ヴィッセル神戸サポの皆さんへ アーセン・ベンゲル監督徹底紹介
厳密にはアーセナルとは関係ないのですが、ヴィッセル神戸の関係者が欧州に渡り、ベンゲル監督の監督就任に関する交渉を行っているという報道が出ており、にわかに日本が盛り上がっているので、せっかくなので振り返りもかねてベンゲル監督がどんな監督なのか紹介してみようと思います。
攻撃的なスタイル
Embed from Getty Imagesやはり、ベンゲル監督といえばその代名詞ともいえるのは攻撃的なサッカーでしょう。バルセロナとはまた違う所もありますが、基本的には守ってカウンター、のような戦術を良しとせず、流麗なパスワークから相手を圧倒して攻撃していく、という基本方針を掲げるはずです。
ベンゲル監督時代の終盤にかけてはかつてほどの絶対的な成績を残せなくなってしまったアーセナルですが、アーセナルらしいサッカーは健在で、ウィルシャーのノリッチ戦でのゴールやロシツキーのサンダーランド戦でのゴールに象徴されるように、ワンタッチの連続からの素晴らしいゴールを何度も見せてくれました。
そして、サッカー界の哲学者ともいえるくらい、頑固に信念を貫く人物でもあり、試合の主導権を握ることに重きを置くタイプです。なので、よほどの必要性に迫られない限りは、アーセナル時代も対戦相手ごとに細かい対策を立ててくる、ということはなかったように記憶しています。
その分守備は・・・
Embed from Getty Imagesまた、攻撃的であること、美しいサッカーを標榜すること、主導権を握ること、と並んでベンゲル監督が心を砕くのは選手を自由にプレイさせること、です。
アシュリー・コールがかつて、ベンゲル監督はピッチ際で基本的にいけー!攻めろー!のようなことしか口にしていないよ、と語っていた通り、基本的には一度ピッチに選手を送り出してしまえばあとは選手の創造性と自主性に任せるようなところがあります。
したがって、インビンシブルズ(リーグ無敗優勝)の時代に象徴されるように、ワールドクラスの選手が揃っていればその実力を120%発揮させることは大得意ですが、逆に選手が自由を与えられすぎて戸惑ってしまうケースもあります。
それが顕著に表れたのがアーセナル時代の後期で、約束事が曖昧だったのか、守備の崩壊が目立ち、プレミアリーグ相手のトップチーム相手には3点差以上を付けられて爆敗する場面が目立っていました。
若手の起用に積極的
Embed from Getty Images攻撃的なサッカーと並んでもう一つアーセン・ベンゲルのアーセナルの代名詞といえるのが、若手の起用です。もちろん前提としてその才能を見抜く眼力というのがあるのですが、それ以上に、大事な試合でも自分の信じた選手であれば17歳でも18歳でもためらいなく起用する、という胆力は世界でもトップクラスだったと思います。
セスク・ファブレガス、ウィルシャー、ラムジーらを始めとして、ベンゲル監督が10代のころにデビューさせて育て上げた選手は枚挙にいとまがありません。
また、自チームのファンでも嘘でしょ!?と思うようなタイミングで若手の起用に踏み切るのも特徴的で、今となってはアーセナルの不動の右サイドバックとなったベジェリンも先発デビューはチャンピオンズリーグのドルトムント戦でしたし、10代のイウォビをいきなりバルセロナ戦で先発に起用したりもしていました。
選手からの信頼が篤い人格者
Embed from Getty Images上の項目ともつながりがあるのですが、どうしてこのような起用が可能なのかといえば、ベンゲル監督が心の底から選手を信じているから、これに尽きると思います。
非常に規模の大きいビジネスとなっているヨーロッパサッカーの世界でここまで愛とも呼ぶべきものをなかなか持ち合わせている監督は見られません。アーセナル退団後もベンゲル監督のことを悪く言う選手は全くいませんし、怪我を繰り返していたアブ・ディアビやウィルシャー、ラムジーに示し続けた信頼、そして大手術の直前にカソルラの契約延長を決め不安なく治療に励めるようにしたりとそのエピソードは事欠きません。
また、哲学や政治、経済など様々な分野への造詣も深く、例えば常にイギリスに居る間にも日本文化へのリスペクトなどについても語っていました。知的で小粋な記者会見は記者やファンの間でも非常に人気があったように思います。
試合後に選手の責任を口にすることは絶対にありませんでしたし、常に選手のそばに立ち、信じ続ける素晴らしい監督だと思います。
インタビューではもう監督としては復帰しないかもしれない、と口にしたりもしていましたが、アンバサダー/教授的な役割に回る前にもう一度芝の上に立つボスを見てみたいものですし、それが日本の地であるのであればとても素敵なことだと個人的には思います。
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