過小評価されがちなジョルジーニョ

分析Tim Stillman,海外記事

昨年冬にアーセナルがジョルジーニョを獲得したのは、アーセナルがトーマス・パーティのフィットネス面が安定せず、違うタイプの控えを獲得する必要性を認めた結果だった。

エルネニーは怪我をしていたし、サンビ・ロコンガも思うような活躍を見せられていなかった。

ジョルジーニョは18か月+1年のオプションという形でアーセナルにとっては応急処置的な、短期的な将来のことを考えた補強となった。

ウィリアンの獲得が大失敗に終わって以降、アーセナルはこのような短期的な獲得を避ける傾向にはあったが、もちろんそれは必ずしもこのような種類の獲得に意味がない、ということではない。

現役時代のアルテタやキャリックがそうであったように、ジョルジーニョは過小評価されがちな深い位置でのプレイメイカータイプの選手で、結果的にアーセナルのジョルジーニョ獲得は成功だったように思える。

第一にアーセナルの25歳以下の選手でチームの主力を固めるという方針は良いものだが、それでも何人かはチームにはベテランが必要だ。ジャカが去り、トーマス・パーティが全くチームに帯同できない中、ジョルジーニョの存在感は増しているし、彼の経験はチームにとって非常に有用であるはずだ。

そして、現在アーセナルはチームの理想的なバランスを模索しているが、オレクサンドル・ジンチェンコが昨季ほどの活躍を見せられない際にそれが可能となるのはジョルジーニョがチームにいるおかげだ。

冨安を左サイドバックに起用すれば守備はよりソリッドになる一方で、低い位置でのゲームメイクはジョルジーニョが担うことができる。

同時に、アルテタはジョルジーニョがアーセナルでプレイしてくれる期間中に、もう少しだけ余裕を持って、デクラン・ライスとカイ・ハヴァーツに最も適したポジションがどこなのか悩むことができる(彼らは真逆の理由で同じ問いに直面しているわけだが)。

ライスは6番8番の両方で素晴らしいプレイが見せられるが、個人的にはCBからボールを引き出してそれをパスで前線へと送る能力はまだパーティやジョルジーニョの域には達していないように思う。

ただし、ライスがそれをマスターするのにそこまで長い時間は必要ないだろう。彼の学習能力は素晴らしい。

現状カイ・ハヴァーツが左の8番のポジションで全く活躍できていないため、ライスをこの位置で起用するのもオプションとなっているが、これもジョルジーニョが中盤の底を任せるに足るクオリティを備えているからだ。

今の所ハヴァーツだけでなくスミスロウやビエイラもこのポジションをものにするには至っておらず、この問題に結論が出るまでの応急処置として、ジョルジーニョは非常にチームにとって役立つ存在だ。

さらに、最近ウーデゴールの欠場が続いているが、その際にはジョルジーニョがキャプテンを務め、ウーデゴールに代わって技術的な部分と精神的な部分両面からチームを導く役割を担っている。

それが最もよく見て取れたのがセビージャ戦で、ジョルジーニョは試合も残り数分という場面で交代となったが、遠回りでピッチを回りながらベンチに歩き、その間にボールが近くに来るたびに立ち止まってはチームメイトへと指示を飛ばしていた。

このようなピッチ上の監督の役割はこれまでジンチェンコやウーデゴールが務めることが多かったが、彼らの不在に伴って、ジョルジーニョがチームを導いているのだ。

今のジョルジーニョは2021/22シーズンの終盤にエルネニーが起用されたときのことを少し思い起こさせる。

この時トーマス・パーティは怪我で不在で、代役としてロコンガを起用したがうまくいかず、グラニト・ジャカの左サイドバック起用なども試していた。

これらはすべてうまくいかず、結果的にアルテタはエルネニーを起用することを選択した。チームが必要としていたのは彼のような大人な選手だった。

エルネニーのようなシンプルさをこの時のチームは必要としていたし、ジョルジーニョは技術面ではエルネニーよりも数段上かもしれないが、スタイル的には共通するものがある。

アーセナルが過去にチェルシーから獲得した選手の戦績は芳しくなく、このためジョルジーニョはアーセナルファンから高く評価されづらい。また、そもそもサッカーファンというのは基本的に足の速い選手を好む傾向にもある。

とはいえ、確かに体の強さと足の速さはサッカー選手にとって非常に大切な要素ではあるが、これらは目で見て分かり易い要素であるがゆえに評価されやすい、という側面もある。

もちろん、全ての試合にジョルジーニョのスタイルがフィットするわけではなく、例えばトランジション・コンテストの様相を呈しており、元気はつらつとしたギャラガー、パーマー、スターリングらに対応しなくてはならなかったスタンフォードブリッジでのチェルシー戦のような試合もあるが、一方でジョルジーニョのスタイルが合う試合も多くある。

過去の名手と呼ばれるプレイメイカー達で、素晴らしいスピードを備えていた選手というのは多くないはずだ。

結果的にジョルジーニョは怪我や試行錯誤でアーセナルに生まれる穴を埋めるのには最適な選手で、もちろん去就なども取りざたされており、彼がアーセナルの将来を支える選手ということはないだろうが、今のアーセナルにとって彼はまさに適したMFなのだ。

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Posted by gern3137