アルテタはエメリと同じ罠に嵌まってしまうのか 後編
前編はこちら:
また、ピッチ内での混迷だけではなく、ピッチ外でもアーセナルはパニックと能力不足が程よくミックスされた行動を繰り返している。今週のセカンドキャプテンポッドキャストで、アーセナルが年齢を重ねているスター選手に高額の契約をオファーする背景には、アーセナルはクラブのステータスを過剰に気にしている、というのがあるのではないかとの指摘がなされていた。
確かに、最近のクラブの振る舞いは、まるで一つ一つの出来事がどのようにピッチ上に影響を与えるかよりも、それがどのようなイメージをもたらすかの方を気にしているかのようだ。
また、最近のアルテタに関してのもう一つの懸念点は、彼の発信するメッセージが混濁し始めているという点だ。
第一に、恐らくアルテタの理想のチャンス創出方法が相手のボックスに向けて雨あられとクロスを放り込むことだ、と本当に信じている人は誰もいないだろう。
また、彼は最近のアーセナルが得点できていない理由を『ゴール前での落ち着き』が足りない、と語っていたが、これはかなり追い込まれている監督の発言に感じる。
さらに、アルテタは彼の理想とするチームを作り上げるのには2,3年かかるだろうとも語っている。
もちろんこれは実現的なスパンではあるが、残念ながらアルテタとクラブが下した最近の決定との整合性がとれていない。3年後にはオーバメヤンは34歳で契約が切れる、ウィリアンは35歳でセドリックは32歳、パブロ・マリは30歳だ。
もしクラブあるいは監督が3年後を見据えてチーム作りを行っているのであれば、このような選手獲得は行わないはずだ。
ユルゲン・クロップがリバプールの監督に就任した際には、彼は自身の理想に適した選手がいなかったにもかかわらず、彼のスタイルにこだわった。
ルーカス・レイヴァ、エムレ・ジャン、サコやミニョレといった選出を放出するのに少し時間がかかったが、そもそもどういう方針に基づいてどういう選手が必要なのかという方針があれば、補強ターゲットの選定は楽になる。
もちろんアルテタはもつれだらけのスカッドを整える時間が与えられるべきだとは思うが、そもそもそのもつれの一部はアルテタ自身の責任でもある。
放出次第かもしれないが(既にアーセナルはファーストチームの主要メンバー二人が登録外となっているのだ)、恐らく可能であればアーセナルは1月の移籍市場で動こうとすることだろう。
だが、クラブはどのような選手を探せばいいのだ?どのようなシステム、どのようなスタイルに合う選手を見つければよい?年齢は?
これこそが、まずクラブの方向性を設定したうえで、それに合うピースを見つけたほうが賢いやり方だと私が思う理由だ。
アルテタに影響を与えたとされているビエルサも同じようなことを主張していたことはよく知られている。
彼はどうしても得点が必要な際、ベンチから戦術やフォーメーションの変更を指示したりはしないのだという。
なぜなら彼にとって戦術の変更というのは弱みを見せることと同義で、もしプランを変更すれば、監督自身がプランがうまく行っていないと考えているのだという印象を選手に与えてしまい、そうすれば選手たちのそのプランへの信頼が揺らいでしまうからだ。
もちろん、アルテタに公平を期すために言うと、ガブリエルとトーマス・パーティは良い補強に思えるし、アワールの獲得を望んでいたということは、チームにクリエイティビティが欠けているということもよく理解しているということだろう。
しかし、アルテタとエドゥがクラブの将来的な設計図を頭に入れたうえでクラブを運営していくのは必要不可欠だ。
それがなければ、年老いたスター選手を獲得したり、彼らに必要以上の高級を支払ったりという同じ過ちを繰り返すことになってしまう。
アルテタは監督就任時の会見で『すべての選手に対して、私が行いたいこと、そしてそのやり方に納得してもらわなくてはならない。ここから異なるプロセスが始まるのだと受け入れてもらうつもりだ』と語ったが、手遅れになる前に、ミケル・アルテタはそのプロセスが具体的にどのようなものなのか決める、あるいは思い出す必要がある。
どこかに向かって泳ぎ始めなくては、あとは沈んでしまうしかないのだから。
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コメント一覧
全て今夜解る。何か手を打ち、選手が死力を尽くす。はっきり言えば走り方ひとつでわかる。選手が正しいと思うなら瞬く間に答えは出る。
>ウィリアンは35歳でセドリックは32再
この二人はサンジェイ案件だったのでアルテタは関係ないとおもいますよ。