アルテタはエメリと同じ罠に嵌まってしまうのか 前編

語ってみたTim Stillman,海外記事

結果論的な言い方をするのを許してほしいが、私がエメリとアルテタのアーセナルを見ていて学んだのは、一貫した哲学や方針にこだわることの重要性だ。

これは、元から私が抱いていた考えというわけではない。アーセナルの監督は22年間代わっておらず、新監督はどのようなアプローチで臨むべきか、などということは全く考えたこともなかった。

監督就任後初の記者会見で、ウナイ・エメリは彼のビジョンを披露しアーセナルファンを喜ばせた。

私のアイディアは、チームに主導権を握らせることだ。この方針でどんな相手にもプレイしたい。ボールを保持しているときにはハイインテンシティなプレスを行いたい。主導権を握るうえで二つの点が重要だ。ボール保持と、ボールを保持していないときのプレスだ。

そして、エメリはアーセナルでの最初の4試合では、恐らく彼が最も好んだと思われる4-2-3-1を用い、エジルを右、オーバメヤンを左、ラカゼットをトップ、そしてその後ろにラムジーという形を採用した。

エメリはラムジーとラカゼットのペアをプレスの要員と見ており、エジルとオーバメヤンが中に入りボックス型を作りサイドバックが上がるスペースを空ける、という方針だったのだろう。

もちろん、これは理想的とは言えなかった。オーバメヤンは典型的な左ウイングではなかったし(2年半たってもまだ彼は左サイドでプレイしているが)、ラムジーはトップ下というよりどちらかというと攻撃的なボランチで、エジルは右サイドのFWというよりもトップ下の選手だ。

自分に与えられた役割が本当に適していたのはラカゼットのみで、すぐにエメリは現在のチームに彼の理想とする4-2-3-1をプレイするための選手がそろっていないことに気づき、色々とチームをいじり始めた。

結果的には、考えられうる地球上のありとあらゆるフォーメーションを試した末に、選手たちは混乱してついていけなくなり、監督は彼らからの支持を失った。

一方アルテタは、就任会見でそこまで戦術的な話はせず、どちらかというとよりメンタル面に言及した。

全員を支えあえるような文化を作らなくてはならない。正しい文化がなければ、難しい時期には樹は揺さぶられてしまう。私の仕事は全員にこれが我々のやり方だと納得させることだ。

アルテタは当初はこの約束通り、完全に迷子になっていたクラブを立て直した。アーセナル丸を落ち着かせて修繕し、クラブに居場所がないかに思われていた選手も復活させた。

彼のアーセナル初戦となったボーンマス戦ではフォーメーションは4-2-3-1で、トレイらとジャカを中盤の底に置き、前にネルソン、エジル、オーバメヤン、トップにラカゼットという形だった。

エメリと同じようにアルテタもまた、就任してしばらくはクラブの成績を上向かせ、だがすぐにアーセナルの守備の改善というタスクの大きさを実感するに伴ってポジティブなエネルギーは消え、またチームをいじり始めた。

アルテタは守備の懸念点を消すためのチームを構築する必要に迫られ、それは達成したものの、今度は攻撃の迫力が失われてしまった。

今のところまだアルテタはエメリほどフォーメーションをいじりまわしているわけではないが、少なくとも私にとっては、今の状況はエメリ時代の終盤と似た空気感が感じられ始めている。

アルテタはアーセナルの中盤と前線の間が空いているのが問題だと認識しているはずだが、この問題を解決するのに手こずっている。

また、アーセナルにそろっている選手の技術レベル的に相手を押し込んでプレッシャーをかけ続けるような戦術も難しいと感じているようで、現時点でのアルテタの解決策はサイドにボールを運びひたすら中に入れ続ける、というもののようだ。

つまり何が言いたいかというと、現在のアーセナルはアルテタがアーセナル監督就任序盤で目指していたようなサッカーとは全くかけ離れたスタイルでプレイしている、ということだ。

もちろんこれはある程度は当然で、相手チームに研究され、それに対する対策を打ってくるので、少し変化させる必要はある。

だが、この二年間のアーセナルを見るに、そう言った場合に監督が行うべきことは、プランAを捨て去ることではなく、現状のプランの完成度を研ぎ澄ませることであるように思う。

私が懸念しているのは、アルテタはエメリをアーセナルから吹き飛ばしたのと同じサイクロンに足もとをとられつつあるのではないか、ということだ。

今アルテタが率いているのは、アーセナルフロントの能力不足、契約管理の不手際と誤った人物に信頼を寄せたことによって生まれたひどいバランスのチームだ。

そもそも今のチームに最適なフォーメーションを見つけ出そうという試みが不可能に近いというのはエメリの時代を思い出してみればわかる。

存在しないものを探そうと時間を無駄にしていては、濁流にいつか飲まれてしまうだろう。

(後編に続きます)

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Posted by gern3137