アーセナルには得点源のバリエーションを増やすことが不可欠だ 前編
得点力に非常に優れた選手というのは、いつだってチームの戦術上のバランスを乱す傾向にあるというのは、多くの監督が対処しなくてはならない一般的に言える事実だ。
歴史上最高のアタッカーたちですら、ある程度は環境を整えてやる必要がある。メッシとロナウドには彼らが前の高い位置をとり続けられるような仕組みが必要なのだ。
PSGの監督であれば、その最も重要な仕事はネイマールとムバッペのためが前に残ることが出来る仕組みを持ったチームを作り上げることだ。
才能あるアタッカーをチームに抱えている場合、彼らの存在がチームの戦術基盤に影響を与えるとしても、彼らの得点力がそれを帳消しにできるか、監督は計算する必要がある。
そして、この多くの監督が抱えるジレンマこそがアルテタのアーセナルでの時代の後半を象徴するものだ。
アルテタの守備の構造に対するディテールの細かさ、そしてガブリエルとパブロ・マリの獲得のおかげで、アーセナルの守備は改善された。
だが20/21シーズンのアーセナルの得点数は55とリーグ9位となっており、今後このチームからどのようにしてより多くの得点を引き出すかが監督の喫緊の課題だ。
しかも、昨季のトップスコアラーであるラカゼットにはこの夏の移籍の可能性があり、それがこの問題をより切迫したものにしている。
もちろん、監督のテコ入れとはまた別にオーガニックな形で攻撃力はある程度改善される可能性はある。コンディションが整えば、サカ、スミスロウ、マルティネッリの3人が昨シーズン以上の得点を来季は挙げるだろうと期待するのは別に理不尽ではないだろう。
また、より環境と健康面での問題の少ないオーバメヤンであれば、昨季より良いシーズンを送ってくれるはずだ。
また、ウーデゴールになるのか、他の選手になるのかはわからないがアーセナルは攻撃的MFをチームに新たに加えようとしており、その選手が何点かは挙げてくれるだろう。
もしジョー・ウィロックがクラブに帰ってくるのであれば、彼のゴールも期待できる。私個人の意見としては、来季いきなりフォラリン・バロガンをプレミアリーグの得点源として計算するのは早いと思う。
恐らくアーセナルが得点力を改善するにあたって鍵となるのは二コラ・ペペだろう。
彼はオーバメヤンほどの得点数はないが、チャンスを与えられれば現状のチームで最も決定力があるのがペペではないかと思う。
アーセナルのデビューシーズンでは42試合で8得点という数字で、5試合あたり1得点に少し届かない数字だった。20/21シーズンは47試合で16得点と、ほぼ3試合で1得点だ。
これに加えてペペは19/20シーズンは8アシスト、20/21シーズンは5アシストを挙げており、これらを合わせればかなり高い水準の数字だ。
ペペは総合力と守備面で特に大きく改善しており、彼に得点機でボールを渡せる状況を作ることで、アーセナル自体が良くなったと思う。
シンプルに言えば、アーセナルは彼のもたらす得点とアシストを軽視できるようなチーム状況にない。
アルテタにとっての問題は、現在のチームのメンバーのうちでもっとも得点する可能性が高そうな4人がマルティネッリ、ペペ、オーバメヤン、ウィロックとなっている(ラカゼットが退団するという前提でだが)が、彼らを同時に起用するというのは不可能だという点だろう。
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