の形が非常にわかりやすく、もしかすると、ロコンガとジャカの違いがウーデゴールへのボール供給に影響を与えている可能性はある。

今季ここまでのウーデゴールのパス関連のスタッツは彼のキャリア通して最低レベルだ。

とはいえ、我々は時折トップ下の役割を単純化しすぎる傾向にはある。アシストは確かにトップ下の活躍を示し指標だが、彼らはボランチと同じようにチームの異なるセクションを繋ぎ合わせる仕事も担っている。

6番が守備陣と中盤の橋渡しとなる一方で、10番は中盤と前線を繋ぐのだ。

こういった仕事の大部分は数字に表れず、そして特に目を引かない。メスト・エジルの活躍はアシスト数で語られることが多かった(そして確かにそれらは素晴らしいことが多かった)が、アルテタ体制下で彼が出場機会を失った時、明らかにチームは彼のボール保持時の効率の良さを失って苦戦していた。

シンプルに、エジルはボールを無駄にすることがなく、パスの受け手になれるスペースを常に見つけ出すことが出来た。

昨季ウーデゴールも示した通り、良いトップ下というのは攻撃面でチームにとっての開放弁で、ファイナルパスの一つ手前のパスにも同じくらいの価値があるのだ。相手守備陣を攻略するのはそういった、アシストの一つ前のパスのこともある。

そして、もう一つ言えるのは往々にして6番や10番の選手は既に機能しているチームをワンランク上に引き上げるために監督が最後にチームに加えるようなタイプの選手である、ということだ。彼らは独力でチームを支えるというのも、既に存在しているクオリティを昇華させることが多い。

ジウベウト・シウヴァはインビンシブルズに最後に加わったチームだったし、そして彼の加入によってあのチームは完ぺきなものになった。

私が思うに、エジルを期待外れだと考える人がいたのは、彼がチームの最後のピースではなく、再建の1ピースを担うことを要求されたからというのもあるのではないかと思う。

したがって、今のウーデゴールは空中待機中といったところだろうか。ラカゼットはこの夏に去るだろうし、その翌年はオーバメヤンが去る。ペペがアーセナルと契約延長を行うとは考えづらい。

サカとスミスロウがウーデゴールと共にチームの一員であることは間違いないだろうか、ストライカーが誰になるのかは不透明だ。

8月のウエストブロム戦後にアルテタはウーデゴールに関して『彼は周りに理解してくれて、ついてきてくれる選手が必要だ。彼はボールを持って時間を与えられた瞬間に脅威となれる選手だからね。彼は相手選手を引き付け、まとめて連れていく。ボールを持つことに自信を持っているし、ピッチのどこへでもボールを運んで行くことが出来る。彼はプレイをつなげる選手だ』とコメントした。

ウーデゴールのキャリアはレアル・マドリードで一旦停滞したが、今彼は本当に求められており、中期的な将来のプランに含まれているクラブに在籍している。

彼はチームメイトの連携を築かなくてはならないが、既にその兆しは見え始めているように思う。昨季ウエストハムで素晴らしいパフォーマンスを見せた際、カギとなったのはオーバーラップするサイドバックを見つけ出す能力だったが、ニューカッスル戦でも彼は冨安に良いパスを見せていた(この試合では冨安へのパスが最も多かった)。

後ろに控えるジャカとパーティというパートナーシップが継続できないのはウーデゴールにとってはアンラッキーだったといえる。また、最近のオーバメヤンの真骨頂は裏への走り込みというよりもむしろカットバックやサイドからのボールにゴール前で合わせることで、エジルとオーバメヤンも特に良い連携を築けたとは言えなかった。

土曜日の試合ではウーデゴールからオーバメヤンへのパスは1本しかなく、そしてオーバメヤンからウーデゴールへのパスも一本だけだった。

一方でパーティはウーデゴールに13本のパスを出しており、ウーデゴールがより攻撃に関わるうえでこの2人の関係性がカギとなるだろう、

パーティ、そして復帰したジャカ(あるいはより良い連携をロコンガと築くまで)からより多くのボールがウーデゴールに届くようになれば、彼はより高い位置を取って、自身で後ろに下がってボールを受けに行く必要がなくなるだろう。

彼が特に右側の前のあいたスペースを見つけるのが得意なのは間違いないのだから。

今季はウーデゴールにとっては興味深いものになりそうだが、先週末は再び先発の座に返り咲いており、アルテタはウーデゴールからより高いクオリティのプレイが見たいと望んでいることだろう。

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Posted by gern3137