メリーノのストライカー起用はアーセナルの解決策になりうるか

分析Tim Stillman,海外記事

今季のアーセナルは多くの打撃を食らってきたが、カイ・ハヴァーツが今季絶望という報せはほとんど最後の一撃のようにも感じられる。

もちろんこれを嘆くのは当然だが、一方でアルテタとアーセナルにはこの事態にどう対応するかの解決策を探す以外の選択肢がない。

今季のアーセナルはシーズン途中でセンターフォワード二人を失ってしまったことに加えて、そもそもチームがハヴァーツのようなタイプ以外のFWでプレイすることに慣れていないという問題も抱えている。

単に人数の問題だけでなく、今のチームにはハヴァーツの代役はいないのだ。

だからこそ、今のアーセナルでこの緊急事態においてセンターフォワードを務めるのはメリーノなのではないか、と話されているのだろう。

もちろん、ハヴァーツの離脱によりアーセナルがいくつか勝ち点を落とすであろうことは間違いなく、彼の離脱の影響の大きさを過小評価するつもりはないが、それでもアルテタは『まだましな』解決策を探さなくてはならない。それはウーデゴールとサカの離脱に関しても同様だった。

そもそもハヴァーツがハムストリングの怪我を負わなかったとしても、彼が今季残りの試合を全てフル出場させるのは現実的ではなく、いずれにせよ、ドバイでのキャンプで、何かしらの策が試される予定だったと期待したいところだ。

そして、マルティネッリとサカが復帰すれば、多少は状況は良くなるため、この緊急的な策はそれ以降は必要なくなるだろう(これ以上のけが人が出なければ、ということにはなるが)。

こういった奇策は短期的にはメリットをもたらす可能性もある。少なくとも、現在レスターとウエストハムは、彼ら相手の試合でアーセナルがどのような布陣で臨むつもりでいるのか、推測することはできないはずだ。そして、これらの試合の前にアーセナルは1週間の練習期間をとることが出来ている。

もちろん、中長期的には応急処置的な奇策は対応策が判明してしまい、結果を出せなくなるだろうとは思うが。

非常に大きな問題の一つが、ハヴァーツの背の高さをアーセナルが失ってしまったことだ。中央に誰を起用したとしても、トロサール、スターリング、ヌワネリといった選手はこれを再現することが出来ない。

今季アーセナルはビルドアップ時にロングパスも多く用いている。ラヤはここまでの所35%のパスで長いボールを用いており、これはプレミアリーグの平均程度の割合だ。

だが、ハヴァーツが居なければ、これを続けるのは難しいだろう。

今季の前半にウーデゴールが離脱し、彼の代役を務められる選手がチームに居なかった際、アーセナルはハヴァーツとトロサールをツートップのように起用する442/424のようなシステムを用いた。

アーセナルがロングボールを当てたいタイミングや細かく繋ぎたいタイミングに合わせてハヴァーツとトロサールはどちらが最前線に出るかをローテーションしていた。

同じような形をメリーノとトロサールでアーセナルが活用する可能性はあるだろう。アーセナルがロングボールを用いたい、あるいはクロスからの得点を狙いたいタイミングでメリーノを上げ、より落ち着いてボールを回してチャンスを狙っていきたい際にはトロサールをゼロトップのような位置に送るのではないだろうか。

もしかすると、このような形はより機能していた時期のデイビッド・モイーズのエヴァートンからインスピレーションを得ているのかもしれない。

奇妙なことに、モイーズはヤクブやジョンソン、ビーティのようなストライカーを本職とする選手たちを上手くいかせなかったが、ケーヒルとフェライニを最前線に送り込んだ時の方がチームが機能していた。

この比較を聞いてアーセナルファンは頭を抱えたくなるだろうが、実際の所、フェライニは最前線で相手にとって非常に危険で、結果を残していた。この策に対する批判はどちらかというとこのスタイルが美しいサッカーでない、という評判に起因していたように思われる。

また、アーセナルは左ウイングとしてティアニーを起用する必要もあるかもしれないが、その場合にもよりボックスクラッシャータイプのメリーノのFW起用は筋が通っている。

また、ハヴァーツのプレスも彼の大きな貢献の一つだったが、その面でも、恐らくメリーノはこのポジションに向いているだろう。

ここまでの所、まだアーセナルでそこまで活躍を見せられていないメリーノだが、彼にとってはチャンスとなるかもしれない。彼がボックス内でどれだけ脅威となれるかはチームにとって重要となりそうだ。

ヌワネリあるいはスターリングがセンターフォワードとしてプレイするかはわからないが、トロサールの起用は考慮されているだろう。メリーノが衛星のように走り回りゴール前に飛び込んでいく選手だとすると、トロサールはより周りの選手を活かせる恒星のようなFWだ。

ハヴァーツと同時に起用されていた際には、6試合で6アシストを記録しており、彼は他のアタッカーのサポートが上手い。

このようにローテーションを多用する前線で、ヌワネリの高い決定力もより活かせるはずだ。チーム全体として、彼に良いシュートチャンスをどれだけ作れるかがテーマとなるだろう。

一方で、もう一人のオプション、スターリングに関してはそこまで楽観的にはなれないが、それでもまだ、それを覆せるだけの時間は3か月残っている。

彼には以前のような、短距離で相手のDFをかわしたり、縦に走ったり、というだけのスピードが残されていないように見える。

アーセナルに来季以降も残ることはないだろうが、夏に向けて、少しでも良いパフォーマンスを見せるモチベーションにはなるだろう。

ただし、スターリングが抱えているのは別にモチベーションの問題ではなく、単にフィジカル面で以前の力を失ってしまったのではないか、と感じられるのが懸念ではあるが。

もし8月に未来から来た誰かが私に『お前は2月にメリーノのフェライニ的なFW起用にティアニーが左ウイングからクロスを上げさせるという策はどうか、という記事を書いているぞ』と告げたとしたら、恐らく私は泣きわめいていたに違いないが、実際にそのような事態が訪れてしまっており、少なくとも、現在の状況がいかに絶望的であるかを少し忘れるためにも、ブレインストーミングくらいはしてみようではないか。

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Posted by gern3137