【戦術分析】マンチェスター・シティを無力化したアーセナルの柔軟なプレス 前編
ここ最近のアーセナルにとって、マンチェスター・シティ戦というのはいつも悪夢のようなものだった。直近の12試合でアーセナルは11敗としており、唯一の勝利は2020年のFA杯準決勝だけだ。
したがって、元日の試合前にはアーセナルは再び悪夢を恐れるような気持ちで試合に臨んでいたかもしれないが、ふたを開けてみれば、この試合は全く悪夢などではなかった。
キックオフの瞬間から、アーセナルのボール非保持時のアプローチは明確だった。ガブリエル・マルティネッリのボール非保持のタスクのうちの重要な一つがカンセロをマークすることだったが、マルティネッリは何度かカンセロを置いてルーベン・ディアスに向かっていくシーンがあった。
その際にはジャカがカンセロにつき、そしてそれに伴ってパーティが横にスライドしてベルナルド・シウヴァを見ていた。
これにより、タッチライン際のマフレズにボールが届いてもロドリにはウーデゴールが、カンセロにはジャカが、シウヴァにはパーティがついており、同サイドの前へのパスはブロックされていた。
結果として、ここからシティは攻撃をリセットする必要があった。再びマルティネッリはディアスにプレスをかけ、同じようにマークがスライドした。
この後ディアスとカンセロはワンツーで突破を試みたが、パーティが既にシウヴァに近い所にいたためボールを奪取、シティの攻撃を止めることに成功した。
アーセナルのプレスの形は非常に柔軟性があり、シティのビルドアップに適応して形を変えた。カンセロがサイドに広がり、シティのビルドアップのファーストラインが横に広い際には4人の前に2人で構えるという形を作る必要がある。
だが、カンセロが中に入ってシティが3-2でのビルドアップを行い始めた瞬間に、それに対応してマルティネッリが中に入り、ジャカとパーティとトリオを形成していた。
上の画像のどの場面でもアーセナルはシティの右サイドの攻撃を無力化できており、シティの様々なパターンに対応できていた。
これにより、逆サイドでデブライネがフリーになる場面が何度か見られ、これは一見クレイジーな考えにも聞こえるが、冒す価値のあるリスクだった。
右サイドからの斜めのパスのアングルさえ封鎖で来てしまえば、シティがボールをデブライネに届けるためには一段ラインを下げ、そこから浮き球のパスを送る必要があった。それだけの時間があれば、アーセナルの中盤、特にトーマス・パーティが横に動いてデブライネに辿り着くことが出来る。
この場面では、デブライネにボールが出たものの、ボールをコントロールする時間がなく、スターリングにヘディングでボールをパスするしかなかったが、試合を通じてスターリングと冨安の勝負は冨安が優位に立っており、またしてもアーセナルはシティのビルドアップを引っかけてボールを奪うことに成功した。
また、もう一つこの場面に関して注目なのは、上述のマルティネッリの中に入ったポジショニングがカンセロをビルドアップに関与させないだけではなく、パーティとジャカが横にスライドしても中盤に穴を開けない役目も果たしていたという点だ。
アーセナルのプレスが機能したもう一つの例は以下のシーンで、ゴールキックの場面だが、デブライネがフリーになっている一方で、ジャカがここまで上がってロドリにプレスをかけており、エデルソンに近いサイドのパスのオプションが全て封鎖されている。
これは同サイドの少し離れた選手も同じで、上で説明した通り、パーティが横に動いてシウヴァをマークし、カンセロはマルティネッリが見続けていた。
エデルソンに残されたオプションは斜めの浮き球を逆サイドのデブライネに届けるか、マークされている選手たちよりもさらに縦の深い所へのパスを届けるかしかない。エデルソンにはプレスがかけられており、左足ほど得意ではない右足でのキックだったことも考えれば、右サイドの縦を狙うのはGK目線で見れば理にかなった選択だ。
しかしこれは結果的にティアニーにカットされることになる。
もちろんパーティがデブライネと逆サイドにいる際にデブライネにボールを通されると無防備だったかというとそうではない。アーセナルはきちんとそれにも対策を打っており、その場合にサイドチェンジを通された際はベン・ホワイトあるいは冨安が前に上がってプレスをかけられるような位置を取っていた。
以下の場面では冨安がスターリングよりも前に居るが、もしデブライネに最初からボールが出ていれば、これに対応するのは冨安の仕事となっていたはずだ。
(後半に続きます)
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プレストいうよりマーク。ぽじしょなるとやらが茶番だと証明した。私がどれだけ嬉しいか。しかし負けてしまった。之を耐える事には私は慣れている。今言えることは誇りをもって応援できるチームを探すというのは骨が折れるが、可能だという事。…全てのサッカーファンに。