サッカー界の全員を裏切り続けるハワード・ウェブとPGMOL
ルイス=スケリーのレッドカードを巡る騒動がまだ続いている。
まず最初に明確にする必要があるのは、そもそもこの件はずっと話題になり続けるべきではない、ということだ。単にPGMOLが『マイケル・オリバーとVARは誤審をした。レッドカードは取り消しとなる。以上。』といえば済むだけの話なのだから。
だがもちろん、PGMOLはそんなことをせず、昨日の時点で既にSky Sportsが『PGMOLはタックルのコンタクトの位置は高く、遅れて飛び込んでいるという見解で、リプレイもこれを示している』と報じていた。
ハワード・ウェブ(あるいはPGMOLのメディア担当の誰か)からブリーフィングを受けたメディアは、いかに彼らが解説者や元プロ選手から寄せられた多くの批判を不服に思っている、と報じ、また同時にこれらの批判を『大げさすぎる』と見なしていたそうだ。
その後、PGMOLはマイケル・オリバーがSNS上の誹謗中傷の被害に遭っており、警察と対応しているという旨の声明を出した。
もちろんこのようなことは言わずとも伝わることだとは思うが、当然ながら審判や彼らの家族に対する脅迫などというのは全く常軌を逸した行為だ。
何があろうともこれらは正当化できることではないし、アーセナルの選手が同じような愚かなキーボード戦士に脅迫される事件もあり、これらは絶対に許されるべきではない。
だが、今回の件に対するPGMOLの対応は彼らがどのような団体なのかを明確に示しているし、責任の所在が不明瞭であること、そして彼らの傲慢さも同時に示している。
この件を見た99.99%のサッカーファンと解説者、元選手がこれは誤審だと言っているにもかかわらず、彼らはそれを認めようとしない。
当然ながら審判も人間だ。彼らだってミスをする。我々誰もが仕事において、プライベートにおいて、何かしらのミスをしたことがあるだろう。だが、重要なのはミスの後にどのような対応をするかなのだ。
ミスの後に行うべきは、両手を上げ、責任を認め、そのミスのリカバリーに全力を尽くすことだ。
だがPGMOLは今回それをしていない。
PGMOLはサッカーファンをだまし、気をそらそうとしている。そして、これは単にアーセナルにとってだけの問題ではない。他のクラブのファンは今朝一連の騒ぎを何たるコメディだと笑っているかもしれないが、来週には同じ出来事が自分の応援しているクラブにも起こるかもしれない。その時には対して面白く感じられないはずだ。
私がPGMOLの運営のやり方、そしてハワード・ウェブに率いられていることへの懸念を表明したのはこれが初めてどころではない。
これまでずっと、アーセナルの試合で残念な判定が起きた時も、他のチームに対してそれが起きた時も、出来る限り冷静で客観的に判断しようとしてきた。
だが現状PGMOLはプレミアリーグ、そして彼らが審判を務める全ての試合でプレイするチームに影響を与える問題のある組織であり、彼らを盲目的に信頼するのは誰にとっても良いことではない。
そして、ルイス=スケリーのレッドカードの後にPGMOLが見せた対応は、いかにこの組織がプレミアリーグの審判を統括するという目的に適わないものであるかを示している。
元サウスヨークシャー警察の警察官のハワード・ウェブはこの件に関して、まるで味方の警察官を守る特殊部隊の長のように振舞っている。
車を囲め、批判は受け入れるな、非を認めるな、もし我々の仲間を敵とみなすなら全員で戦う!
サッカー界は移り変わりが激しく、ファンは長期的には判定に関する真実などどうでもよく、事実が明らかにされることはない、という認識にも基づいてのことだろう。
もちろん、真実の検証など必要なわけではない。我々には目がついているのだから。例プレイを見た誰もが、アーセナルファンだけではなく、ルイス=スケリーが退場となるべきではなかったということが見て取れたはずだ。
だがマイケル・オリバーはレッドカードを提示するのが待ちきれず、かつVARはこの誤審を正すことをせず、単に自分たちの仲間を応援し、判定を訂正させるような辱めを与えることはしない、と決めた。
究極的には、このような振る舞いは、全く持って誰のためにもならない。
このような対応は、既にほとんど失われてはいるが、わずかに残っているかもしれないほんの少しばかりのPGMOLの信頼を失わせることに繋がる。
上でいった通り、審判がミスをすることは別に世界の終わりではないのだ。だが、起きたミスに対して審判やPGMOLが全く責任を取らないのであれば、それは非常に大きな問題だ。
これにより、アーセナルは不服申し立てのプロセスを経る必要があり、何が深刻で悪質なファウルなのかの前例を考えればこれはアーセナルに分があるとは思うが、PGMOLは過ちを認める代わりに、公の場でこれは衝突・対決にしてしまった。
人間は完ぺきではなく、我々誰しもがミスをする、というのは比較的受け入れることが容易な主張だ。だが、スポーツ、仕事、政治など、分野に関係なく、それを否定するのは一部の最悪な種類の人間にのみ見られる兆候だ。
もちろん我々はそういった人々を何度か見たことがあるだろう。そして、我々はそういったタイプの人々が他人の人生に悪影響を与えることも知っている。
ミスを認めても、ミスがなかったことにはならないが、少なくとも信頼を得ることはできる。それをしないと何が起きるかは…それがまさに今のサッカー界で起きていることだ。
ルイス=スケリーの退場に関して特に皮肉で最悪なのは、最近何週間もの間、プレミアリーグの審判たちがずっと危険なタックルや暴力行為をずっと無視し続けてきたという点だ。
頭の後ろへの肘打ちや、足の裏を見せながら脛に飛び込むようなプレイ、選手のアキレスけんを蹴りつける行為、両足で飛び込むタックル。これらは『深刻で悪質なファウル』ではないが、ルイス=スケリーのプレイはそうだったというのだろうか?
いい加減にしてくれ。
明らかにハワード・ウェブは近年こういったプレイを見逃し、ファウルやカードの基準を厳しくするよう指示を出している。
そんな中で、単に足を引っかけただけのプレイがレッドカードで3試合出場停止に値するというのは受け入れられるものではない。
本来PGMOLの最も重要なミッションの一つは、ルールを遵守させ、危険なプレイを防ぐことで選手たちをケガから守ることのはずだ。
だが、彼らは全くこれが出来ていない。
さらに言えば、PGMOLには従業員を守るという義務もあるはずだ。今回のような対応をすることで、更にマイケル・オリバーへの注目は集まり、彼に寄せられる誹謗中傷も増えるだろう。なぜなら、ハワード・ウェブが次の後ろに控えてTV番組の次の出番を待つ間に、話題の中心となるのはオリバーなのだから。
PGMOLは今回の件への対応を大きく間違えた。出来る限り彼らが良識を取り戻してくれないのであれば、全てのサッカーファン、サッカークラブ、監督、選手はこの事態を憂慮すべきだ。彼らは共に働く審判たち含めたサッカー界の関係者全員を裏切っており、今後この団体がどのように運営されるべきか、誰に率いられるべきか、真剣に検討されるべきだ。
真面目にずっと続く問題への対策を考える、あるいはこの団体そのものを解体して新しく始める必要がある。ファンは目の前で起きていることがわからない愚か者ではないし、自分たちのミスをファンのせいにするとは、なんと臆病なことだろうか。
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この記事は全くその通りと思う。間違いを認めることは権威を損ねることでも、審判の安全を損ねることでもないと言う声を大きくしていくことが必要。