アーセナルの今季の苦境を示すスタッツまとめ 後編

スタッツ・戦術

(この記事は昨日の前編の続きとなっています。)

守備と失点期待値

ピッチの逆側では、アーセナルにとってはお馴染みのスタッツだ。昨季の始めの19試合でアーセナルは一試合当たり12.4本のシュートを許し、後半にはそれが13.8に上がった。そして今季はなんと一試合当たり16.4という酷いありさまだ。

この結果、一試合当たりの失点も1.32から1.37、そして今季の1.42へと増えた。これらの数字は、リーグのトップレベルで戦うチームとして受け入れられるものではない。また、守備がベンゲル時代終盤から全く改善していないことが最も心配な点の一つだろう。

失点期待値を見ればアーセナルの守備の酷さは明らかで、昨季前半の19試合では失点期待値が23.6のところ25失点をした。昨季後半には、我々は少しラッキーだったといえるくらいで、失点期待値は32.6だったが実際の失点数は26に収まった。

今季は大体指標通りの数字で、失点期待値が17.6のところ17失点している。

私にとっては、これがエメリ時代の最も大きな落胆だ。確かに、我々が攻撃陣にいかに巨額の投資をしたかを考えると、攻撃が上手くいかないのも我慢が出来ないが、それよりも、18か月たってもエメリが全く守備を整えられないことの方が問題だ。

長い間改善が必要な部分だったから、というだけではなく、これがエメリが集中してきたことだからだ。

2018年の夏に、当時パフォーマンス長だったバージェスは以下のようにコメントしている。

『アーセナルの守備が問題なのは誰の目にも明らかだ。昨季は50失点もしてしまって、それはこの15年で初めてのことだったのだからね。だから、エメリがチームの守備をソリッドにするのに取り組んでいるのは驚きではない。もちろん結果はわからないが、彼はそれに取り組んでいるよ。

彼はピッチ上でのポジショニングには非常にうるさい男でね、彼の練習メニューは非常によく練られている。どちらがいいというわけではないが、今までのアーセナルの守備練習とは全く違うよ。』

だが、エメリの最初のシーズンは51失点に終わり、これはベンゲル時代最低の記録と同じだった。今季もアーセナルは得失点はマイナスで、昨季の今頃は26得点したが17得点にとどまっている。

もし、エメリが、例えばベンゲルのように、攻撃は最大の防御、あるいは試合をポゼッションを通じてコントロールしようというタイプの監督であれば、守備が改善しないとしても理解が出来る。だが、彼は守備の課題を認識し、それを解決しようと乗り出していたのだ。にも拘らず、そこから18か月が経った今も全く改善の兆しが見られないというのは由々しき事態だ。

ポゼッションとコントロール

エメリは当初試合をコントロールしたいと述べていたが、実際には、アーセナルは強敵相手にはボール保持を挑まないし、さらに、より実力が劣ると思われる中位下位のチームにもボールを支配されることが増えつつある。

平均ボール保持率は昨季の前半は60%だったが後半は57%に落ち、今季は55%だ。昨季のアーセナルに見られた後半巻き返す能力は失われ、そしてボールを保持しているときでさえもアーセナルはそれをうまく行かせない。シェフィールド戦ではアーセナルは69%のボール保持率を記録したにもかかわらずシュート数はたったの9本だった。レスター戦でも、アーセナルの試合最後のシュートは53分だった。

これに関しては私が言うまでもないだろう、読者の皆さんもアーセナルの試合を観ているはずだ。今季ヨーロッパリーグとカラバオ杯以外でアーセナルが試合をコントロールして終えたことがあっただろうか?最後にアーセナルがプレミアリーグで相手を圧倒して勝利したのはいつだっただろう?ポストカードにでも書いて送ってくれ。

勝ち点とトップ4入りの可能性

今季ここまでアーセナルは一試合当たり1.4しか勝ち点を獲得していない。昨季の前半は一試合当たり2、公判でも1.7だ。エメリの勝率は33%で、これは1994/95シーズン以来の低い記録となっており、このシーズンアーセナルは12位だった。

12試合で勝ち点17しか獲得していなかったチームがトップ4入りを果たした例は過去に4度しかない。プレミアリーグの競争が激しかったここ15年に絞ればたったの1チームだ。そのチームは14/15シーズンのアーセナルだが、この時は12試合終了時点でまだ4位と勝ち点2しか差が開いていなかった。

一方我々は既に4位と勝ち点8も離されており、しかも得失点差もマイナスだ。つまりこれが何を意味するかというと、現在のトップ4のうちの誰かが大失速してくれない限り、アーセナルのトップ4入りの見込みは非常に薄いということだ。

アーセナルの分析を担当してくれているスコットの記事からの引用だが、『私の予想モデルを使った予想では、アーセナルがトップ4入りを果たす可能性は17%で、賭け会社のオッズによると大体16%-20%の間くらいだ。』とのことだ。

もちろんこれがどれくらい信憑性のある数字なのかは議論の余地があるだろうが、オプタによるスタッツと、過去のデータ、今季のここまでのパフォーマンス内容を示す数字を踏まえると、国内リーグ経由でCL出場権を得るのは既に奇跡レベルに難しいといえそうだ。

夏の楽観的な雰囲気を考えれば、まだ12試合しか経っていないにもかかわらず既にここまで追い込まれてしまっているというのは非常に悲しむべきことだ。

アーセナルがプレミアリーグを優勝するとはだれも予想していないだろうし、それが非現実的な目標であることは認める。だが、我々が投資した資金と、給与額(アーセナルの年総給与が240Mなのに対して、レスターは119Mで、その差は歴然だ。)やクラブとしての地位を考えれば、トップ4入りくらいは期待してもいいはずだ。

それより下の成績はすべて失敗とみなされるだろう。そして、我々は既にトップ4のラインから遥かにしたまで来てしまった。

(Source: https://arseblog.com/2019/11/stats-and-data-show-a-top-four-finish-is-already-an-outside-chance/ )

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137