ラヤがアーセナルにもたらすもの 後編
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そして、ラヤをラムズデールの代わりに起用するというのもその方針の一環で、より感情的で混沌とした試合の要素、そしてボールロストの回数を減らすためのものだろう。
昨季のラムズデールのパス瀬郁夫率は68.5%だったが、今季ここまでラヤは84.7%を記録している。もちろん、何度か言っている通りまだまだラヤの出場試合数は少なく、アンフィールドやエティハドスタジアムでの試合を経験していないというのは考慮に入れる必要はあるが。
昨季ラムズデールは90分当たり5.16本のショートパス(FBrefの定義では、これは5ヤードから15ヤードの長さのパスだ)にトライしていたが、ラヤは今季その倍以上、10.7本にトライしている。
方針の違いは明確で、アルテタはラヤに、相手のプレスを呼び寄せ、相手を引き延ばしたいときに第3のCBのようなプレイを求めているのだろう。これに関して、ラムズデールはラヤに一歩劣ってしまう。
トッテナム戦で彼らは何度かラヤの逆足である左足にプレスで追い込むことに成功し、そこから何度かボールを奪取した。だが、その次のボーンマス戦でアーセナルがとった策は象徴的だった。
ラヤはトッテナム戦よりもさらに後ろへと下がり、ボーンマスのプレスをおびき寄せるようなプレイを見せたのだ。
アーセナルがボールを回している際に、ラヤがとるポジションは大きく二つに分かれる。
ジンチェンコが中に入り、ガブリエルがサイドに張り出していくような形の場合は、サリバとガブリエルの間、左CBの位置でプレイすることが多い。
ボーンマス戦でサリバがラヤにパスを出した場面で、彼がほとんど左CBと同じ位置にいるのがわかる。ガブリエルがジンチェンコが空けたスペースを埋めて左サイドバックの位置に入っており、この場面でラヤはライスに自身のマーカーを連れて左に抜けるように要求し、意図を察したジンチェンコはラヤに少し待つように頼み、そのまま彼もマーカーを引き連れて降りてきた。
ジンチェンコがルイス・クックを引き連れて降りたため、ウーデゴールがパスを受けるスペースが生まれた。
そして、ラヤはパスを出すチャンスがあると見るや、ゴールを離れてより高い位置をとることをいとわない。前も述べた通り、アルテタがラヤのランス戦でのパスミスを特に問題としないのは、これが何度も練習した形だからだろう。似た形はボーンマス戦でも現れた。
上の場面でまたしてもラヤは左CBの位置でサリバからパスを受けると、ウーデゴールがそちらに相手を連れて寄って行こうとしている。ウーデゴールだけでなく、ライスとジンチェンコも同様にマーカーを連れたままラヤの近くに寄って行くことで、ここに相手選手たちが集まり、その逆側のベン・ホワイトが空くことになった。
浮き球のパスを受けたホワイトには多くのスペースがあり、このような形をランス戦でも作り出そうとアーセナルはトライしていた。もちろん、結果的にそれが相手につかまり、一発で得点へと繋がってしまったのは皮肉なことではあるが、結果はともかく、アルテタは長期的にはこれをチームが前進しているあかしだととらえるのではないだろうか。
また、ラヤは左CBの位置でだけではなく、タッチラインギリギリのポジションで深い位置まで相手のプレスを誘うようなポジションもとる。
また、以下の画像は画ボーンマス戦ではなくランス戦のものだが、ラヤはボールを手に持っていたが一度足元に置き、ひたすらランスの選手たちが寄ってくるのを待っていた。
ギリギリまで相手選手が近寄ってきたところでサリバへのパスを選択している。
ここからサリバはライスへとボールを渡し、アーセナルは前へと進むことができた。
ジンチェンコが自由に動き回り、結果的に左サイドのスペースをガブリエルがカバーすることになるため空くエリアを埋める、これが11人目のフィールドプレイヤーとしてラヤをプレイさせる狙いなのだろう。
ラムズデールはロングボールに頼ることが多いだけでなく、このようなプレイをあまり見せない。
今季のアーセナルは恐らく以下のような形でビルドアップを行うことを目指すのだろう。
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