アーセナルの過去の獲得戦略のミスと国内の若手を獲得することのメリット 後編
前編はこちら:
私はウィリアンのファンではないし、この獲得を擁護することはできないが、チームに欠けた経験豊富で既にリーグに適応している選手獲得のメリットはある。
アーセナルは教訓を学んだのか、今年の移籍市場で多くの獲得に関して以下の2点を心掛けているようだ。
①成長の意欲があり、さらに再売却益も見込めるため若手を獲得すべき
②すぐにチームでインパクトを残せる選手であるべき
これらを満たす選手を求めた結果がプレミアリーグで既にプレイ経験のある25歳以下の選手というわけだ。当然ながら、それだけではなく、クオリティを備えた選手でもある必要があるため、プレミアリーグクラブから獲得しようとする分プレミアムが乗ってくる。
ただ、文脈を読むに、どうやらアーセナルはこの夏かなり資金があるように見えなくもない。クラブは条件に合った選手を獲得するつもりでいるようだ。
もちろんプレミアリーグクラブから獲得した選手は絶対に成功するという保証があるわけではない。単にその可能性が高まるだけだ。
イヴ・ビスマを例にとってみよう。彼が素晴らしい選手であることは間違いないが、ブライトンで期待される仕事とアーセナルでの要求は全く異なる。アーセナルではパスの一本一本まで注目を集め、議論されることになるだろう。そういったプレッシャーに影響を受ける選手というのもいる。
だがプレミアリーグのスピードとフィジカル性への適応という意味では、既にビスマは全く問題ない。したがって、この点に関しては懸念が必要ないというわけだ。
海外リーグからの選手獲得を行った場合は、プレミアリーグに適応した上でさらに高い期待にも応える必要がある。
チェルシーは去年世界で最も期待されるタレントの一人ともいえるハフェルツを獲得したわけだが、最初の6ヶ月は彼はあまり心地よさそうに見えなかった。だが今はこのリーグでも素晴らしい選手になれるという兆候を示しつつある。
アーセナルの選手にもそれは言えて、アンリ、ベルカンプ、コシェルニー、モンレアルといった選手たちもみな、最終的にはプレミアリーグに適応したが、最初は苦しんでいた。
これはポテンシャルがあると確信している選手であれば、国外リーグからの選手獲得も十分その価値があるという事をこれは示している。
ただし、大事になってくるのがバランスで、これがアーセナルが上手くできていない点だ。チーム状況が安定している時であれば、将来を見据えた選手獲得も簡単だが、安定は今のアーセナルからは程遠いものだ。
例えば今年の移籍市場で7人ほど選手を獲得するとすれば、彼らが全員プレミアリーグからの獲得である必要はないだろう。3-4人国内からの獲得を行えば、残りは国外リーグからの獲得でも良いはずだ。
ロコンガは素晴らしいタレントに見えるので、獲得すべきだろう。気をつけないといけないのは、ロコンガを獲得した上で、彼にデビューシーズンからいきなりプレミアリーグで30試合先発してくれるだろうと期待してはいけない、という点だけだ。
選手獲得のリスクを分散させ、それによって管理するのは重要だ。まず核となり、既にプレミアリーグをよく知っている選手を軸に海外リーグからの選手を溶け込ませるべきなのだ。
ファビーニョを例にとってみよう。彼は40m£で獲得された選手で、プレミアリーグのスピードに対処するのに苦戦しているように見えた。だがリバプールにはヘンダーソンをはじめとした、既にリーグをよく知る安定したコアとなる選手たちが揃っていたので、ファビーニョに適応のための時間を準備することが出来、彼は最終的に適応出来た。
このような準備期間はペペには与えられなかった。彼はいきなり活躍することを期待され、結果としてそれが出来ずにメディアにスケープゴートにされた。
この5年間で言えば、プレミアリーグではマンチェスター・シティとリバプールが大きな成功を収めており、これこそが我々が目指すべきところだ。
彼らのやり方をコピーする必要はないが、彼らが今の位置にどうやってたどり着いたのか分析する必要がある。彼らに共通して言えるのは、プレミアリーグからチームの中心となる選手を獲得したという点だ。
リバプールはワイナルドゥム、マネ、ファン・ダイク、ロバートソンを国内から獲得した。そこにアリソンやファビーニョ、サラーを加えたわけだが、プレミアリーグで既に活躍している選手とのバランスをうまくとり、全てが機能した。
2015/16シーズンからアーセナルは国外リーグからの獲得が多く、彼らが適応しきれていないところにさらに適応が必要な選手を加えたことで状況は悪化していった。
多少割高な移籍金を支払ってでも、戦力として計算できる国内の選手を獲得しようというエドゥとアルテタの方針は良く計算されているものだ。そしてそこに、オナナ、ロコンガ、タイラー・アダムズといった選手を加えればよい。
もちろんまだどうなるかはわからないが、移籍市場の序盤の兆候は今後に期待を抱かせるものとなっている。
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まず契約がある。抱えてる選手に対しどれだけ誠実にふるまえるか。次に選手は世界中からとる。之は譲れない。雇用の問題であり、ご不満に思う英国の方も多いだろう。だからこそ、まず抱えてる選手。今年は一人もとらなくていい。さらに言えば降格してもいい。まずこれを明言することがサポートの第一歩と思う。