アーセナルは明確な戦略をもってジョー・ウィロックの去就を決定しなくてはならない 前編
この数年のアーセナルが上手く行っている数少ないことの一つが、アカデミーのタレントの活用だ。
ブカヨ・サカとスミスロウの2人は恐らくチーム状況に関わらずいずれは台頭していたことだろう。もちろん、近年のアーセナルのスカッドのクオリティは過去のものほど高くないため、それにより彼らが単なるファーストチームの一員ではなく、チームの主力選手となっている、という違いはあるかもしれないが。
3年前に私はアーセナルはいい加減ルーカス・ペレスやモハメド・エルネニーといった選手たちに出場時間を与えるのをやめ、ユース選手を信頼して出場時間を投資すべきである、というコラムを書いた。
ローテーション要員にユース上がりの選手を活用することは選手の市場価値という点を含め、チームに多くのメリットがある。
彼らがを成長させファーストチームの一員とするか、あるいはよい値段で売却するかだ。アーセナルのようなクラブにとってこれは賢いやり方だし、ローテーション要員という役割を受け入れさせるのも、ベテランよりも若手の方が簡単だ。
このよい例はアレックス・イウォビで、彼もアーセナルのユースアカデミーの選手だが、ある程度の期間チームで役割を与え、監督が彼はアーセナルを一歩上のレベルに引き上げてくれる選手ではない、と判断したタイミングで売却し、その代わりにブカヨ・サカがステップアップを果たした。
アーセナルが右サイドバックの控えとしてセドリックを獲得したのを見るに、アーセナルの方針は少々ブレているものの、チームはサカやスミスロウ、マルティネッリといった将来のスター候補たちにチャンスを与えているし(マルティネッリはユース卒というわけではないが)、同時にエンケティアやナイルズ、ウィロックといった選手たちをローテーション要員として活用したのは波のように押し寄せたクラブ運営の判断ミスの中で、唯一上手くいっているという点と言ってもいい。
さて、ここで問題となるのがジョー・ウィロックの将来だ。アーセナルの彼の今季の起用法はまさに模範的とでも言うべきもので、まずリーグカップとヨーロッパリーグのグループリーグで彼を継続して起用し、その間にウィロックは3得点を挙げた。
ヨーロッパリーグのグループステージが終わり、スミスロウの台頭とウーデゴールの獲得もありウィロックの出場機会が減少しそうだという事が明らかになったタイミングで彼をローンに出した。
ニューカッスルはウィロックにとってちょうど良いローン先になりそうだという印象だったが、まさにその通りになった。
ウィロックの弱みはどちらかというと技術面で、これはボールを多く保持しようとするチームではないスティーブ・ブルースのニューカッスルではあまり露呈することはない。
そして、シェルビーやヘンドリックといった選手たちはゴール前に顔を出すことはあまりなく、ニューカッスル側も得点力のあるMFを必要としていた。
カウンター主体のチームはウィロックにぴったりで、彼の得点力はニューカッスルの降格回避に大きく貢献した。
問題は、この後アーセナルがどうするのかだ。
ニューカッスルはウィロックを完全移籍で獲得することを希望しているようだ。
普通であれば、即決で売却を決め、その移籍金を他の選手に投資すべきだ、という所だが、アルテタとエドゥが解決しなくてはならない中盤の課題がかなり多いという点が状況を複雑にしている。
ダニ・セバージョスが来季アーセナルに居ないのは間違いないし、エルネニーももう残り契約が1年になっている。ジャカですら残り2年で、クラブは売却か契約延長かの決断を強いられる時期に入っている。
もしウィロックを売却するのであれば、さらなる中盤の選手の補強が必要なのは間違いなく、既にアルテタとエドゥの夏のタスクリストは満杯だ。
また、サッカー面の観点から見てもウィロックを残すだという意見もある。確かに技術面である程度限界はあるものの、ゴール前に送り込むことを考えると、ウィロックは現状のアーセナルで断トツで得点力のあるMFだ。
ウィロックは現在アーセナルにいるMFの他の誰とも全く異なる能力を備えているため、彼の去就を巡るアルテタのジレンマはなかなか興味深いものとなっている
(後編に続きます)
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません