ブラジルコネクション 後編

分析Tim Stillman

(この記事は前編の続きとなっています)

さて、ではこれらのことが、アーセナルと何の関係があるのだろうか?

この夏、アーセナルは18歳のブラジル人マルティネッリを獲得した。ガブリエルは非常に面白い逸材だ。トップレベルでの実力は未知数だが、ブラジル4部では既に1年半近くレギュラーとして出場している。

多くのヨーロッパのユース選手とは違い、彼は観客のほとんどいない手入れの行き届いた芝のピッチでプレイしてきたわけではない。彼は恐らく体格はあるがプロになるには技術やセンスが足りない屈強なブラジルの大人たち相手に、でこぼこのピッチでプレイしてきたのだ。

この夏以前にもバルセロナやユナイテッドの練習に帯同していたが、彼は18歳になるまでヨーロッパ行きを待つことを決めた。

マルティネッリがアーセナルに加わってから、より知名度の高いブラジル人が二人アーセナルに加入した。経験豊富なCBのルイスと、テクニカルディレクターのエドゥ・ギャスパーだ。これはマルティネッリのイングランドでの生活にとって非常にポジティブなものになるだろう。

ルイスは既にイングランドのブラジル人サッカー選手たちのコミュニティの中心とされているし、恐らくマルティネッリがウィリアン、フェリペ・アンデルソン、リシャルリソン、フィルミーノといった面々に紹介されるのも近いだろう。このような母国との繋がりは、彼のイングランドでの生活を楽にしてくれるはずだ。

ルイスは非常に好感の持てる、ロッカールームで人気がある選手として知られているし、既にマルティネッリについて『彼と一緒にチームで助けてあげられるのはいいことだね。僕の世界中でのサッカー経験についても分かち合って、ここで一緒に偉大なことを成し遂げられればいいと思う。』とコメントしている。

ルイスがマルティネッリの兄のような存在になれるとすれば、エドゥは面倒見の良い叔父のような存在だろう。彼は既に、選手たちとより積極的にかかわっていくアプローチを好むと口にしている。

『私はオフィスでずっと仕事をして、スタッフが伝言に来るのを待つようなタイプではないよ。私は色々なことに関わりたいし、選手たちと一緒に仕事をしたい。』

そして、エドゥはマルティネッリのことを既によく知っている。ポッドキャストで私が先日話した通り、エドゥのブラジル代表での重要な仕事の一つが、二重国籍を持つ選手たちに早い段階で接触することだった。ジエゴ・コスタやチアゴ、ジョルジーニョといった選手たちがブラジル代表を選択しなかったことで、このような事態が再び起こるのを避けるべく、ブラジル人の若者たちに彼らはブラジル代表から気遣われており、大切にされているという印象を与える役目を担っていたのだ。

この戦略の一部として、夏のコパ・アメリカの直前に、マルティネッリはブラジル代表のトレーニングに招かれ、帯同していた。彼はイタリア国籍も保持しており、もし本人がその気であれば、将来的にイタリア代表を選択することも出来る。もしかすると、ブラジル代表に彼を招く選択をした際には、エドゥの頭の片隅にはアーセナルのことを考える気持ちもあったかもしれない。

これが、エドゥが選手たちと親密な関係を築き上げていくタイプだという証明でもあるし、またマルティネッリにとってこのような存在がクラブにいるのは心強いはずだ。

移民の多くは、母国の文かと定期的に触れ合うことで心安らぐものだが、ブラジル人にとてこれは特に重要なのだ。例えば、シャフタール・ドネツクはブラジル人選手がウクライナでの生活に適応できるようにするためのプログラムに、巨額の出資をしている。

マルティネッリのキャリアにおいて、エドゥとルイスの存在が非常に重要になるかもしれない。

(Source:
https://arseblog.com/2019/08/brazilian-big-brother/ )

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Posted by gern3137