そろそろミケル・アルテタに、その手腕に見合った賞賛を 前編

分析海外記事

シーズン開始時点の予想は良い意味で裏切られる形で、アーセナルは現在プレミアリーグのトップ4が視野に入る順位につけている。

大方のアーセナルファンの予想よりは若干早かったかもしれないが、それでもアーセナルがついにCL出場権争いに参戦しているのは事実だ。

だとすると、そろそろミケル・アルテタはその手腕に見合っただけの評価を与える時期が来ているのではないだろうか?

もちろんまだ決定的な結論を出すのには早く感じられるが、思い出してみよう、ミケル・アルテタがアーセナルを引き継いだ時にチームは12位に沈んでおり、チームの連携も守備もぼろぼろで、かつチームのスカッド管理もうまくいっておらず、惨憺たる状況だった。

ミケル・アルテタのフルシーズン1季目は、彼がその開始前にFA杯優勝を成し遂げたことを考えるとあまりうまく始められたとは言えなかった。もちろんいくつかその理由として考えられる事情はあったが、この時点でアルテタ体制はうまくいくようには見えなかった。

だが、このシーズンの1月に状況は変わり始める。むしろ、その延長線上に今季のアーセナルがトップ4争いに参戦できている、という成功があると言っていいだろう。

今からこなぜミケル・アルテタが賞賛されるべきなのかについて解説していきたいと思うが、その前に一点だけ明確にしておこう。もし、例えば今のアーセナルの監督がフレディ・ユングベリやパトリック・ヴィエラといったクラブのレジェンドで、明確なビジョンをもってチームを率いていたとしたら、もし今のアルテタの様な結果が出せていなかったとしても、まだ2年しかたっていないのだから忍耐強く待つべきだという声は上がっていたはずだ。

我々のウナイ・エメリに対する期待値は少々高すぎたと言わざるを得ない。現実を見てみると、アーセナル再建というタスクは非常に長期的なもので、どんな名監督でも、そこまで短期間で実現できるものではなかったはずなのだ。

守備の修復

アルテタが受け継いだアーセナルの一番の問題点は選手個人のレベル、そして組織としてのレベル両方で、全く守備の仕方がわからないチームだったことだ。

そもそも1対1がそれほど得意ではなく、時折無謀ナックルを仕掛けては抜かれてしまう選手たちが多かったし、チームで連携して守備を行う方法も浸透していなかった。

したがって、監督就任一日目から、アルテタのフォーカスは守備の構築にあった。彼はハードワークと守備時の構造を保つことの重要さを示し、最終的に(あくまで現時点では、という意味だが)4-2-3-1のフォーメーションに辿り着いた際に、中盤では6番の選手も8番の選手も、きちんとセンターバックの前でスクリーンとなり、スペースを埋めることを徹底させた。

そして、今のアーセナルを見てみれば、一試合のどのタイミングで切り取っても、アーセナルがきちんとボール非保持時に守備時のフォーメーションを綺麗に維持できていることがわかる。度の場面でも、それぞれの選手の役割と責任が明確に見て取れるだろう。

守備の組織を整えるだけではなく、アルテタはよりフィジカルに秀でたDF達をチームに加えた。彼らは1対1で破るのは容易ではないし、攻撃面での貢献もある。そして、彼らを束ねるのはボール配給力とコミュニケーション力の高いゴールキーパーだ。

結果として、昨季アーセナルの失点数はリーグ3位の少なさだったし、今季は5位、クリーンシート数は3位だ。

ついにアーセナルのDFがスライディングに飛び込んでいって軽やかに相手にかわされる、あるいは広大なスペースで孤立しながら相手のアタッカーと1対1を強いられる日々は終わったのだ。

守備が甘いアーセナルはもう過去のものとなった。

今のアーセナルの失点は一人の選手のパニックを示すものではなく巻いての攻撃陣のクオリティの高さとチャンスの質を示すものとなった。

(後編に続きます)
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Posted by gern3137