【戦術コラム】アーセナルの憂鬱とウルブズ戦での機能不全 後編

スタッツ・戦術Lewis Ambrose,海外記事

前編はこちら:

また、アーセナルは攻撃時も守備時と同じくらい鈍重で受け身だ。90分当たりの自陣のディフェンシブサード内でのタッチ数はリーグ4位で、あたっキングサードでのタッチ数はリーグ12位となっている。

なにより、今のアーセナルはリスクを冒すことを恐れすぎている。

タックル企図数が最小というのはチームがポジション外につり出されるのを恐れていることの証拠だが、これによりむしろアーセナルは多くの不利益を被っている。

そして、同じようなことが言えるのがドリブル突破で、アーセナルのドリブル突破数はリーグ18位で、同じような傾向が見て取れ、かつこれにより対戦相手にとってアーセナルは守るのが簡単なチームとなってしまっている。

パス企図数自体はリーグ8位であるにも関わらず、パスによるボール前進距離はリーグ15位で、ボールロスト数はリーグ2番目の少なさだ。これもアーセナルがリスクを冒すことを恐れていることの証明だろう。

もちろんアルテタもこれを手をこまねいて見ていたわけではなく、いくつかチームに変更を加え改善を試みた。

オーバメヤンを中央に置いたり、ウィロックを中盤で起用してみたり、などだ。だが、どちらかといえばこれによりアーセナルの攻撃はさらに鈍化した印象で、どんなメンバーと布陣で臨もうとも、アーセナルが相手にとって危険なエリアで全くボールを持てていない、というのは変わりない。

サイドに多く選手を配置し(中央よりゴールから遠い位置ということだ)、不必要な時ですらビルドアップに人数を多くかけるのはチームの方針ということなのだろう。そしてアーセナルはまさにこのようにウルブズ相手にプレイしたが、これは機能していない。

前でボールを受ける選手がいないのだからアーセナルがボールを前に進めるのに苦戦するのも当然だ。

例えばこの下の画像の場面で、セバージョスがガブリエルからボールを受け取ることに何の意味があったのだろうか?どう考えても、フリーのガブリエルにそのままボールを運ばせ、自身はライン間でパスを受けるオプションとなったほうが得策だ。

また、今度はこちらの場面のように、アーセナルのフィールドプレイヤー10人のうち8人がウルブズの選手たちの後ろに立っている状態で、ボールを持っているティアニーはいったいどうすればいいというのだろうか?このような状態からどうやって相手選手たちをかわせばよいのだ?

アルテタがフォーメーションや先発する選手を変え、リーズ戦に至っては相手のプレスをかいくぐろうとさえしたというのに、攻撃時に選手たちがどのようにスペースを活用しようとするかだけはほとんど変えようとしないのは深刻な懸念だ。

アーセナルが現在のプレミアリーグで最もクロスが多いチームになっているのも当然だ。前線の中央には中盤からパスを出せる選手がいないのだから。サイドに出すしかない。

我々がELで何度も目撃している通り、本来ジョー・ウィロックはハーフスペースや中央に入り、チームの攻撃時のオプションとなるのに向いている選手だ。

ヨーロッパリーグの試合での彼のボールタッチの位置を見てほしい。

あるいは、リーズ戦でも良い。

だが奇妙なことに、日曜日の試合ではウィロックはサイドに張り付いており、主にサカとティアニーと連携する場面が目立った。

もちろん、そもそもアーセナルの攻撃が機能するためにはウィロックの覚醒が不可欠、という状況まで追い込まれること自体がアーセナルの窮状を象徴しているが、仮にそれを期待するのであれば、少なくとも彼が得意なポジションで起用してやるべきだろう。

彼が実際に下がってボールを受けに来た際も無視されることが多く、これはおそらく監督の戦術が、できるだけサイドにボールを振り、クロスを入れる、というものだからなのだろう。

上の場面でウルブズのCBは中にようやくボールを受けられる良い位置まで降りて行ったウィロックにパスが出るのを警戒してついて行くかどうか迷うそぶりを見せた。

今のアーセナルには、このようなプレイがあまりに少なすぎ、このウィロックのプレイは、このようなポジション取りでいかにして相手守備陣の配置を乱すことが出来るかの良い例だ。だが残念なことに、結局彼にパスが出ることはなかった。ここからサイドに振ったアーセナルは結局活路を見いだせず、ボールを後ろに戻すこととなっている。

もちろん、サイドに人を集めるという戦術そのものが間違っている、というわけではない。それにはそれなりの利点がある。

だが、今のアーセナルはそれを全く生かせていないのだ。例えば、この下の画像のような場面でオーバメヤンがクロスを上げる、というのは全く持って筋が通らない。

サカに縦に走りこませたほうが遥かに得策だし、仮にそこにボールがつながらなかったとしても、サカが一人相手DFを引き付けることで、中でクロスを待ち構える選手は一人減ることとなる。

また、一方のサイドに相手を集めたところで、その後サイドチェンジをして、片側に相手選手を集中させたことを生かさないのであれば、それに一体何の意味があるというのだろうか?

上の場面では、セバージョスがベジェリンにボールを返し、彼がネルソンへと渡したが、ネルソンは相手に囲まれ、タッチが大きくなったところをボールを奪われてしまった。

この間ほかの選手たちはボックス内でただ待っていただけだ。ティアニーはフリーでもあった。

このような場面は最近のアーセナルで何度も見られ、特にアーセナルのパス回しが遅すぎることで、この問題は悪影響を与えている。

もちろん、必ずしも一本のパスでサイドチェンジを行う必要があるわけでもなく、前線により動きがあれば、アーセナルはウルブズのニアサイドのDFを引き付け、オーバメヤンやウィロックへのスペースを開けることが出来たはずだ。

上の画像の場面では、オーバメヤンが相手の左サイドバックを引き付けており、ネルソンがフリーになっているが、サカ→ジャカ→セバージョスとゆっくりとボールを回している間にウルブズはより広がってアーセナルの攻撃陣に対処できるようになってしまった。

この場面で左サイドでのプレイを効果的にするには、ウィロックとティアニーはウルブズの守備陣により負荷をかけるようなプレイを見せる必要がある。

選手たちに動きがあれば、守る側は判断を強いられる。もしセバージョスやベジェリンが上がっていったらネトはついて行くべきか、見送るべきか?

もしウィロックが中に入るのであればボリーはついて行くべきか?もしオーバメヤンが斜めの走り込みを行ったら、だれがついて行くべきか?あるいはネルソンが横に動いたら2人のDFのうちどちらがついて行けばよい?

このように、アーセナルが相手の守備選手たちにこのような課題を与え、相手に考えさせることを強いるようなプレイを見せない限り、アーセナルの攻撃は改善しないだろう。

既に4バックも試したし、オーバメヤンの中央起用も試した。ウィロックも起用した。何人かの選手をメンバーから外したりもしてみたし、そして彼らを復帰させたりも試してみた。

アルテタは何らかの形で多くのゴールを決めないといけないということはわかっているはずだ。そのためにはアプローチを変え、選手たちが中央でプレイする機会を増やそうとしなくてはならない。

かつてペップ・グアルディオラは『フォーメーションなど電話番号のようなもので、何か意味のある数字ではない』と語った。

スリーバック、フォーバック、2人の中盤、3人の中盤、結局のところ、フォーメーションをどういじっても、アーセナルは根本的なアプローチが変わらない限り、改善されることはないだろう。

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Posted by gern3137