今季アーセナルのNEXTエルネニーになりうるのは? 前編

分析

既に始動しているアーセナルのプレシーズンですが、ドイツキャンプを経て、昨日アメリカツアーに帯同するスカッドが発表されました。

どちらかというと若手がかなり少なめな構成で、ユース組からメンバー入りしたのは第三GK候補のオコンクォと17歳でユースでは主に右サイドバックを主戦場としているウォルターズのみでした。逆に言えば有望な選手も何人かいるアタッカー陣やファーストチームデビューも果たしているパティーノを差し置いてメンバー入りしたウォルターズはその分期待も大きいという見方も出来るでしょうか。

先日は右CBとして親善試合でプレイしていたものの、現状のアーセナルの右CBの層を考えると、どちらかというとユースチームと同じく、右サイドバック候補として考慮される可能性が高そうです。

そして、アーセン・ベンゲル時代などであれば例年ユースの若手が占めていた枠を今年のプレシーズンツアーは意外なほど多く、移籍が近づいている、あるいはアルテタのプラン外に見える選手たちが占めていました。

これに関連して、先日のarsecast内で今季"エルネニーする"(一見戦力外・移籍濃厚に見えたが、そこからカムバックしてスカッドのメンバーに復帰する、くらいの意)可能性最もありそうなのは誰か?という質問が飛んでいて言い得て妙だな、と感じた同時に興味深い問いでもあるので考えてみたいと思います。

ルーカス・トレイラ

今回のツアーのメンバー入りが最も意外だった選手といってもいいのがこのトレイラです。フィオレンティーナへのローンで素晴らしい結果を残し、そのまま買取で完全移籍となるのが既定路線でしたが、土壇場でフィオレンティーナが資金を用意できず破談、ただしその後もトレイラ自身が『アーセナルに残るのはノーチャンス、そもそも初日から戦力ではないと告げられた』といった旨のコメントを出すなど、どのような形であれ、移籍は決定的に見えます。

実際に、チームへの合流も遅れていました。

ただ、今回のプレシーズンツアーには招集されているので、インタビューでの発言は、トレイラでの意向ではあるかもしれないものの、アーセナル側も納得づくのものというわけではなかったのかもしれません。

移籍先探し、コンディション調整という面があるのはもちろんだとは思いますが、まだアーセナルとの契約は残っていますし、残留の可能性が0%になったというわけではないでしょう。

ポジション面では現在アーセナルが獲得に動いていると思われる中盤の選手で、体格は若干不安ではありますが、今のアーセナルの選手では守備力という面で、パーティの控えとして、単独でアンカーを任せても何とかなる可能性がありそうな唯一の選手でもあります。ジャカやパーティと並べてツーボランチの一角でも良さそうですし、実際にアーセナルに移籍してきた直後は印象的な活躍も見せていました。

適正的には今回紹介する選手たちの中でもナンバーワンと言えるほどアーセナルでの居場所がありそうなのですが、やはり一番のネックとなるのはトレイラ自身が完全にアーセナル、というかイングランドでプレイする気がなさそうな点でしょうか。再三再四移籍希望の旨をコメントしていますし、最後にプレミアリーグでフルシーズンプレイしてからかなり経っています。

ただし、プレミアリーグ経験があるのは事実ですし、当時のプレイを見るにプレミアリーグでやれないということはないはずです。どちらかというと、気候や文化、コミュニケーションなどの障壁の方が大きそうです。唯一逆転の残留の可能性があるとすれば、国籍こそ違いますが、ガブリエル、マルティネッリ、ジェズス(みんなガブリエルですが)、マルキーニョス、地理的にはトレイラの母国ウルグアイと比較的近いブラジル人選手がかなりアーセナルに増えている点でしょうか。

スペイン語とポルトガル語というのは比較的似ているようですし、アルゼンチンのリサンドロ・マルティネス獲得の噂もあります。アルテタはもちろん、ウーデゴールもスペイン語を話せます。このあたりでもしかすると以前よりも大分アウェイ感がなくなっているとトレイラが感じ、アメリカで良いパフォーマンスを見せれば、もしかすると逆転残留の可能性もなくはない、でしょうか。

リース・ネルソン

ラフィーニャはバルセロナ移籍が決定しましたが、ラフィーニャと比べるとトップリーグでの経験は少ないものの、もしアーセナルが探しているのがペペに代わる右ウイングの控えなのであれば、ネルソンもいます。

ユース時代から神童と目されていた選手でしたが、最近は停滞している感が否めませんでした。昨季はフェイエノールトにレンタルとなり、最初こそ苦戦しましたがシーズン終盤にかけて調子を上げ、最終的にはリーグ戦とカンファレンスリーグ合わせて31試合4ゴール7アシストとまずまずの数字を残しています。

交代出場も多かったので、分数ベースで見ると151分ごとに1ゴール/アシストを記録していることになり、こうしてみるとこれはかなり高水準です。

目を見張るような結果、というほどではありませんが、ついにトップチームで結果を残せたのはネルソンにとって大きな自信につながるでしょう。

アーセナルで出番がありそうか、という点に関してですが、ペペを放出するのであれば、現状純粋な右ウイングはサカのみ、マルティネッリやビエイラあたりが右での起用も考慮されて居そうですが、今季のアーセナルにはヨーロッパリーグもあることを考えるともし残留するのであれば、ある程度出場機会はあるかもしれません。

アーセナルユースで育った選手でもあり、もしアルテタが評価し、残留を望むのであればネルソン側にもアーセナルでもう一度トライしたい、という気持ちが残っていてもおかしくはありません。少なくとも今回の記事で紹介する他の選手と比べると比較的アーセナル残留へのモチベーションは高そうに感じられます。

ただ、フェイエノールトでの獲得を見るに、やはりそろそろ本人のキャリアとしてはアーセナルに残るよりも、レギュラーとして起用してくれるクラブに移った方が良さそう、というのと、残り契約一年とは言え、プレミアリーグ経験が少しはあるイングランド人の若手、直近のローン先での数字はまずまず、と売却するのであればそれなりに移籍金が獲得できそうな条件が揃っている数少ない選手の一人でもあるのでアーセナルとしても難しい所かもしれません。

アレックス・ルナルソン

正直に言って、ルナルソンはもう完全に戦力外かと思っていたので、トレイラと並んでアメリカツアーのメンバー入りしたのは非常に意外でした。

アーセナルではポジションを失っているとはいえ、既にフランス一部などでのプレイ経験もある選手が流石に第三GKとしてのプレイを受け入れるとも思えません。

ただ、冷静に考えると、レノはフラム移籍に近づいているようですし、今のアーセナルのGKは盤石とは言えません。第二GKとして獲得されたターナーは素晴らしいシュートストッパーという評判ではあるものの、ヨーロッパでのプレイは未経験です。

アーセナルで得た非常に少ない出場機会の中でのプレイの印象がどうしても強いですが、リーグアンで30試合以上に出場しているルナルソンは昨季もシーズン途中からベルギーのOHルーヴェンでレギュラーを奪取していますし、それなりに実績のあるGKではあります。

流石にラムズデールのポジションを脅かす、ということはないでしょうが、もしこのプリシーズンで過去の評価を覆すようなプレイを見せられれば、アーセナル上層部の意見も変わり、第二GK候補となる可能性はゼロではないかもしれません。(ただそうなると今度はターナーの居場所がなくなり、それはそれで少し困った状況になってしまいますが)

ただ、あくまで個人的な体感としては今回紹介した3人の中では一番(トレイラも相当復帰の可能性は低そう、というかそもそも全員退団が濃厚の選手に焦点を当てて万一残留するとしたら、という趣旨で紹介しているのですが)残留の見込みは薄そうに感じられるでしょうか。

(後編に続きます)

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Posted by gern3137