アルテタのアーセナルに足りないもの

考察海外記事

まず、今季がアーセナルにとって悪いシーズンである、と明言するところから始めさせてほしい。これはごまかしようのない事実だ。

我々は現在リーグ10位で、23試合で10敗を喫しているというのはアーセナルのようなクラブにとって恥ずべき事態だ。

もちろん文脈は重要で、結果だけですべてを語るのは賢明とは言えない。例えばブライトンはつい最近まで17位におり、グラハム・ポッターを解雇すべきだと叫ぶファンもいた。だが、いくつかの点において彼のチームが良い成績を残していたことに気づいていた人たちもおり、最近は最悪の事態を脱することに成功している。

同じように、今季のアーセナルとアルテタを判断するうえで文脈は重要だ。

単純化して話をすると、サッカーの試合は二つの面で決まる。攻撃と守備だ。一試合当たりの失点を見ると、過去に2シーズンで一試合当たり1.34だった失点数は1.26に減少しており、今季の失点数はシティに次いでリーグ第二位だ。

そして、これをアーセナルは撤退守備によって成し遂げたわけではない。今季23試合中13試合でボール保持率で相手を上回っており、アーセナルが試合を支配する展開も多い。

問題はチャンスの創出の少なさであり、当然ながらこれは得点数に影響を与える。

ここまでアーセナルは23試合で30のxGしか作り出せておらず、これはリーグ12位となっている。うまく行っている守備とは対照的だ。

さらに、xGを30作り出しながら、実際には27得点しかできておらず、決定力を欠いているのも不調の要因だ。例えばトッテナムはxGだけで見ると31.6とアーセナルを少し上回る程度だが、実際には36得点を挙げている。

かつてティエリ・アンリは自身にペップ・グアルディオラが『私の仕事はファイナルサードの君にボールを届けることで、君の仕事はそれを決めることだ。』と彼に話したと明かしたが、今のアーセナルにもまさにそれが言えるだろう。

アーセナルにとってのより大きな問題は、ファイナルサードにボールをどう届けるかというよりも、そのあとだ。

そして、これに関してはコーチングよりも選手のクオリティがものをいう。サカが一筋の希望の光で、恐らく現状前線の4人のうちで最高の選手だが、今季他のポジションの選手は一貫性をもって活躍できていない。

ペペは最近改善を見せているが、常に試合を決める活躍をできているわけではないし、ラカゼットは深い位置に降りてきてプレイを繋げるのは得意だが、ボックス内では簡単に対処されてしまう。

オーバメヤンは絶不調だし、私はこれ以上ウィリアンについて何かを語るつもりはない。

スミス=ロウはチームにスパークをもたらせているがまだ新参だし、マルティネッリもまだ長期離脱明けで本調子に戻ったとは言えない。

“才能のある選手"と、"毎週違いを作れる選手"の間には大きな隔たりがある。私が思うにアーセナルは次の移籍市場で2人のトップレベルのタレントを獲得すべきだ。センターフォワードと、サイドでもプレイできるような攻撃的MFを。

直近のアーセナルの3試合でのアタッキングサードのボールタッチ数は155,118,246でそれぞれxGは075,0.72,0.68とがっかりするような数字だ。

アストン・ヴィラ戦ではボックス内でのボールタッチが43あったにもかかわらず、アーセナルは明確なチャンスを作れなかった。最終局面でのクオリティの問題だ。

ただし、審判の問題も見逃せない。

リバプール戦でマネが開始二分でティアニーに肘打ちを食らわせたがレッドどころかイエローすら出なかったり、シティ戦のガブリエルへのファウルやウルブズ戦のルイスの退場など、何度かVARにも逃された判定があったし、アストン・ヴィラ戦ではマルティネスのラカゼットへのファウルも見逃された。

判定次第でアーセナルが勝っていただろう、というよりも、注目すべき事実はアーセナルの10敗のうち7つが1っ点差での敗北だということだ。

アーセナルは決定的な瞬間でクオリティを欠くため試合を決められずタイトな展開になることが多く、そのため審判の判定一つに左右されやすい。

恐らく、チームがコントロールできる点にフォーカスするとすれば、もっと余裕を持って試合をし、1つや2つ不可解な判定があったとしても勝利を収められるレベルのパフォーマンスを見せるべきなのだ。

似たような点でいうと、アーセナルは今季既に4試合で退場者を出しており、このうち2試合を引き分け2試合を負けている。規律面で問題を抱えているのだ。

普段は特段荒いというわけでもない選手が退場しており、試合展開がうまく行っていないと選手たちがプレッシャーに飲まれてしまうのだろう。

とはいえ、アーセナルの現状の問題は選手個人のクオリティや規律面であり、アルテタに出来ることは何もないというわけではない。

交対策などに改善の余地はあるし、特にウィリアンに固執するのは直ちにやめなくてはならない。

だが、アルテタも言っていた通り『魔法など存在しない。我々にはハイクオリティな選手が必要』なのだ。

我々はアーセナルにCL出場権を取り戻してほしいと願っているが、それがゴールではない。我々はアーセナルにプレミアリーグとCLのタイトルをかけて戦ってほしいのだ。

それを継続して行うためには、良い選手をそろえた良いチームを作る必要がある。

これに関して、スタン・クロエンケが資金を出し渋っていると批判するのはアンフェアだろう。アーセナルは2019年から合計で220m£近くを移籍金に費やしている。

ただし、ここまでのところアルテタはアタッカーに1ポンドを費やしていない。もしウィリアンの獲得に移籍金が必要だったら、アーセナルはGOサインを出していなかっただろう。

とにかく、今季の目標は一定のスタイルを確立させ、若手を育てること、そしてまた好調を取り戻しヨーロッパリーグで上位進出を狙うことだ。

まずどれだけやるか見てみようではないか。

そして、夏には明らかになった課題を解消できるようクラブは動いてくれるだろう。恐らく私は少数派だと思うが、個人的には今年の夏のビジネスには期待できると考えている。

最後に、ダニ・セバージョスの言葉を紹介して、この記事を終わりにしよう。

『アーセナルは眠れる巨人さ。彼が起きれば、人はまた夢を見ることが出来るだろうね』

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Posted by gern3137