アーセナルはここからどこへ向かうのか-山積する課題 中編 フロント陣とクラブの運営体制に関して

語ってみた

前編はこちら:

前回の記事と被る部分もあり、また監督やスカッドについても後に触れるが、アルテタの招聘に当たっての一番想定外だったのが、就任後数か月の実績をもって、上層部が彼をかつてのアーセン・ベンゲルを彷彿とさせる"Manager"職に任命したことだろう。

もともとアーセナルでの監督職はずっとManagerと呼ばれてきたが、アーセン・ベンゲル退任をもってウナイ・エメリの役職はHead Coachとなり、これは選手獲得やユース選手の育成などを統括的に見る立場としての監督ではなく、ファーストチームのピッチ上の事象に仕事を限定する、アーセン・ベンゲル流のワンマン体制からの脱却を示す明確な意思表示だった。

だが、それを支えるためのガジディス・ミスリンタート・サンジェイ体制は一瞬で崩壊し、結局欧州トップクラブでクラブ運営に携わったことのある人間は1人もいなくなってしまった。

結果的にアルテタはまたしても監督とクラブ運営という2足のわらじを履く体制(アルテタはサッカークラブの監督としての経験すらないにもかかわらず、だ!)になり、かつ彼をサポートするために任命されたエドゥもまだ43歳で、かつ欧州クラブでの実績はほぼ皆無ときている。

もちろん、彼ら2人の働きに関して言えば、トーマス・パーティの獲得に成功し、オーバメヤンやバロガンとは契約延長に成功、ティアニーやスミスロウとの契約延長交渉もそれなりに進んでいるようだし、及第点と言ってはいいかもしれない。

だが一方で、選手放出に関しては実質的にアーセナル側が残給与を全て支払うような形での契約解除があったり、かなり不手際は目立つし、左サイドバックの控えを獲得することが出来なかったり、またウィリアム・サリバをペーパーワークのミスでローンに出せず、無駄に選手に不満を溜めさせたり、一方でウィリアンを獲得し、ネルソンの市場価値を上昇させたり、二コラ・ペペの調子を整えるために使えたかもしれない右サイドでの出場分数をウィリアンに投資した結果全く上手くいかず、この夏移籍を希望しているという噂も出るなど、上手くいかなかった点も大いにある。

この夏の放出の噂を聞いても、アーセナルは適正価格で選手売却を行うのが非常に下手な印象だ。これはフロントだけではなく監督としての使い方の問題もあるだろうが、ゲンドゥージ、トレイラ辺りはもう少し柔軟に対応すれば売却交渉でも強気に出られたのではないだろうか。

総合的に見て、アルテタとエドゥのコンビは『未経験の割には悪くない』レベルで上手くやっているとは思うが、そもそもなぜアーセナルが未経験の2人にかじ取りを任せなくてはならないのか、という事を問うべきだろう。

未だにアーセナルのスカッドはかなり偏りがあるし、この夏のフロントのタスクリストは膨大なものになっている。今回新しくアーセナルに加わったリチャード・ガーリックはその課題を解決する助けにはなってくれるかもしれないが、どうやら立場的にはエドゥの下に付く、という形のようで、結局すべてはエドゥ次第という事になりそうだ。

加えて言うと、どうやらサンジェイはアーセナルでのクラブ運営に携わるにあたって特定の代理人と親しすぎるのがクロエンケが送り込んだ弁護士であるティム・ルイスに問題視されたのではないか、という話だが、であれば、そもそもキア・ジューラブシャンはエドゥの代理人であり、アーセナルとジューラブシャンの関係の発端はエドゥであったはずで、彼がサンジェイ退団に際してクラブでの立場が守られたのは少々意外でもあった。

個人的には新人監督と新人テクニカルディレクターにすべてを任せるというのはあまりにリスクが大きすぎるので、クラブ運営での意思決定に関われるレベルでもう一人、欧州クラブ運営の経験が豊富である人材をフロントに加える必要があるのではないか、という気がするが、どうやらアーセナルにはそのつもりはなさそうだ。

なんにせよ、来季がアルテタの真価が問われるシーズンになるとすれば、それはエドゥにとっても同様で、この夏アーセナルが売却と獲得をどこまでスムーズにまとめ、またジャカやラカゼット、レノ、ベジェリンといった契約切れが迫りつつある選手の去就をどう判断するか、フロントの対応を見守りたい。

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Posted by gern3137