アーセナルはアンラッキーなのか?

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アーセナルが最近の試合で記録したxG、被xGと実際の得失点との乖離を示す上のツイートが非常に話題になっていた。

確かに、単にxGだけを見るのは試合の文脈などを欠いてしまうこともあり、今回はそれに関する検証を行っていきたいと思う。

一見不運に見えるアーセナル

私のxGモデルでは、The xG Philosophy算出の者とは若干の違いがあり、アーセナルのこの3試合でのxGは7.1、被xGは4.5となっている。

まずこれをベースに、各シュート毎の得点可能性に基づいて、アーセナルの得点と失点の確率の分布図を見て見よう。

得点可能性の分布図。一番可能性が高いのは6得点あるいは7得点で、2得点しか挙げられない可能性は1%程度とかなり低い
失点の可能性の分布図。一番可能性が高いのは4-5失点で、こちらも8失点する可能性はかなり低く、3%程度となっている。

この二つの分布図を見ると、確かにアーセナルはかなりアンラッキーであるように見える。純粋にxGだけを見ると、アーセナルが8失点する可能性は3%程度、2得点しか出来ない可能性は1%程度だ。

だが、もう少し深い考察を行うために、試合の状況に応じた数字を見て見よう。

同点の場合

アーセナルは、試合のスコアが同点である際に18本のシュートを放ち、2.18のxGを創出している。ここから1得点を挙げた。

一方で同じく同点の際に16本のシュートを赦し、被xGは1.64、実際には4失点をした。

実際の試合の内訳を見ても、xGから考えると、アーセナルは同点時のパフォーマンスは相手を圧倒出来ているというわkではないが、悪くはない。また、シュート後xGを見て見ても、2.4となっている一方で実際には4失点してしまっていることを考えると、ラムズデールが少々不調に陥っているという見方は出来るかもしれない。

その一方で、アーセナルのシュート後xGも2ありながら1得点しか出来ておらず、相手GKの好調に阻まれている。実際の所、リーグ平均の枠内シュート率は30%程度だが、アーセナルは枠内シュート率38%を記録しており、どちらかというとより多くシュートを枠に飛ばしているのだ。

ビハインド時

特筆すべきは、上のトータルのxGのうち、その多くがアーセナルがビハインドに陥って以降に記録されているという点だ。50本のシュートから4.54のxGを創出しているが、実際の得点は1点に終わっている。

一方で、ビハインド時にアーセナルは16本のシュートを赦し、被xGは2.58、失点は4(ただしこれには一本のPKを含む)となっている。

特に直近の3連敗でこの傾向は顕著に表れており、ビハインド時に48本のシュートを打ち、かつこれらのうち半分は75分以降に生まれている。

しかし、残念ながらこれらのシュートのほとんどが非常に得点可能性の低いシュートだ。対戦相手が低く構えてスペースを与えてくれないため、無理やりにでも遠くから打ちに行った結果となっている。

アーセナルのシュート1本当たりのxGの分布。0.1(得点可能性が10%以下)のシュートがほとんどとなっている。

アーセナルはシュート多く打てて入るが、このうち、悪く無いチャンスと言えるのは3度しか作れていない。

確かに、いくら得点可能性が低いシュートだったとしても、これらが全く入らない、という点でアーセナルは少々アンラッキーだともいえるが、一方でより見込みの高いチャンスを全く作り出せていないというのも事実だ。

現状アーセナルは相手に先制された瞬間にゲームオーバー、と言ってもいいくらいのチームとなってしまっている。


感想:

xGのトータルは高い一方で、ビッグチャンスは少なく、見込みの薄いシュートの多さが積み重なってxGが増えていた、というのはこの3試合を見ていた印象と一致しているように感じます。

パーティの離脱、そして、得点力のあるストライカーが不在の現状でこの流れを即座に変えられるとはなかなか考えづらく、このような展開でもアーセナルが得点を決めるためには、このような見込みの薄いシュートも得点に変えらえるような選手の起用が対策の一つして考えられるでしょうか。

そういった意味では、前線の誰を下げるかは難しい所ではあるものの、多少無理やりにでも得点を決められるタイプの選手である二コラ・ペペの先発起用は見て見たい気がします。

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Posted by gern3137