今季アーセナルでの将来を懸けてプレイする必要がある3人の選手
例年通り、今季活躍できるかどうかがアーセナルでのキャリアの転換点となるかもしれない、と感じられる3人の選手を紹介しよう。
ファビオ・ビエイラ
今季でアーセナルで3年目を迎えるビエイラだが、スミスロウの売却によって、彼の役割の重要性は増した。
彼の給与はそこまで高くないが、それでも30m£を超える移籍金で獲得されてきた選手であり、これは彼がロコンガやタヴァレスのように、将来を見据え、アーセナルで成功する見込みが非常に高いわけではないかもしれないが、当たればラッキー、というタイプの獲得ではないということを示している。
エミール・スミスロウはアーセナルファンの間で非常に人気の選手だったし、彼が去り、ビエイラが残った以上、ビエイラはスミスロウと比較されることになるだろう。
これは問題というわけではなく、アーセナルのようなクラブで成功するためにはプレッシャーを感じながら結果を出す必要があるし、もし今季ビエイラにそれが出来ないのであれば、どちらにせよいずれ売却は避けられないだろう。
もちろんこれは同時に、ビエイラにとって一番プレイできる可能性が高そうな左8番の競争相手が一人減った、ということも示している。
ハヴァーツは今季ストライカーでのプレイがメインとなるはずで、今アーセナルにおいてこの左8番は最も選手が足りていないポジションの一つだ。
さらに、ビエイラはアーセナルの他のMFとは全く異なる能力を備えている。もしアルテタがより相手にとって予想が難しいようなチームを組みたいと思うのであれば、ビエイラはオプションになるだろう。
昨季アルテタは降格件に沈むような順位のチーム相手の試合では、より創造性のあるMFを起用することを好んだ。
9月のエヴァートン戦でビエイラは先発したし、スミスロウはノッティンガム・フォレスト戦やルートン戦で先発した。
今季は昨季よりもCLのグループステージの試合も多く、決勝トーナメントでの試合数も増えるかもしれない。よりローテーションが頻繁に行われることになる可能性もある。
もしここで訪れるチャンスにビエイラが結果を残せなければ、後ろに迫るイーサン・ヌワネリに追い抜かれてしまうことになるかもしれない。
ガブリエル・マルティネッリ
Embed from Getty Imagesマルティネッリは23-24シーズン、1年前ほどのパフォーマンスを見せられなかった。
90分当たりの得点・アシスト数は0.65から0.45に減少したが、それにはいくつか理由があるだろう。
まず、昨季アーセナルの左サイドはチーム全体で右サイドほど機能していたとは言えず、そして怪我の影響もあった。ジェズスはハヴァーツよりもサイドによく流れるが、マルティネッリと前線の選手が連携する場面は少し減少した。
ただ、ジェズスと同じように、マルティネッリの不調は代わりに入ったトロサールが良いパフォーマンスを見せたためそこまでチームにとって大きな問題とはならなかった。
恐らく、マルティネッリとジェズスの今後はお互いに強く関係してくるだろう。彼らのコンビネーションは非常に良い一方で、よりボックスに後ろから飛び込んでくるプレイが多いハヴァーツとはトロサールが相性が良い。
したがって、ハヴァーツ-トロサールあるいはジェズス-マルティネッリのどちらを起用するのか、という選択が行われるかもしれない。
アーセナルの長期的なスカッドを考えると、ジェズス-マルティネッリのコンビが再び勢いを取り戻し、ハヴァーツを中盤、トロサールは前線複数ポジションの控え一番手、という形の方が良いようには見えるが、今季が進むにつれてより明確な状況が見えてくるだろう。
いずれにせよ、マルティネッリが活躍するためには特定の選手や条件がそろう必要がある、というタイプの選手になってしまうべきではない。
冨安健洋
アルテタアーセナルのアーセン・ベンゲル時代後期の最も大きな違いの一つは、アルテタは選手を待つことはしない、という点だ。
怪我がちなティアニーの後継としてアルテタは即座にジンチェンコ獲得に動いたし、パーティの怪我がアーセナルの成長を止めているとみるやジョルジーニョを獲得した。
このように毅然としたアルテタのやり方の元、選手は非常にすぐに忘れ去られてしまう。ジェズスとジンチェンコが怪我に苦しんでいる間に他のプレイヤーがチームで彼らのポジションを奪い、彼らはポジションを取り戻すために戦うことになっている。
そして、冨安健洋も同じような状況にある。アーセナル移籍初年度の2021年は絶対的な右サイドバックだったが、怪我で離脱している間にサリバCB、ホワイト右サイドバックという布陣が確立し、レベルの高いローテーション要員へと後退してしまった。
チームのスタイル的に、むしろジンチェンコに代わる左サイドバックとしてプレイすることの方が最近は多い。
冨安は最近契約延長を行ったが、延長期間は2年に留まり、これはクラブが怪我の状況もかんがみてもう少しトライアル期間的に彼のパフォーマンスを見たいと考えているということだろう。
だからこそ、直近の彼のけがは、個別に見ればそこまで大きなものではないかもしれないが、非常にタイミングが悪い。
プレシーズンに怪我をしてしまうと、そこからファーストチームでのポジションを取り戻すのには時間がかかるし、ティンバーが復帰し、カラフィオーリがやってきたことで、最終ラインの競争は非常に激しくなっている。怪我が治らなければ、そもそもポジション争いに参加することすらできないのだ。
冨安は素晴らしいDFで、良いオプションになりうるが、怪我でベンチに入れないのであれば、それはほとんど意味がない。
今の所ジンチェンコの移籍の可能性は低そうで、ベン・ホワイトが不動の右サイドバックだ。昨季はより可能性がありそうなのが左サイドバックだったが、今季はこのポジションもさらに人員が充実している。もし彼が今季もあまりフィットネスを保てなければ、序列はティンバーとカラフィオーリより下がってしまうだろう。
どうやら彼は秋ごろにしかスタートラインに立つことができなさそうだが、今季は冨安にとって、アーセナルでの将来を懸けた一年になるだろう。
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