ハヴァーツがアーセナルにもたらすもの 前編
近年のアーセナルは伝統的にファンの意見を真っ二つに割る選手を多く輩出する傾向にある。
セオ・ウォルコット、オリビエ・ジルー、メスト・エジル、アーロン・ラムジー、オックスレイド=チェンバレン。
この1,2シーズンでガナーズの成績が上向くにつれて、獲得戦略もよりスマートになり、そのような選手の数も減っていたかのように思われた。
だが、今季新たにアーセナルに加わった選手はカイ・ハヴァーツは彼らの後に続く選手になるのではないかという予感がある。彼がチェルシーでポテンシャルを発揮できなかったという点に関しては多くが賛同するだろうが、チェルシーでのパフォーマンスがそれでも悪く無いものだったと考える人々もいれば、そうではない人々もいた。
そして、その懐疑的な見方の一部はテムズ川を渡った北ロンドンにもついてきている。
当初はハヴァーツはジャカの代役として8番の役割を担うのではないかと思われていたが、実際には、彼のアーセナルでの仕事はもう少し複雑なものになりそうだ。彼はストライカーとしてもプレシーズンでプレイしていたし、今季は8番、9番、10番の仕事を少しずつこなすことになるだろう。同じ試合の中でポジションを変える所も見られる可能性もある。
それは開幕戦一試合を見るだけでも明らかだった。ハヴァーツはこの試合で何度かガブリエルとポジションを入れ替え、彼が中に入れるように大外に出ていく場面が見られたが、これはジャカを8番として起用していた際にはそこまで頻繁には見られなかったものだ。
ハヴァーツはプレイ自体は大きな変化はなかったが、様々なエリアに顔を出していた。
フォレスト戦のアーセナルの布陣の最大の特徴はアルテタが深く引いてくる相手への対策としてもう一人中盤あるいはアタッカーを増やしたという点で、ガブリエルがメンバーを外れ、代わりにパーティが最終ラインに入ったが、彼はほぼMFとして試合を過ごした。
これにより、アルテタは中央にウーデゴールに加えてパーティ、ライス、ハヴァーツ、エンケティアを送り出すことが出来た。
また同時に、この日のメンバーは前線からボールを奪い返せる選手たちが揃っており、特に試合開始から30分間はフォレストはプレッシャーに苦しんでいた。
ハヴァーツに関して言えば、もしハヴァーツがジャカと同じような役割を担うだろうと相手が考えていたとすれば、結果的にはその予想は裏切られることとなった。
ハヴァーツのこの試合でのヒートマップを見てみよう。
ハヴァーツがストライカーとして過ごした時間もあったことは考慮する必要があるが、中盤の左側に少しボールタッチが多いエリアがあるものの、それ以外はかなり分散しており、ピッチ上の様々なエリアでボールを触っている一方で、そこまで集中的にボールに触った場所はない、というのが見て取れる。
一方で、ウーデゴールやライスのヒートマップはよりボールタッチの中心的なエリアがはっきりと見て取れるものとなっていた。
ハヴァーツはあまりビルドアップには関与せず、どちらかというとメインの仕事はボールを持っていない時のものだった。そして、これは昨季ジャカが担っていた役割とも合致している。
だが、ジャカの役割は主に左サイドに限定的だった一方で、ハヴァーツのそれは少々異なった。
(後編に続きます)
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