アーセナルはチェンバースに契約延長をオファーすべきか

分析

今季のチェンバース

スミス=ロウの台頭、彗星のようにローンでやってきたウーデゴールの大活躍などの陰に隠れがちではあるが、シーズン前の予想を裏切る活躍を見せているという点ではチェンバースも負けていない。

長期離脱もあり、全く出場機会が得られておらずユースチームでコンディションを整えるような状況にもなっており、チェンバースはほとんどファンからその存在を忘れられかけていた。

さらに、ここまでアーセナルのキャリアを通してチェンバースの主戦場はCBだったため、現状ルイスとホールディングが悪くない活躍を見せていたという影響もあっただろう。

しかし、一方でアーセナルにとって若干不安が残るポジションが右サイドバックだった。

この状況で第3のオプションとしてチェンバースに白羽の矢が立ち、バーンリー戦で右サイドバックとして突然先発を果たしたのを皮切りに素晴らしい活躍を見せている。

このままベジェリンとセドリックを差し置いて正右サイドバックの座を奪い取ってしまいそうな勢いだ。

今季ここまででアーセナルにとって最も重要な試合と言ってもいいスラヴィア・プラハ戦で先発したのもアルテタからの信頼の篤さがうかがえる。

ただ、こうなってくると複雑になってくるのがチェンバースの契約状況だ。現在26歳のチェンバースだが、残り契約は1年となっており、この夏に売却あるいは契約延長の決断を下さなくてはいけない状況にある。

チェンバースの強みと契約延長のメリット

空中戦

まず、ある程度事前の期待通りではあったチェンバースの強みとしては空中戦の強さだろう。もともとセンターバックという事もあってサイドバックとしてはかなり強い部類に入るし、セットプレイなどの時に1人余分にCBがいると考えると心強い。

クロス精度

一方で、アーセナルにとってうれしいサプライズだったのがそのクロス精度の高さだろう。昔も時々スーパーゴールを決めたりしていたが、やはりサウサンプトン戦時代はサイドバックだったという事もあるのか、それともずっと修行していたのか、いつの間にかとんでもない質のクロスを上げられるようになっていた。

現状、チェンバースの右サイドバック起用の一番のメリットはこのキック精度と言っても過言ではないと思う。ボールを放り込むエリア・弾道両方とも素晴らしく、チーム全体でチェンバースを危険なエリアに送り込んでこのクロスに合わせられる体制を作れればかなりのアシストも見込めるのではないだろうか。

ユーティリティ性

現状コロナ禍の影響でベンチ入りできる選手が多いのでそこまで問題にはならないが、以前までの制度では、全ポジションの控え選手をベンチに置く余裕はなかった。

そんな中、チェンバースはもともとは右サイドバック・CB・そしてローン先ではボランチを務めた経験もあるのでナイルズのように一人で多くのポジションをカバーできるので、有用なチームの一員になりうる。

また、可変システムを用いることも多いアルテタ体制でこの経験がプラスに働くことは間違いないだろう。

ホームグロウン+年齢

また、見逃せないのはチェンバースがイングランド人で、ホームグロウンであるという点だ。現状アーセナルは外国人選手枠が結構ギリギリなので、仮に絶対的なスタメンにはなれないとしても、ホームグロウンの控え選手というだけでもそれなりの価値がある。

年齢的にも26歳なので、DFとしてはそこまで年がいっているわけではなく、例えば契約延長後に来夏あるいは2023年の夏に売却、となったとしてもプレミア経験豊富なイングランド人の28歳DF、となればなのでそれなりに移籍金が見込めるだろう。

なので、例えばラカゼットのようなケースとは異なり、今が売却の最後のチャンスというわけではない。

チェンバースと契約延長する場合の懸念点

サンプル数の少なさとスピード/敏捷性不足

チェンバースを右サイドバックとして考えるのであれば、やはり一番の懸念点はそのスピードと敏捷性だろう。足が遅いとまでは言えないが、やはりサイドバックとしてはあまり俊敏だとは言えない。

どちらにしろ華麗なドリブル突破を期待しているというわけではないので、攻撃面ではそこまで問題にならないかもしれないが、やはり一番心配なのはトリッキーなウイングと対峙した時の守備などの点だろうか。

今季活躍しているとはいっても、まだ目を引くようなパフォーマンスを見せたのは数試合で、これをもってチェンバースはアーセナルに将来がある!と言い切ってしまえるのかは不透明だ。

資金捻出の必要性

どうしても最近のアーセナルは選手の売却が下手で、良いタイミングを逃してしまっている、という印象がぬぐえないが、チェンバースももしこの夏売却しなければ、同じようなケースになってしまうかもしれない。

もちろん『契約延長しても良い』のだが、この夏アーセナルに売却による資金捻出の必要性があるのは明らかで、チェンバースはそれなりの移籍金が見込めそうな選手の一人だ。

そして、現在素晴らしい活躍を見せているからこそ売却に絶好のタイミングであるという見方も出来る。例えば現在の好調が一過性のもので、今後それを再現できなかったら・・・あるいは、また怪我をしてしまったら・・・などと契約延長にもそれなりのリスクはあるので、それならば高値で売れそうなうちに売却してしまう、というのも一つの手かもしれない。

右サイドバックが多すぎる

さらに、現状アーセナルはベジェリン・セドリック・チェンバースの3人、ローン中のナイルズも含めれば4人もの右サイドバックを抱えている。

ベジェリンとナイルズ辺りは移籍の可能性があるかもしれないが、それでもまだセドリックがいる。

例えば、もしチェンバースはアーセナルの不動の右サイドバック(あるいは右CB)を任せるのには少し足りない、という結論をアルテタが下したとしたら、すでに控えにはセドリック(CBならホールディング)がいるわけで、2人目の控え右サイドバックを置いておく意味はあるのだろうか、というのは疑問だ。

個人的にはより多くのポジションがこなせることを考えるとセドリック(左サイドバックの控えはどっちにしろ獲得する必要があるだろう)よりチェンバースの方を控え右サイドバックとして置いておきたいが、セドリックの売却は現実的ではなく、それなのであれば、チェンバースの売却もやむなし、という意見もわかる。

結論

総合的に見て、チェンバースの契約延長は少しポジティブな点が上回っているように思う。もちろん、例えばハイクオリティの右サイドバックが獲得でき、その資金捻出のために売却、というのも悪くない案ではあるだろう。

ただし、やはりホームグロウンであること、そして契約延長したとしても将来的にまだ売却して移籍金の回収が見込める年齢であることを考慮すると、そこまで巨額の給与を要求することもないはずだし、チェンバース本人にその気があるならアーセナルはチェンバースに契約延長をオファーするべきではないだろうか。

アルテタのもとでの出場試合数はまだ非常に少ないが、それは逆に言えばもっとフィットすれば更なる進化を遂げる可能性があるということでもある。

大器晩成型のDFというのは時々いるし、もしかするとチェンバースもそのうちの一人かもしれない。実は、ユース卒の選手たちを除けばチェンバースは現在アーセナルにもっとも古くから在籍する選手でもある。

クラブがどのような結論を下すにせよ、今季後半のチェンバースの活躍は、アーセナルにとって大きなプラスであることは間違いない。

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Posted by gern3137