アーセナル・レンタルウォッチ2020

分析Andrew Dowdeswell,海外記事

アーセナルは今季、5人のファーストチームの選手をレンタルに出している。レンタル移籍は、単に親クラブでの将来がないということを示すだけの時もあるし、あるいは、成長の重要なステップとなることもある。今回は、今季レンタルに出ていた5人の選手のパフォーマンスを分析しながら、彼らの将来を予測してみよう。

ヘンリク・ムヒタリアン

サッカーの歴史上最悪の交換移籍といってもいい取引の末にサンチェスに代わってアーセナルにやってきたムヒタリアンだが、何度か輝きを見せた試合があったことを除けば、基本的には彼の獲得は失敗だったといえるだろう。週給20万£と言われる彼の給与を考慮すればなおさらだ。

今季彼はローマでプレイしており、イタリアでは6ゴール3アシストと活躍している。ローマの監督フォンセカも感銘を受けたようで『ケガもしていたが、彼は復帰して以降クオリティを見せている。ミキを彼に留めたいと思っているよ』とスカイスポーツにコメントしていた。

ムヒタリアンはもう31で、残り契約は1年となっている。この夏以降も彼がアーセナルに残ると考えるのは現実的ではない。報道では10M£程のオファーをアーセナルは断ったようだし、15M程度の移籍金でローマへ完全移籍となるのではないだろうか。

ウィリアム・サリバ

昨夏アーセナルがサリバの獲得を決めた時点で、契約に今季の一年ローンが含まれていた。ファーストチームで1年出場機会を得て成長するためのものだが、話によると、この条項を強く主張するのはサリバ本人だったのだという。

彼は北ロンドンで出場機会を得られない可能性を懸念しており、成長の機会を失いたくなかったのだ。

今サリバはケガに苦しみ、17試合しか出場できなかったが、それでもフィットしているときにはリーグアンのサンテティエンヌで不動のスタメンで、良いパフォーマンスを見せていた。

モナコ相手のカップ戦での1-0での勝利では素晴らしいパフォーマンスを見せ、サリバの存在はサンテティエンヌの守備にとって欠かせなかった。

まだ19才であり、来季のアーセナルでの立ち位置がどのようなものになるかは様子を見る必要があるが、アーセナルはサリバに特別なものを見出し、守備の解決策だと思ったからこそ獲得を決めたに違いない。

だとすれば、とりあえずスタメンを奪取しないことには始まらないし、来季はアーセナルに留められ、出場した試合でのパフォーマンスで彼の将来は決まるだろう。

モハメド・エルネニー

ムヒタリアンと同じく、エルネニーもまた、将来のためではなく、給与を節約するためにアーセナルからレンタルに出された選手だ。

エルネニーはベジクタシュで28試合に出場し、ファンからは愛されている。ベジクタシュ側も、15M€程度とされる買取オプションの櫛を検討しているらしい。

彼はこの夏28歳になり、恐らくアルテタの長期的なプランには含まれていないだろう。中盤の控えとしてはそれなりの選手ではあるが、とびぬけた能力は持たず、ゲンドゥージとウィロックが台頭した今となってはチームにとって必要不可欠な選手とは言えない。

アーセナルは、10M程度の悪くないオファーが飛び込めばエルネニー売却をためらわないだろう。彼に支払う分の給与で、ゲンドゥージ・ウィロックと並んでよりポテンシャルのある選手の獲得を目指した方が得策だからだ。

コンスタンティノス・マヴロパノス

マヴロパノスは恐らく今最も事情が複雑なアーセナルの選手だろう。2018年の1月に2Mでアーセナルにやってくると、いきなりファーストチームに帯同したマヴロパノスだったが、何度か怪我を重ね、結局のところ18か月ファーストチームから離れてしまった。

その結果彼の序列は下がり、一月にドイツ二部のニュルンベルクにローン移籍することとなった。移籍後は4試合に出場し、順調に思われたが、その後また怪我をしてしまい、結局今のシーズン中断期間に至る。

マヴロパノスはまだ22歳と若いので、アーセナルでの将来がないとは言い切れないだろう。ムスタフィとソクラティスは移籍が濃厚だし、ホールディングは調子を取り戻すのに苦戦していて、チェンバースも怪我をしている。ルイスも今後何年もアーセナルでプレイは出来ないだろう。

とはいえ、もしオファーがあれば、アーセナルはマヴロパノス売却に踏み出すと思われる。単純にチームのCBの数が多すぎるからだ。もし売却されずとも、再びのローンが濃厚となりそうだ。

エミール・スミス=ロウ

サリバと並び、来季のアーセナルでのプレイ機会を勝ち取る可能性があるとすれば、それはこのスミス=ロウだろう。 1月にハダスフィールドにレンタル移籍をしたが、大活躍を見せ、監督のカウリーも賞賛の言葉を送っている。

『ロウは素敵なプレイヤーだね。トップクラスの選手に見える。スペースを見つけることが上手いね、彼なら電話ボックスの中でもスペースが見つかるんじゃないかな。プレイのスピードを上げることもうまいし、相手を惹きつけることも出来る。得点さえできればもう完璧だよ。』

スミス=ロウは夏に20歳になるが、将来的にエジルの後継者となれる可能性がある。同時に、彼はエジルにはないアスリート力と守備での献身性も併せ持っている。

来季にその準備が整うかは少し怪しいが、少なくともロウ自身は来季エジルの後継者になることを狙っているだろう。

もしアルテタがロウの成長に必要なだけのプレイ機会を与えられるレベルにはまだ早いと判断すれば、来季もう一度ローンに送り出される可能性もある。

だが、ハダスフィールドと同じようなパフォーマンスを見せられれば、アーセナルでの中盤のローテーションに食い込むことは出来るはずだ。

Source:

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137