【戦術コラム】アーセナルの憂鬱とウルブズ戦での機能不全 前編

スタッツ・戦術Lewis Ambrose,海外記事

ウルブズ戦後の会見でアルテタは『我々は現在の状況を改善するために全力を尽くしているが、3日毎に試合がある状況ではほとんど時間をとることが出来ず、なかなかにそれは難しい。』とコメントした。

アルテタ自身がアーセナルのチャンス創出の課題を認めており、それを解決するのが彼の仕事だと認めているのはポジティブではあるが、実際に彼がそれを成し遂げられるかどうかは時間がたってみなければわからない。

アルテタには同情すべき点も数多くある。

過密スケジュール、プレシーズンの省略などにより、アルテタがチームに変革をもたらすための準備期間はほとんどなかった。

だが同時にクラブの方針は32歳のウィリアンを獲得し、31歳のオーバメヤンに巨額の契約をオファーするという短期的な将来を見据えたもので、アルテタが即座に結果を出し始めなければ、これらの資金はどぶに捨てたも同然となる。

クラブは必ずしも短期的な将来のための投資を行わないこともできだが、実際にはクラブはリスクを冒す決断をし、結果として現在アーセナルは非常に悪い成績を収めている。

問題は、我々が本当にアルテタがアーセナルがより多くのチャンスを作り出せるようにできるかわからないという点だ。

アルテタの手元にあるのは最高のスカッドだとは言えないが、かといって、現在の10試合で10得点というのが限界のはずもなく、はるかに良い結果を収められるはずだ。

去年のアーセナルですら、完璧とは言えない選手たちを抱えながらも、リーグ5位のシュート数とリーグ8位のxGを記録していた。

一方で今季ここまでのアーセナルの得点数リーグ16位で、xGも12位となっている。

アルテタ今のアーセナルの攻撃を立て直せるだろうか?

あるいは、そもそもアーセナルはアルテタが監督に就任して以降何か改善されたのだろうか?実際のところは、FA杯の優勝などにより覆い隠されてしまったが、同様の兆候をアルテタアーセナルのスタッツは当初から示していた。

エメリの22試合無敗の時期が実際のパフォーマンスと一致していなかった際と似た現象で、その後彼のチームがどうなったかは言うまでもないだろう。

昨季エメリ体制下のアーセナルは混とんに投げ込まれ、ユングベリ、そしてアルテタが後を引き継いだチームの最重要課題は、いかにして相手にオープンな展開を作られる場面を減らせるか、というものだった。

アルテタもユングベリも、ある程度はこの解消に成功した。

19/20シーズンのエメリ体制下ではアーセナルは、一試合当たり16.5本のシュートを許していたが、昨季の時点でそれはすでにユングベリアルテタともに一試合当たり13.8本まで減少させることに成功した。

そして、今季はさらに減り、12.8本となっている。とはいえ、これでもまだリーグ7位でそこまで素晴らしいとは言えず、それにも関わらずアーセナルはかなりの対価を支払うこととなっている。

エメリの1年目は90分当たりのxG(得点期待値は)1.5で、これは実際のところ、アーセン・ベンゲル最終年の1.66と比べて若干減った程度だ。

だが、19/20シーズンのエメリ解任までの期間にはそれが1.35に減り、ユングベリ自身が認めた通り、彼がアーセナルの守備を引き締めるのに注力したため一試合当たり0.97へと大きく減少し、そして、アルテタ体制になってからは1.41と持ち直した。

正直なところ、アーセナルが失ったものと手に入れたものを比べて、その価値があったとはとても言えない。とはいえ、一試合当たり1.41でも今季のアーセナルの1.13と比べれば遥かにましだ。

また、xG以外の観点からみても、今のアーセナルが非常に受け身で、動きが鈍いことが表れている。

現在のアルテタのチームの成功プレス数はリーグでワースト2位だ。リーグ最下位はシティだが、彼らはそもそも対戦相手にボールを保持され、パスを回される機会が少ない。

一方で、アーセナルは被パス数もリーグ7位と多い。また、シティは比較的ファイナルサードでのプレス数は多いが(リーグ9位)アーセナルはそれも多くない(15位) 。

アーセナルはタックル企図数・成功数ともにリーグ最下位で、守備時のアーセナルがいかにアクティブではないかということを示している。

簡単に言えば、アーセナルは相手チームを苦しめることを全くしない。我々が体験したようにリーズのようなチームとは違い、アーセナルのプレスは今のところ緩すぎ、ボールを奪うのにレベルが足りていない。

もしかすると、プレシーズンなどチームに戦術を仕込む時間が十分になかったことで、アルテタはできる限り前でボールを奪おうとするよりも、ある程度後ろでボール奪取を狙うほうが安全だと考えたのかもしれない。

だが、その結果アーセナルは押し込まれる場面が増え、ボックス内で守備をする時間が多い。

これには攻守両面でデメリットがある。

まず、アーセナルは深く引き、整備された組織で相手を跳ね返そうとするため、アーセナルは押し込まれすぎることが多く、セカンドボールを奪取できる選手や、カウンターの脅威が全くない。

下の写真では、自陣の18ヤード以内にアーセナルの選手が8人もおり、ガブリエルが跳ね返したボールは移っていないが画面の左の外側のウルブズの選手に再び拾われてしまった。

ここまで多くの選手が自陣深くに押し込まれてしまえば、ボールを奪ってもカウンターに移行することはできないし、当然ながらクリアしたボールは再び相手に拾われることとなる。

リバウンドを拾われると、どれだけボックス内にアーセナルが選手をそろえていても、遅れて到着する相手選手がフリーになってしまうという場面が出現する可能性が高まる。

アストン・ヴィラ戦で取り消されたゴールで顕著に表れていたが、この場面で最も問題なのは、この時点で既にアーセナルの選手ほとんどが自陣に戻っていた、ということだ。だが、だれもタイトにプレッシャーをかけたり、ニアポストへのボールをブロックしたり、マクギンへのパスをカットしようとしていなかった。

人数こそいるが、上の場面でベジェリン、ティアニー、パーティ、オーバメヤン、ウィリアンは何か守備の役に立っているだろうか?

いくら彼らが自陣に戻ってくることを選択したといっても、このようにただ立ち尽くし、相手にスキを突かれているようでは意味がない。それこそシステムの再点検が必要だろう。

(明日の後編に続きます。後編は攻撃面の話がメインです。)

Source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):

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Posted by gern3137