そろそろミケル・アルテタに、その手腕に見合った賞賛を 後編

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アーセナルのカルチャーを変えた

ファンの中には、サッカークラブにおけるカルチャーやサッカーのメンタル的な部分をほとんど存在しないも同様なものとして扱うものもいる。

だが、どんなコーチや監督に聞いても、選手たちが皆共通の目的に向かっており、同程度のコミットメントを示し、そして、互いを高めあうことは重要だという答えが返ってくるはずだ。そして、それは彼らの最も重要な仕事の一つなのだ。

ウナイ・エメリのアーセナル監督時代の最大の懸念点の一つが選手たちをまとめ上げられていないように見えたことだった。

もちろん、英語力とコミュニケーション力の問題は、彼のビジョンを伝える上で不利に働いただろうが、それを割り引いてても、彼は選手たちを納得させられていないように見えた。

最終的にはロッカールームで好きなように振舞っているようにも見えた。

実際の所、これはエメリ監督就任後に始まった問題ではなく、アーセン・ベンゲル時代のアーセナルでも表れていた。

アーセンが1996年にアーセナルの就任した際に、そこにいたのはお互いで責任を取り合い、選手同士で互いのコミットメントのレベルをキープ出来ているか、管理することが出来るような選手たちだった。

だが、ベンゲルの在任中にサッカー界の文化は変わり、チームよりも自分が大事だという選手たちも増えていった。

それでもアーセンは優しく選手にすべてを任せるアプローチは変えはせず、確かにそれが機能した時もあった。だが、時が流れるにつれて、実績があり、誰からも愛されるアーセン・ベンゲルのような監督ですらも、このようなやり方では選手たちをマネージメントしきれない時代に突入してしまった。

(エドゥの助けも借りて)アルテタが行ったのは、アルテタの方針を100%認められない選手を全員追放することだった。彼はクラブのために一致団結してプレイできる選手のみを求めており、クラブに在籍している期間中はアーセナルでプレイすることの意味を身をもって体現してくれることを選手たちに求めた。

この結果、ファンからはあまり受けの良くなかった決断も下すことにはなったが、これも監督の仕事のうちだ。彼らの仕事はファンの機嫌を取ることではなく、チームのためになる決断を下すことなのだから。

ここまでのところ、アルテタの下した決断は正しかったように見える。残った選手たちはアルテタを信頼しているように見える。

そして、今アーセナルでプレイしている選手たちは、クラブを辱めたり、我々アーセナルファンに頭に手をあてて宙を仰がせたりはしない選手たちだ。

このような愛すべき、かつクラブに100%コミットしている選手たちがチームに揃ったのはアーセン・ベンゲル時代の黄金時代以来のことだろう。

取り戻しつつあるアーセナルらしさ

アルテタ監督就任後に聞かれた最大の批判は、彼はベンゲル時代の様な、美しく流れるような攻撃的なサッカーを展開できていない、という点だった。(会見ではボール保持時にそのようなスタイルを志向しているとは口にしたが。)

問題は、彼の第一のフォーカス(そして、アルテタがこれに関して間違っていたとは言えない)であり最大の課題が守備の修復だったことだ。

だがその仕事が形になりつつある今、我々は、よりクリエイティブなアーセナルを目撃し始めている。

土曜のブレントフォード戦でアーセナルはその片鱗を見せ、オープンな展開を作ろうとする姿勢が見られた。

確かに対戦相手はブレントフォードだが、彼らは開幕戦で我々に勝利を収めた相手だし、シティやリバプールも苦しめるほどで、良いプレイが出来るチームだ。

前半アーセナルが記録したシュート16本というのはプレミアリーグでは2017年のエヴァートン戦、アーセン・ベンゲル時代以来のものだ。ブレントフォード相手にアーセナルは67%のボール保持率も記録した。

もちろんスタッツだけではなく、今のアーセナルを見れば、オフザボールの動きの多さ、ボールを持った選手へのサポートの多さに気づくはずだ。

アーセナルはまだ本当の意味でのボックストゥボックストゥ型のボランチと、トップレベルのストライカーを欠いてはいるものの、既に攻撃の革新も進んでおり、大きな改善の証が見えはじめている。

結果

今季ここまでアーセナルは23試合を終えて勝ち点は42、3試合消化試合数が少ないにもかかわらず、4位まで勝ち点1の所まで迫っている。

一試合当たりのシュート数はリーグ3位、一試合当たりの枠内シュート数もリーグ4位だ。そして、これをリーグ1若いスカッドで成し遂げているのだ。

結果が出ない言い訳として『プロジェクト』や『プロセス』という言葉が使われているのだ、と主張するのは簡単だが、アルテタが監督就任した時点でのアーセナルがひどい様相を呈していたのは紛れもない事実だ。

そもそもアーセン・ベンゲル退任後に行われるべきだった刷新が失敗に終わったことがそれに拍車をかけていた。そして、その後もアーセナルを前に進めようとする取り組みは新型コロナウイルスの感染拡大によって遅らされた。

だがついに、2021年にスカッドビルディングも大きな前進を見せ、ついにアーセナルのビジョンの下に成長できるチームが揃った。

ミケル・アルテタに欠点がないわけではないし、まだまだ発展途上だ。だが、今のアーセナルが見せている前進のサインを見るに、アルテタはそろそろその手腕に見合った賞賛をアーセナルファンから受けても良い頃合いだろう。

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Posted by gern3137