グラニト・ジャカの重要性と限界 前編

語ってみたTim Stillman,海外記事

現代のインターネット全盛の時代において、最もフラストレーションがたまることの一つが、多面的なものの見方があまり理解されない、という点だ。本来。2つの一見矛盾しているように見えるものの見方が同時に事実であることも多々ある。

人生というのは複雑なもので、そのすべてを包括的にカバーするような答えというのはなかなか見つからないものだし、実際には対立しあう意見が両方とも一理ある、ということだってある。

これは、今回のコラムのテーマであるグラニト・ジャカにも当てはまる。ジャカは今のアーセナルにとって非常に重要な選手だ。だが、同時に欠点を抱え、彼を活かすには戦術的な策が必要となる選手でもある。

アルテタがアーセナルにやってくる前には、ジャカの限界は特に顕著に露呈していた。最終的にクリスタル・パレス戦でファンとジャカの亀裂は決定的なものになったかに見え、1月の移籍は避けられず、アーセナルでのキャリアは終わったかに思えた。

しかし、アルテタがジャカの慰留に成功する。

恐らくグラニトは非常に感情的な選手で、時折それに流された決断をすることがある。もちろんジャカにとっては余計なお世話だろうが、アーセナルがいかに低迷しているとはいえ、アーセナルからブンデスリーガ10位のヘルタ・ベルリンへの移籍というのはあまり賢いキャリアパスとはいえないだろう。

アルテタとジャカの気があるのは当然と言えば当然で、アルテタも現役時代は同じように、その活躍が過小評価されることが多い深い位置でのプレイメイカーだった。機動力を備えていないという点も同じだ。

ルーカス・トレイラのような相手の攻撃を刈り取るタイプの守備的MFは今の時代では少しずつ居場所がなくなりつつある。この点では欧州トップクラスともいえるカンテすらチェルシーではジョルジーニョ、コバチッチ、ギルモアに後塵を拝しているのだ。

もちろん、ランパード自身の成功が後ろに控えていたクロード・マケレレに負うところが大きいのは少し皮肉なところではあるが。

アルテタは、このような深い位置でのボール配給型の選手の先駆けともいえる存在であり、ヴェンゲルはフラミニやコクランといった守備的な選手よりもアルテタを起用することを好んだ。

アルテタの監督としてのここまでの功績の一つは、選手たちの守備時の戦術的な負担を減らすことに成功したことで、例えばムスタフィはこの恩恵を大きく受けた。ムスタフィはカバーしなくてはならない範囲が減ったことで、30mダッシュした末にスライディングに飛び込む誘惑と戦わなくてはならない頻度が減ったからだ。

当初はアルテタはジャカを左CBと左CMFの間のようなポジションで起用しており、これには二つの利点があった。その一つはサカの後ろを守ることで、彼がWBとして前線に駆け上がっていく際にジャカがその後ろをカバーすることとなった。アルテタはサイドバックに中に入らせることが多いが、この作戦はむしろ逆で、ジャカを守備陣に組み込む形となった。

だが、この起用はサカを守るためだけの物でもなかった。より後ろの位置でプレイすることで、ジャカは相手のプレスをあまり受けずにボールをさばくことができる。

ジャカはプレス耐性があまり高い選手だとは言えず、基本的にボールをうしろ向きに受けないといけないような状況を苦手としている。彼はターンで相手をかわしたりすることができないし、アスリート力の欠如と右足を使えないことが相まって、ジャカにプレスをかけるのは非常に相手にとってたやすいからだ。

その後最終的に、ティアニーとコラシナツが怪我から復帰したことに伴って、ジャカは再び中盤に組み込まれることになる。サカが左WBを務めることがなくなったからだ。

しかしそれに伴って、ウナイ・エメリと同じように、アルテタもジャカのベストポジションを見つけるのに少し苦戦することとなる。これはジャカの能力を象徴しており、彼は未だにアーセナルで本当に機能する相方を見つけられていないのだ。

唯一上手くいったのは、3バックという安全の担保が後ろにある状態でのラムジーとのコンビだが、トレイラやゲンドゥージといった選手たちはジャカの横では輝けなかった。

リーグ再開後はアルテタはジャカをセバージョスと組ませ、これは上の二人とのペアよりははるかにうまくいったと言える。

だが、この組み合わせにも欠点はある。やはりアスリート力が欠けているのだ。(ジャカがアスリート力を欠いているせいで、アスリート力の高い選手を相方に起用するのが必要条件となってしまっている)

その結果、ジャカとセバージョスのコンビが輝ける状況は限られている。彼らは、アーセナル試合の主導権を相手に渡し、深く構えてカウンターでチャンスを狙う、といった状況では素晴らしいパフォーマンスを見せた。

しかし、このペアは二人ともチャンス創出力とアスリート力が高くはなく、そのせいで、アーセナルがイニシアティブを握り、相手を崩さなくてはならないような試合ではあまり機能しない。セバージョスもまた本質的には、ジャカと同じように深い位置でのプレイメイカーというタイプだからだ。(相手をかわすのが上手く、ジャカほど一面的ではない、という違いはあるが。)

(明日の後編に続きます!)

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Posted by gern3137