ヴラホヴィッチはアーセナルにとって完璧なストライカーとなるだろう

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フィオレンティーナ所属で、まだ21歳と若いながら今季すでにセリエAで12試合8ゴール1アシストという数字を残しているドゥシャン・ヴラホヴィッチのアーセナル移籍がうわさされた。現在彼はヨーロッパで最も将来を嘱望されるタレントだ。今回は彼が一体どのような選手で、アーセナルに移籍することになれば、どのような活躍が期待できるかを見ていこう。


トップレベルでの台頭までの経緯

セルビア生まれのヴラホヴィッチはパルチザンと15歳でプロ契約を結ぶと、いきなり9番の背番号を与えられた。

16歳でデビューを果たし、クラブ史上最年少選手として歴史に名を刻むと、ルカ・ヨヴィッチが保持していたダービーへの最年少出場記録も破った。2か月後には初ゴールを記録し、当然これもクラブ最年少得点記録だった。このシーズンはカップ戦決勝での得点も挙げている。

2017年にヴラホヴィッチは約2m£でフィオレンティーナへの移籍の仮契約を締結し、18歳になるのを待ってから2018年に移籍した。

初年度はユースリーグでチーム内得点王になると、翌年はセリエAの適応期間といったところで、セリエAで30試合に出場し、6得点という結果だった。とはいえ、ファーストチームで19歳の選手が35試合で9得点というのは悪くないだろう。

本格的にヴラホヴィッチの名前が世界に知られるようになったのは昨季のことで、フィオレンティーナは13位と思うような成績を残せなかったにもかかわらず、セリエA37試合で21ゴールと出色の活躍を見せ、リーグ得点ランキング4位の座を勝ち取った。

今季も既に8ゴールを挙げリーグ得点王ランキング3位につけている。

ヴラホヴィッチのプレースタイル

ヴラホヴィッチは左利きで、比較的後ろのエリアでのプレイも好み、ポストプレイも得意なタイプのストライカーだ。彼は身長が190cm近くあり、体躯を活かしてボールを収めることができ、それをウイングに配給し、自身がボックス内で空中戦の強さと得点力を活かしてゴールを決める、というのが得意パターンだ。

今季8得点のうち7ゴールはボックス内で挙げられたもので、彼がゴール前で仕事が出来るストライカーであることを示している。昨季に関してもそれは同様で、21ゴールのうち20ゴールがボックス内での得点だった。

最近の4-4-2へのフォーメーション変更が示している通り、アルテタはボールを収められるストライカーの起用を好むようで、それはヴラホヴィッチがまさに得意とするものだ。

さらに、アーセナルはクロスが多いもののあまり得点にはつながらない、というケースが多く昨季は751本のクロスを入れながら21.4%しかつながらず、ヘディングでのゴールは7のみ、という結果だったが、ラカゼットが契約満了と共にクラブを去り、代役としてヴラホヴィッチを獲得するのであれば、アーセナルの空中戦での脅威は大いに上昇するだろう。

決定力の上昇

ヴラホヴィッチは成長するにつれて得点力のムラがなくなっており、シュートの平均距離が減少し、平均xGが増大している。これは彼がリーグに適応するにつれて状況判断力も上がっているということを示しているのだろう。

またもう一つの傾向として、彼は年が進むにつれてシュート数が減少しているものの、枠内シュートが増えている。そして、シュート数は減っているが得点数は増えているのだ。

彼はより無茶なシュートを減らし、確度の高いポジションでのシュートを選ぶようになっているようだ。

ヴラホヴィッチは冷静なストライカーで、フィオレンティーナ加入以降、90分当たりの得点数は急激に上昇している。継続してxGを上回った得点も挙げており、良いチャンスを逃さないタイプの選手だ。これはアーセナルにとって非常に有用な素質だろう。

ヴラホヴィッチと他のFWとの比較

リーグこそ違うが、90分当たり0.67ゴールという数字は、アーセナルの獲得候補とされる他の選手たちであるイサク(0.55)、オシムヘン(0.57)、トニー(0.18 今季のみの数字だが)を上回っている。

xGで見るとオシムヘンが実は一番高く、90分当たり0.60を記録しているのだが、彼は実得点が昨季と今季はxGを下回っている。一方でヴラホヴィッチは90分当たりのxG 0.53に対して実得点0.67だ。これも高い決定力の証拠だと考えていいだろう。

得点以外の貢献

また、ヴラホヴィッチはボール前進の際に出口となれる選手だ。彼は裏へ走ることも出来るが、同時に中盤に降りてボールを預けられるタスクもこなす。

昨季の数字でみると、彼のアタッキングサードでのボールタッチ数とミドルサードでのボールタッチ数はほぼ同じだ。ただ一方で、彼のパスは相手陣の深い位置でのものは少なく、アシスト数なども多くないのは興味深い。

また、ヴラホヴィッチは昨季プレスのスタッツもかなり高い数字(スマータースカウトで89/100を記録)を記録しており、ボール奪取こそ少なかったものの、現在のアーセナルのハイプレスのスタイルでもその体格とスピードはアドバンテージとなるだろう。

まとめ

15歳でセルビアのトップリーグでプレイしたということからもわかる通り、彼は長身で体格もよく、プレミアリーグでもフィジカル面では適応できるだろう。

ヴラホヴィッチはアーセナルにとって完璧なストライカーに見える。彼はハーランドと似た素質を備えており、オールラウンドなプレイが可能かつ訪れるチャンスを逃さない決定力のある冷静なFWだ。

彼のようなボールが収まり、フィジカルに秀で、ボックス内でも地上空中両方で得点を重ねられるようなストライカーの獲得はアルテタが必要な最後のピースとなるはずだ。また、彼はフィオレンティーナで11度PKを蹴り、まだ一度も失敗していない。

噂ではヴラホヴィッチは70m€程度で獲得が可能だとされている。どれくらい本気でアーセナルが彼の獲得に動いているのかは定かではないが、この移籍金はフェアなものに思える。

今の好調を継続し、今季終了時点でPK抜きのxGで20以上を記録しているようであれば、彼はトップレベルの選手であると証明されたといっていいだろう。彼はアーセナルにとって理想的なストライカーとなるはずだ。

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Posted by gern3137