マルティン・ウーデゴール: 互いにとっての最適解と遂に見つけたホーム

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マルティン・ウーデゴールがアーセナルとの契約延長に合意したことが発表された。

少し前からこれは報じられており、サプライズだったというわけではないが、それでもこれは素晴らしいニュースだ。The Athleticによると、アーセナルとウーデゴールは5年の契約延長を行い、これにより、彼はクラブで最高給を得ることになったそうだ。

これは全く迷う必要がない契約延長と言っていいだろう。もちろんこれは最近アーセナルが契約延長を勝ち取ったほかの若手選手たち全員に言えることではあるが、それでもアーセナルが革新を遂げるにあたって非常に重要な役割を果たしたウーデゴールとの契約延長は少しばかり特別に感じられる。

冬にローンでアーセナルにやってきた時から彼がいかにしてチームのレベルを引き上げてくれる選手であったかは明らかで、申し訳ないが同じくローンで以前マドリードからやってきたセバージョスとのチームへの貢献の違いは明らかだった。

今にして思うと、この冬のローン遺跡は非常に興味深いものだった。それまで全く噂などされていなかったウーデゴールのアーセナル行きの話は突然降ってわいたように現れ、それまでのアーセナルの怪しげな補強方針からの転換点となった。

ローン終了後には、お決まりの『完全移籍の可能性はない』『レアルはウーデゴールを留めたいと考えている』『アーセナルは代役としてマディソン、ブエンディアを狙っている』などなど、お決まりの報道があった。

この時点で私はもしレアル・マドリード側に放出するつもりがあるのであれば、他のオプションではなくウーデゴール獲得を目指すべきであるという旨を書いたが、忘れてはならないのは、この時アーセナルはリーグ8位に終わり、欧州コンペティションへの出場権はなし、と今とはクラブを取り巻く空気が大きく異なっているという点だ。

結果的にこの夏アーセナルは若手路線にかじを切り、ラムズデール、冨安、ホワイト、ウーデゴール、タヴァレス、ロコンガを獲得した。夏の獲得のうち66.6%が素晴らしいものだったというのはかなり良い割合だろう。

そのうちの一人であるウーデゴールは今やクラブのキャプテンさえ務めている。

何週間か前に二コラ・ペペの去就が話題になり、結果的に彼はポテンシャルはある選手だがアーセナルには合わず、かつアーセナルもペペにとって適したクラブではなかったことから、タイミングも悪く彼のキャリアはこのような道筋を辿ってしまったわけだが、いうなればウーデゴールはそれの正反対だ。

ウーデゴールはまさにアーセナルが必要としていた選手そのもので、同時にアーセナルのようなクラブこそがウーデゴールが必要としていたい場所だった。

完璧なタイミングで現れた完璧な選手だった。

ウーデゴールの才能に疑問が呈されたことは一度もなかったが、レアル・マドリードではうまくいかず、ローン先で結果を出してもなかなか出場機会を得られずにいた。

彼はどこかに根を下ろして落ち着き、かつて欧州中のクラブが15歳の彼の中に見た姿を取り戻す必要があった。

インタビューでも実際にウーデゴールは

腰を据えて落ち着ける場所を見つけることは非常に重要だった。そして、アーセナル初日からここがホームだと感じられた。すごく気分がよいし、ここが僕のホームなのは間違いない。契約を延長出来て、ここに居られてとてもうれしいよ。

と語っていた。

彼はアーセナル移籍後非常に大きな成長を見せているだけではなく、見ていてとても楽しい選手だ。彼のスキルとテクニックが観衆を魅了したかと思えば、次の瞬間には彼はプレスや守備のカバーに泥臭く走ることが重要なのだと見せつけんばかりに走っている。

特に北ロンドンに来て以降伸びたのがその得点力で、昨季彼はプレミアリーグ15得点を挙げた(例えばこれはイヴァン・トニーを上回る数字だ) し、今季もすでに3得点を挙げている。

だが恐らくチームにとって最も重要なウーデゴールが備えたクオリティはピッチに居ながらにして監督と同じような戦術眼を備えている点だろう。

アルテタは少し自身とウーデゴールを重ねているようにも見えるし、彼にキャプテンを任せるというのは本当に素晴らしい決断だった。

彼は常にチームのためにハードワークをし、他の選手の模範となってチームを引っ張ってくれる。さらに、自身以外の選手がリーダーシップを発揮してくれる場面があれば余裕をもってそれを受け入れるだけでなく、もし必要があれば自分より年長の選手に異を唱え、自分が正しいと思うやり方を貫くこともいとわない。

昨季アーセナルがサウサンプトン相手に2点のリードを許した際にジンチェンコがチームで円陣を組もうとした(特にこれが悪い意図のものだったとは思わないが、少々場違いではあったかもしれない)際に、即座にチームにピッチに散って早くプレイを再開するぞ、と指示したのはウーデゴールだった。

そして、これは何度も繰り返し語られることではあるが、今の選手の移籍市場はまったくもってクレイジーなことになっている。トップレベルでの経験がない若者でも平気で60m-110m£程度の移籍金で移籍する時代だ。

そんな中、ウーデゴール獲得に費やした移籍金がたった30m£というのはアーセナル史上どころかサッカー界史上最高のバーゲンの一つだろう。

そして、彼は今回他の若手と同じく自身の長期的な将来をアーセナルにコミットすることを選択した。向こう数年間のアーセナルで何が起きるのか、非常に楽しみだ。

これはウーデゴールがアーセナルに初めてやった時のチーム状況とは対照的で、もちろん彼以外の選手もみんな素晴らしいが、ウーデゴールこそこの数年でアーセナルが成し遂げた変革を象徴するような選手だといえるだろう。

選手としての非常に高いクオリティ、前に進む意志、野心、ハードワーク、アーセナルのユニフォームそしてキャプテンマークを身に着けるということの意味への理解。

ウーデゴールはこれらを申し分なく備えており、これ以上何も求めるものはないだろう。

もちろん、次の試合での1,2得点を除けば、ということではあるが。

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Posted by gern3137