アーセナルの移籍市場終盤戦を考える

移籍

プレシーズン最後の一戦でセビージャ相手に快勝を収めたアーセナルだが、いよいよプレミアリーグ開幕も来週末に迫っており、8月末まで移籍市場自体は開いているが、ここからはシーズンを戦いながら同時並行で選手獲得と放出を進めていくことになる。

この試合後アルテタは『放出を進める必要がある一方で、まだチャンスがあれば選手獲得も行いたい』といった旨のコメントをしていたが、今回はアーセナルの移籍市場終盤戦、8月の動きについて考察していこう。

2022/23夏の移籍市場ここまでの動きのまとめ

まずはここまでのアーセナルのビジネスをまとめてみよう(ファーストチームの選手のみ)

獲得

マルキーニョス(ウイング)
ターナー(GK)
ビエイラ(CMF?ウイング?FW?)
ジェズス(ストライカー/ウイング)
ジンチェンコ(左サイドバック/CMF)
サリバ(ローンからの復帰)

かなり早めに、かつ昨年に引き続き比較的派手な動きを移籍市場で見せているアーセナルだが、獲得に関してはかなり順調に行っていると言っていいだろう。

念願の正ストライカーもジェズス獲得をシーズン開幕前に決め、彼は既にかなりチームにフィットし違いを見せているし、レノの移籍が濃厚となっている中控えGKのターナーは冬に既に獲得に合意しており、有望な若手のマルキーニョス、ジェズスと同じくプレミア経験豊富なジンチェンコと、即戦力と層を厚くする獲得を並行して行えている。

怪我を抱えているビエイラの起用ポジションがどこで想定されているかだけは若干不透明だが、恐らくプレミア律年目ということもあり、サカやウーデゴールあたりとのローテーション要員という想定ではないだろうか。

CBもサリバがローンから復帰したことでガブリエル、ホワイト、サリバ、ホールディングとハイレベルな4人(冨安も含めれば5人)が揃うこととなった。

放出

ラカゼット(フリー)
タヴァレス(ローンでマルセイユへ)

一方で、これはアーセナルだけではないものの、選手の放出にはかなり苦戦している。ここまでの所放出で成立したのは、契約満了のラカゼットや昨季の時点で合意していたゲンドゥージやマヴロパノスを除けばタヴァレスのローン移籍のみで、8月のアーセナルの課題がまず構想外となっている選手の放出をできる限り成立させることであるのは間違いないだろう。

レノのフラム移籍はどうやらそろそろ決まりそうだが、ベジェリンのベティス移籍も交渉に時間がかかっているようだし、トレイラのセリエA行に関しては昨季素晴らしい活躍を見せたにもかかわらず買取オプションが行使されず(厳密にはより低額での移籍を求められ、破談となったようだ)、今の所他のクラブが真剣にオファーを出しているという話もないので、他の選手に関してもかなり難しいオペレーションを強いられそうだ。

もしかすると、エドゥはまたしても伝家の宝刀契約解除を駆使する必要が出てきてしまうかもしれない。他にもオファーがあれば移籍の可能性が高そうな選手にはナイルズ、ネルソン、マリ、ペペ、ルナルソンあたりが居るが、今の所特に話が進んでいる様子は見られない。

ナイルズとネルソンあたりはイングランド人の若手と言うこともあり、それなりの移籍金がついても良さそうなものだが、恐らくこれらもまた、成立するにしても移籍市場最終盤となる可能性は高そうだ。

クラブ残留の可能性がなくもなさそうなのは、獲得の動向(とペペの去就)次第で右ウイングのオプションとなってくれるかもしれないネルソンと、アルテタは左利きの左CBにかなりこだわりがあるようなので、左利きのCBが現状ガブリエル一人しかいないため、その控えとなりうるマリあたりだろうか。

逆に、サプライズでの放出があるとすれば、冨安もCBとしてプレイすることが出来ることを考慮すると若干人数が多くなってしまうCBのポジションで、ホールディング、あるいは最近は頻繁に移籍の噂がついて回るグラニト・ジャカあたりだろうか。ジャカはともかく、ホールディングが今のチーム内での自分の序列をどう考えているかは少し興味深い所だ。

サプライズはあるか?

セビージャ戦後のアルテタのコメントであった選手獲得というのはどのポジションの選手を指しているのか、という点だが、これは恐らくウイングの可能性が高そうだ。ずっとターゲットと報じられているティーレマンス獲得の可能性もなくはないかもしれないが、もしクラブがティーレマンスのことを本当にチームに必要な戦力とみなしているのであれば、いくら競合がおらず、値下げ交渉を行う余地があるとはいえ、それでもシーズン開幕前に獲得してしまった方がメリットが大きかったはずだ。したがって、ここまで来てしまうと、怪我人が出るか、予想外の放出(アスレチックはジャカの放出があればティーレマンス獲得に動くだろう、と報じていた)などがない限りは、そこまで優先度は高くないのではないか、と思わざるを得ない。

一方で、ファブリツィオ・ロマーノ記者がアーセナルはチャンスがあればトップレベルのウイングの獲得を狙っていると話していたりするなど、アーセナルがこの夏ウイング獲得に興味を示しているのは公然の事実だ。

非常に積極的にラフィーニャ獲得に向けて動いていたし、これだけ強い興味を持っていたポジションを、突然諦めてしまう可能性は低い。実際にリサンドロ・マルティネス獲得に失敗した際には、すぐにジンチェンコ各お得に切り替えたことからもわかる通り、代わりのターゲットも何人か選定されていることだろう。

実際に実現可能性がどれだけあるかはともかく、噂レベルではあるが、リロイ・サネやジャロッド・ボーウェンあたりが候補として挙がってはいる。

アーセナルがウイング獲得を目指している背景には、現状ストライカーがジェズスとエンケティアの二人しかおらず、万一ジェズスが怪我で数か月離脱、などといった事態になってしまうと一気に不安な陣容になってしまうため、マルティネッリあるいはスミスロウあたりを中央に回す可能性も考慮している可能性もある。

そういった意味では、アーセナルにとって理想の獲得は右ウイングとストライカー両方がこなせるような選手、ということになるかもしれない(かつチームを変えられるようなトップレベルの選手、となるとそんな都合の良い存在が何人もいるとは思えないが)

ただし一方で、現状左ウイングはマルティネッリとスミスロウ、右にはサカ、ジェズスもサイドがこなせる選手だし、昨季は構想外気味だったとはいえペペもおり、マルキーニョスとネルソンがスカッド当落線上くらいに位置している。

若手のマルキーニョスとネルソンはともかくとして、スカッドの人数的にもある程度放出を進めないと、特に非ホームグロウン選手の獲得はかなり難易度が高いだろう。

ペペの放出がない限りは、新たなウイングの獲得は難しいかもしれない、、、と言いたいところではあるが、ただラフィーニャ獲得にトライしていた時点でペペの放出は進んでいなかったはずなので、仮にペペが放出できず、彼の出場機会がほとんどなくなってしまうとしても、それでも新たなハイレベルなウイングを獲得する覚悟をフロントは決めているのかもしれない。

その場合は、ネルソンやマルキーニョスは恐らくローンに出る方が得策だろう。

いずれにせよ、ここまで順調なアーセナルの移籍市場だが、あと一か月まだまだ課題は残っている。アーセナルは9月をどのようなスカッドで迎えることになるのか、楽しみに見守りたい。

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Posted by gern3137