アルテタの4-2-3-1と4-3-3の分析 後編

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4-3-3への移行

キーラン・ティアニーの負傷を受けて、左利きで左サイドバックを本職とする選手がアーセナルにはいなくなってしまい、これがチームのダイナミクスにとっての障害となった。

その前にティアニーが負傷していた時期には、セドリックとペペが左サイドで連携を築いていたが、アルテタはこれを短期的な解決策としてか見ていなかったようだ。

アルテタはこの時期と同じシステムではなく、4-3-3を起用することを決めた。

ボール非保持時に関して言えば、4-2-3-1の時と特に違いはなく、守備時には4-4-2のミドルブロックを形成することを選手たちに求め、サイドの選手はサイドバックをサポートし、2人のCMFがCBの前のフィルターとなった。

ビルドアップ時に関しては、形としては3-2-5と同じだったが、その中で各選手が果たす役割には違いがあった。4-2-3-1の時にはスタメン表上の左ウイングは左ハーフスペースでプレイするクリエイターだったが、4-3-3ではボランチを2人起用する必要がなく、中盤にクリエイターを2人起用することが出来るため、左ウイングはより伝統的なウイングとしてプレイし、そのよい例がセントジェームズパークでの試合だ。

左サイドバックに起用されたのはグラニト・ジャカで、彼はオーバーラップする代わりに低い位置に留まり、これのおかげで大外のマルティネッリのサポートをセバージョスが上がっていって行うことが出来た。

逆側では同じような仕組みで、右のハーフスペースでウーデゴールがプレイしていた。

4-2-3-1 vs 4-3-3

4-2-3-1の方が現状アーセナルにいるキープレイヤーたちを本来のポジションで起用できる、という理由で4-3-3が用いられる頻度は明らかに4-2-3-1よりも低かった。

アーセナルにとって最も重要な選手の一人がキーラン・ティアニーで、アルテタは彼が活きるような形を用いなくてはならない。4-3-3ではティアニーは4-2-3-1ほど効果的ではないだろう。

これは4-3-3採用時にはアルテタは敵陣で2-3-5の形を作ることにこだわるだろうからで、この場合CMFがウイングと連携する役を担い、サイドバックはオーバーラップするのではなく中に入ることが求められるからだ。

ティアニーがこの役をこなすことも出来るだろうが、これは彼のパフォーマンスを最大限引き出す方法だとは言えない。彼はむしろファイナルサードマシンで、一貫したファイナルボールの質、そして1対1で相手を突破する能力はチームのチャンス創出にとって欠かせない点だ。

そして、トーマス・パーティにとっても4-2-3-1の方が相性がいいだろう。彼のデビューシーズンは良い時期も良くない時期もあったが、それでも中盤に他の選手にはないアスリート力をもたらすカギとなる選手だ。

彼はアンカーとしてもプレイできるものの、彼のボール前進力とドリブル力を考えるとダブルボランチの一角としての起用の方が適しているだろう。

アーセナルがブライトンのビスマ獲得に興味を示しているという報道も、アルテタが4-2-3-1を継続するつもりだという事を示しているように思える。

彼もまた一人でアンカーを務めるというよりもパートナーと共に中盤で起用した方が活きる選手で、パーティと同時に起用すれば、アーセナルはより高い位置でボールを奪えるようになり、相手にプレッシャーをかけられる時間が長くなることだろう。

まとめ

アルテタの4-2-3-1と4-3-3はそこまで劇的に異なるわけではないが、パフォーマンスと結果の両面でより安定している。

もちろん将来的にはチームの選手の入れ替わりに伴って4-3-3へ移行する可能性も考えられるが、現時点では、アーセナル移籍が噂される選手の特性なども考慮して考えると、4-2-3-1を用いるメリットの方が大きいように思われる。

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Posted by gern3137