ベン・ホワイトがアーセナルにもたらしたもの 後編

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多くのDFに共通して見られる特徴は、相手からのプレッシャーを受けた段階で、ボールを手放してしまうことだ。もちろん、これは相手にボールを危険なエリアで奪われるという結果は回避できるが、この結果ルーズボールが相手に拾われ、ポゼッションを失うことも多い。

だが、ホワイトはどのような状況下でも冷静さとコントロールを失わない。

ホワイトは相手が自分に向かってくるのを感じ取ると、攻撃面でチャンスだととらえることが出来る。それがよく表れているのが下の場面だ。

ウルブズ戦のこのシーンで、まずホワイトはバウンドするボールを冷静にコントロールすると、ヒ・チャンからのプレスにも慌てず、前のサカへのパスを通して見せた。

ボール保持時のプレイ精度の高さで、プレミアリーグでホワイトと同レベルにあるCBはほとんどいない。

アーセナルの前線にはウーデゴール、スミスロウ、サカといったタレントが揃っているが、彼らを輝かせるのに一役買っているのがホワイトなのだ。

ボールをファイナルサードへと運ぶことの重要性は過小評価されがちだが、ホワイトのボール前進能力がなければ、前線の選手たちは頻繁に自陣へと降りてきてボールを受けなければならないだろう。

だが、ホワイトは自力で相手をかわし、ボールを前へと運ぶことが出来るため、前線の選手たちがより前のポジションを取ることが出来る。

ポジショナルプレイにおいて、相手をかわし、数的有利を演出できる選手の存在は非常に大きく、ホワイトのボール保持時のクオリティのおかげでアーセナルがボールをファイナルサードに運ぶのは容易になっている。

ホワイトのグラウンダーのパスがアーセナルの攻撃の第一段階と第二段階において必要不可欠である一方で、同時にホワイトのより長距離の浮き球のパスは、ビルドアップの回避先になるとともによりダイレクトなチャン創出が可能な武器となっている。

上の画像の場面で、ホワイトは周囲を観察すると、ウーデゴールが後ろに降りて相手の左ウイングバックを引き付けていることを見て取り、サカに向けて裏へのロングボールを放った。

このような一発を狙うパスは、直接的なチャンスに繋がらない場合でも、チームの前進を助けてくれる。このようなボールに対して、相手は外にクリアするか、あるいはセカンドボールを巡るアーセナルの前の選手たちとの勝負を挑まなくてはならなくなるからだ。

ホワイトのパス能力の高さは明らかだが、もう一つ彼の目立った特長は、高い位置で非常にアグレッシブであることだ。これはガナーズが相手にプレッシャーをかけ続け、相手陣内に相手を留めておく上で重要な役割を果たしている。

ホワイトはハーフラインを越えて出ていくようなデュエルに強く、足を出してチームメイトの方へボールを弾くことが出来る。これもまた、単なる危機回避だけではなく、攻撃の始動にも繋がる。

今季が始まる前には、ホワイトとガブリエルは一度もともにプレイしたことはなかったわけだが、理論上はホワイトが獲得された時点で既にこの二人は良いコンビになるだろうと思われていた。そして、実際に彼らは補完性が素晴らしく、それを証明しつつある。

今季この2人がともに先発した19試合では、アーセナルは18失点しかしておらず、9のクリーンシートを記録している。

この若いスターたちは二人ともピッチの高い位置でプレイすることができ、後ろをとられたときに対応できるスピードを持ち合わせている。そして、ボール保持も苦にしない。これは、アルテタの哲学にとって必要となるCBの素質だ。

50m£の値札と共に移籍してきたという非常にプレッシャーがかかる環境ながら、ホワイトは即座にエミレーツスタジアムでのプレイに適応し、ここまでのところ全くプレッシャーに負けそうな様子を見せていない。

彼は非常に完成度の高いCBで、様々なタイプのプレイで試合に影響をもたらせるし、ユーティリティ性もある。まだホワイトがキャリアのピークに達しておらず、今も成長を続けていると考えると恐ろしいくらいだ。

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Posted by gern3137