アーセナルの過去の獲得戦略のミスと国内の若手を獲得することのメリット 前編
驚くべきことではないが、移籍市場期間が始まってしばらくたち、数多くの選手がアーセナル移籍が噂されている。
メディアは我々がもつ移籍の噂への渇望を満たすためにすべてのことを行っており、どんな選手に関しても『アーセナル』と書いておけばクリックを稼げることは必至だ。
とはいえ、より信憑性がある報道にだけ限って話をすると、今回の移籍市場について興味深いのは、アーセナルがプレミアリーグでプレイする25歳以下の選手に興味を示しているようだという点だ。
ベン・ホワイト、ルーベン・ネヴェス、イヴ・ビスマ、ジェームズ・マディソンに興味を示しているというのはどれもそれなりに信憑性がある話だ。複数の信頼できるメディアで報じられており、選手側とクラブ側両方から話が出ているようなので、ある程度事実であることを意味しているはずだ。
面白いのは、これまでのアーセナルは国内クラブからの(若い)選手獲得が少なかったという点だ。28歳より若い選手をプレミアリーグのクラブから最後に獲得したのは2014年の移籍市場最終日、ダニー・ウェルベックで、これはかなり前だ。
それ以降の6年間でアーセナルがプレミアリーグのクラブから獲得した選手はチェフ、ムヒタリアン、ルイス、セドリック、ウィリアンだが、GKに交換移籍、コシェルニー退団の穴を埋めるための短期的な解決策そしてあと二人はフリーでの獲得となっている。
もちろん国外の選手獲得に問題があるというわけではない。国外にも良いオプションはあるはずだし、"プレミアリーグ税"を払う必要がないため、価格も抑えられる。
獲得が上手くいけば、同じレベルの選手をプレミアリーグクラブから獲得する場合と比べて支出は遥かに抑えられるはずだ。
例えば、キーラン・ティアニーを例にとってみよう。アーセナルがセルティックから25m£で獲得した選手だが、ファーストチョイスの左サイドバックの獲得としては素晴らしい取引だ。
チウウェルのチェルシー移籍で見てとれたように、同じようなクラスの選手を現在の市場で探せば、50m£ほどになるだろう。アーセナルにとってティアニー獲得は大成功だった。
だが一方で、国外からの選手の獲得には、気をつけなくてはならないデメリットもある。
外国からやってくる選手は、特に若い選手は適応期間がある程度必要だ。即座に活躍を始められる選手というのはトップチームでは多くない。
ベンゲル後初のシーズンとなった2018/19シーズンに、アーセナルはヨーロッパリーグ決勝に到達し、リーグでは4位まで勝ち点1という成績だった。
その夏、アーセナルは140m£を費やした。その結果、ティアニー、マルティネッリ、ルイス、ペペ、セバージョスがクラブに加わった(サリバは即座にローンに出されたのでここでは一旦おいておこう。)
これだけ見ると、アーセナルはすぐにトップ4に復帰できると期待してもおかしくないように思える。だが、逆にチームの成績は悪くなった。なぜだろうか?
その大きな理由が、アーセナルが既にプレミアリーグに適応できている選手の多くを放出すしてしまったことだろう。ラムジー、モンレアル、コシェルニー、ウェルベック、イウォビ、ムヒタリアン。さらに、エジルも出場機会を失った。
新たに獲得された選手のうち、ルイスを除けば全員が、24歳よりも若く、新たな国からプレミアリーグにやってきた選手で、新しい環境に適応した上で高い期待に答えなくてはならなかった。
結果として、セバージョスはバーンリー戦以外はシーズン前半は輝けず、復調するにはシーズン後半まで待たなくてはならなかったし、ペペがオープンプレイからのアーセナルでの初ゴールを記録するまでには4か月以上かかった。
マルティネッリは大きなインパクトをチームに与えたがまだ18歳で、ブラジル4部からやってきて、成長の途中だった。ティアニーも怪我が多く、本当の意味で適応したのはコロナ中断明けからだった。
恐らく、アーセナル上層部は彼らがシーズン序盤から活躍してくれると考えていたのだろう。だが不運なことに、彼らはそれが出来ず、結果として成績は下降した。
(後編に続きます)
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