アーセナルの若手中心の補強方針への転換に関して

分析arseblog,海外記事

この夏のアーセナルの移籍市場に関して、非常に興味深い点の一つは、チームに若い核となる選手たちをそろえようという意図が見えることだ。

既に多くの若手がチームには在籍しており、ティアニーは24歳で次のキャプテンに違いないし、直近の1年で、スミスロウ、マルティネッリ、バログン、サカと契約延長を行い、彼らはまだ19歳と20歳だ。

既にタヴァレスとロコンガという2人とも21歳以下の選手を獲得しており、今週23歳のベン・ホワイト獲得の発表が濃厚だ。

GKのターゲットはラムズデールのようで、彼も23歳だし、ほかにある程度信ぴょう性のある獲得の噂が出たロカテッリ、マディソン、ルーベン・ネヴェスらは皆20代前半の選手たちだ。

こういった獲得方針の理由は明らかで、彼らはより経験豊富な選手と一緒になって、今後成長し、チームの中心となってくれる、というのが理想だ。それがどこまでうまくいき、どこまでの結果をチームが残せるかまではわからないが、アーセナルのめざしたい方向は見えている。

もちろん個別の獲得に関してはそれぞれ是非はあるかもしれないが、基本的には選手補強に明確なプランが見えるというのは良いことだといっていいだろう。

一般的に言って、クラブの方針がわかりやすい時の方が、サポーターは忍耐強く見守ってくれる傾向にある。もちろん同じ温かい目線で監督が見守ってもらえるかは別の話で、監督が試合で勝てなければ、それでも長期的なプランがあるから大丈夫だ、とはならないいだろう。

だが、そもそも普通のクラブにとっては監督は入れ替わりがあるものなので、監督を超えたレベルでのプランに基づいてクラブが運営されるのが健全なのだ。

アーセナルではアーセン・ベンゲルが20年以上監督を務めたということもあり、この数年間は非常にタフなものとなったが、これはクラブがもう何年も監督交代に備えるという事態を経験してこなかったからだ。

クラブ運営というのはコントロールされたカオスのようなもので、保証されたポジションというのはないし、基本的には失敗すれば解雇が待っている。成功を収めても解雇される監督すらいるくらいだ。

それでも次の監督がやってきて、クラブは続いていく、そういうものなのだ。

したがって、アーセナルが本格的にきちんとクラブとして将来に備えて運営され始めた兆しが見え始めたのは楽観的にとらえてよいだろう。

もう少し詳しく説明させてもらうと、私はアルテタが自分が結果を残せるようなチームを揃えようとしているとは思っている。それが出来なければ監督の座にはとどまれないのだから、それが彼にとっての第一優先事項であることは間違いない。

だが、もちろんアルテタが万一自分が解雇となった後のアーセナルのためにと考えている、とは100%は言い切れないものの、クラブは、もしそのような事態が起きたとしても、次の監督にとってもプラスとなるような獲得を行っている。

この夏は、今までのアーセナルのような応急処置的な獲得はない。

重要な問いは、アルテタの下す決断が、自身の将来と、クラブの将来という二つの軸の間でどれくらいのウェイト配分が行われているかというものだ。

通常ヘッドコーチは自分が去った後のクラブのことなどは考えない。次のクラブで指揮を執れば良いだけだからだ。

もしアルテタがヘッドコーチであれば、同じように考えたかもしれないが、アーセナルは約1年前に彼をマネージャーに任命した。これはより大きな責任が伴う役職だ。

ヘッドコーチはピッチ上で結果を残すことを考えればよいが、マネージャーはクラブ運営について考えなければならない。

したがって、夏の獲得は当然チームを選ぶ存在である監督の方針に合致しつつ(結果が伴わなければ解任されてしまうわけなのだから)も、自身が去った後もチームにとって良い選手を獲得しなければならないということになる。

アルテタはこのことを考えており、この夏の決断のいくつかはこういった考えに影響されたものなのではないか、と感じられる。

彼は何度かアーセナルを本来あるべき姿に戻すことの責任に関して語っており、アルテタがそのような考えでいたとしても驚きではないだろう。

若手中心の補強に関してもう一つ言えるのは、金銭面のメリットがあるということだ。アーセナルはこの教訓を学ぶのにあまりに長くかかってしまった。

1年前にアーセナルは31歳のストライカーと契約延長し、32歳の選手と3年契約を結んだ。前者に関してはある程度理にかなった決断だったとは思うが、後者は契約が決まる前から賢くないように見えた。

とはいえ、遅いとはいえ遅すぎるというわけではない。

20-24歳の選手であれば、獲得に失敗しても、ある程度の市場価値は保たれるし、損失が出ることは少ない。ゲンドゥージのように、態度面の問題を抱え、その後のローンでも成功したとは言えない選手も、アーセナルが獲得したよりも少額ながら高い移籍金で売却することができた。

もちろん、もっと高額の移籍金で売却できた可能性もある選手ではあるが、結局のところ問題だったのは態度面で、チームに規律をもたらすべきだと主張しながら、まさにその通りのことをクラブがしたからと言って責めるわけにはいくまい。

すべての若手が態度面で問題を抱えているわけではないし、単純にパフォーマンスが基準に達しない選手もいるだろう。だが、若くプレミアリーグの経験がある選手はある程度の移籍金で売却可能だ。特に、それがホームグロウンの選手ならなおさらだ(これはアーセナルのこの夏の補強方針のもう一つのテーマでもある)。

確かに即戦力といえる獲得が今のところないのは懸念ではあるし、シーズン開幕前に中盤の即戦力が加入してくれていれば、より自信をもってシーズンに臨めただろう。

そして、現状放出が進んでおらず、来季多すぎる選手を抱えてしまうリスクがあるというのも心配だ。

しかし、私はアーセナルがより若くダイナミックな選手を獲得しようという方向に舵を切っているように見えることを心強く感じている。

もし彼らがアルテタのもと機能しなかったとしても、30代の選手で同じようなことが起きた場合のように重荷になることはなく、超高額の給与を得ているわけでもないので売却も問題ないだろう。

もちろん、アーセナルはまだ何人か去就に関して決断する必要があるベテラン選手も抱えているが、それらがこの移籍市場終了前に解決することを願おう。

source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137