マルティネッリとそのルーツ、フットサルに関して

分析Tim Stillman,海外記事

ブラジルの選手たちは若いころ、路上でスキルを磨くのだというイメージがあるかもしれないが、実際のところ、彼らはむしろ屋内でその技術を身に着けることも多い。

フットボル・デ・サラオ(インドアサッカー)の略であるフットサルは1930年代にブラジルで生まれたとされ、芝生のピッチを確保するのが難しい場所では、サッカーの代替スポーツとしてブラジルで高い人気を誇っている。

ペレやジーコ、ロナウドやリバウドといった歴代の名手たちもフットサルでそのスキルを磨いたとされており、特にドリブルに関しては、フットサル独特の技術が生まれている。

フットサルでは通常のサッカーよりもボールが重く小さいことが多く、かつコートは小さく表面が堅い。このため、選手が得られる時間とスペースは限られている。伝説的なブラジル人選手たちががみなタイトなエリアでのボールタッチが上手いのは偶然ではないだろう。

そして、同じことがガブリエル・マルティネッリにも言える。

以前インタビューでマルティネッリは『他の選手にも言えると思うけど、僕はそこまでたくさんストリートでプレイしたことはないんだ。僕の家のすぐ近くにフットサルアカデミーがあったからね。父親にいつもそこに連れて行ってもらっていたよ』と答えていた。

ブラジルでのフットサルを知る者が見ればマルティネッリのスタイルにフットサルが大きな影響を与えているのは明らかだ。

もともとはマルティネッリはコリンチャンスのフットサルアカデミーの所属であり、サッカーをプレイし始めたのはかなり遅かった。マルティネッリ自身が『フットサルでの経験は本当に役立ったよ。今でも僕はフットサルのようにボールをコントロールしている。他の選手のトラップを見てもたまに「おお、この選手はフットサル出身だな」と思うことがあるね。』と話している。

マルティネッリがボールを一度トラップし、一瞬相手を引き寄せてからすぐに高速で相手からボールと自身の体を離すやり方はまさにフットサルのものだ。

マルティネッリはドリブル突破の際に派手なフェイントを見せることはほとんどないが、恐らくそれもフットサルではそのような時間の余裕がないからだろう。

また、マルティネッリのプレイでもう一つフットサルの影響を色濃く感じさせるのが彼のボールを片足からもう一方の足へと移動させるプレイだ。最近のウエストハム戦でのゴールがその素晴らしい例だ。このようなボールのシフトはフットサルでシュート前によくみられる。

言葉で説明するのは少し難しいが、彼は特異なリズムでボールを動かし、相手を驚かせることができる。もの試合でも恐らくマルティネッリのシュートは相手GKが予期していたタイミングよりコンマ数秒程度早く放たれ、虚を突かれた形となった。このようなタイミングの速さも0.1秒ですらも重要になるフットサルでプレイしてきた選手ならではのものだ。

フットサルのボールはサッカーのものよりも重いため、ボールをよりクリーンに蹴る必要があるし、ゴールのサイズが小さいため、グラウンダーの素早いシュートが好まれる傾向にある。

また、つま先でつついたようなブライトン戦のマルティネッリのシュートはフットサル出身で最も偉大な選手の一人であるロマーリオを思い起こさせ、まるでフットサルコートで決まったかのような得点だった。

同じくボールの重さと蹴るスピードが理由で、フットサルでトーキックでのシュートは通常のサッカーでよりもはるかに好まれている。

もともとより重いボールと小さなコートに慣れている選手のリズムにフットサルを経験したことがないDFが対応するのは難しくなる。

フットサルで重要になるのは、直感的な判断とそのスピード、効率の良さだ。そしてそれは華やかなフェイントや派手に相手の注意を引くようなプレーをあまり見せないマルティネッリのスタイルにも反映されていると言えるだろう。フットサルコートではそのような時間がないからだ。

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Posted by gern3137