arseblog氏によるトッテナム戦振り返り

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順位表は嘘をつかない。

使い古された言い回しではあるが、事実だからこそよく使われるのだ。もちろん、ある程度の上下はあり、現状を100%反映しないこともあるが、基本的にはチームを判断するのにこれ以上の指標はない。

トッテナムはアーセナルに勝利し1位をキープし、一方アーセナルは15位だ。

アーセナルはプレミアリーグ11試合で10ゴールしかできておらず、昨日の13分のゴールはソンフンミン一人だけで10ゴール目だった。

アーセナルにとって史上最悪のプレミアリーグの序盤となっているが、この試合後アルテタはアーセナルの攻撃力のなさを以下のように嘆いた。

得点が出来なければ何も変わらない。どんなシステムやフォーメーションを用いても同じだ。ストライカーを55人起用したとしても得点できなければ試合に勝つことはできない。シンプルなことだ。

アーセナルが見込みの薄いクロスをひたすら放り込み続けるのを見るに、恐らくたとえストライカーが55人いたところで苦戦するのではないだろうか。

この試合を見て私が抱いた感想は一言、『フェライニ』だった。これは良い兆候だとは言えない。

もう一つ繰り返し感じたのは"馬鹿げている"ということだった。我々は現在世界で最も愚かなチームの一つに違いない。

アルテタのようにディテールにこだわるタイプの監督が試合前のミーティングでケインとソンの脅威に言及していないとは考えられない。

我々は彼らがどれだけ危険な選手かよーくわかっていたはずだ。そして、彼らに思い通りのプレイをさせてはならなかった。

では我々がこの試合でどうしたか?

彼らに思い通りのプレイをさせた。

愚かだ。

一失点目に関しては、我々は前に人数をかけすぎ、ベジェリンのクロスはひどく、そしてこの時点でケインの近くに誰もいなかった。せめて誰かいればイエローカードを覚悟で止めたりもできたはずだ。

結局ソンにボールはわたり、彼には広大なスペースが与えられた。ここからの守備もひどいものだった。

ホールディングは外のランナーを気にしすぎてずるずると下がったが、ボールを持った選手にいつかは向かい合わなくてはならない。

ベジェリンは戻ろうとしてスリップしてしまい、戻ろうとするウィリアンはまるで老犬が興味深いにおいを嗅いだので止まり、頭を上げると飼い主がずいぶん遠くにいるのを目撃したかのようだった。

ソンのシュートが素晴らしかったのは事実だが、我々はまんまとスパーズの罠にはまってしまったわけだ。

これではまるで、誰かが『このボタンを押すなよ、押したら顔面パンチするぞ!』と言っていたのに、最初の機会が訪れるや否やそのボタンを押したかのようだ。これでは血の出た鼻について文句も言えない。

2失点目に関してはパーティが怪我をしてしまい、なぜかプレイ中にピッチを出ようとしていたため、さらに数的不利に陥ったという情的酌量の余地はある。

ジャカはおそらく彼のパートナーが走れない状況だということを気付いていなかっただろうが、同時に自分が攻撃に気を取られて前に出すぎており、彼の後ろのスペースに何人もスパーズの選手がフリーでいることにも気づいていなかった。

仮にパーティがいたとしても、それでも5対3だ、まったく馬鹿げている。

アルテタがパニック気味にパーティをピッチに押し戻そうとした場面が今の我々を象徴している、

監督の心情は理解できる。彼には今からまさに何が起ころうか、というのが見えており、けがを抱えていてもパーティに何かしてほしかったことだろう。なんでもいい。せめて座り込んでもいいし、あるいはイエローカードをもらって止めてもいい。

パーティのような経験豊富な選手がピッチから歩いて去ろうとするというのは非常に奇妙ではあるが、恐らく彼も痛みの影響かショックであまり冷静に考えられていなかったのだろう。

この場面はさておき、彼を先発で起用するというギャンブルは大失敗に終わった。アルテタはパーティ本人が強く望んでいたと語っていたが、それでも最終的な責任は監督にある。

もちろん彼をダービーで起用したいと思う気持ちは理解できるし、アーセナルがそれほど追い込まれていたというのもあるだろう。だが、であるならば、もう少しパーティのパートナーに関して考えるべきではなかったか?

指示なのかそれがジャカが自発的に行っているのかはわからないが、彼はバックラインに降りてくることが多く、結果として、パーティはたった一人で中盤を守らなくてはならなくなった。

より運動量が期待できるエルネニーを起用したほうが、パーティへの負担を考えるとよかったのではないだろうか。

こうしてスコアは2-0になり、この時点で私はアーセナルが試合をひっくり返せるという自信が全くなかった。逆に、恐らくモウリーニョは100%の自信を持っていたことだろう。

後半アーセナルはボールを支配したが、これはポジティブというよりも、単にトッテナムがそういう作戦を選択したというだけのことだろう。

彼らはボール保持に全く興味を示していなかった。我々が素晴らしかったのでボールを保持できたわけではなく、スパーズがそれをさせた、というだけのことだろう。

クロス

クロス

クロス

クロス

中央を強固に守るチームに対して、攻撃の手段はサイドしかなく、したがって必然的にクロスが増える傾向にあるというのはわかる。

だが我々は44本のクロスを放り込んだがそのうちいくつがチャンスに繋がった?

わずかばかりの脅威をもたらした1,2本を除けば、トッテナムのDFたちは嬉々としてそれに対応していた。クロスのバラエティもなく、創造性もなく、我々は得点に近づいているようには全く見えなかった。

ラカゼットは唯一勝利を求めているように見え、ロリスにセーブを強いたが、彼がトップ下でプレイしなくてはならないということ自体が今のチーム作りの問題点を如実に示している。

そしてこれだ。

Football is a game of two halves but Arsenal have had the fewest second half shots of any of the 92 teams in the PL/EFL this season so yeah maybe not

— Duncan Alexander (@oilysailor)

なんと今季ここまでのアーセナルは後半のシュート数が英4部まで含めた全チーム中最下位なのだという。

これはとんでもないことだ。私は少し前からこの点に懸念を覚えていた。最近のアーセナルは終盤に勝利に向けて相手にプレッシャーをかける、ということが全くできない。

これ自体が既に問題だが、アーセナルが試合後半にゴールが必要な状況に追い込まれるケースが多いというのがそれに輪をかけている。

これに関しては、アルテタの交代策も一役買っているだろう。

ナイルズはウィーン戦で素晴らしい活躍を見せた。試合残り20分の場面で何かを変えるために投入したりはできなかったのだろうか?彼はあの状況でジャカより劣っただろうか?

リース・ネルソンはベンチにすらいなかった。どこにいたのだ?けがという報道は出ていない。

パーティのけがの懸念を考えると中盤の選手を何人か置いておきたいのはわかるが、ナイルズ、セバージョス、エルネニーがいるのにウィロックもベンチ置いておく必要があっただろうか?

個人的にはジョー・ウィロックは好きな選手だが、ウィリアンに代わって投入する右ウイングをベンチに入れておくべきではなかっただろうか。もちろん、ネルソンがいても特に何も変わらなかったかもしれないが、少なくともトライしているという姿勢を見せることはできる。

疲れ切ったサカを右サイドバックで使うというのは明晰なプランニングに基づいているとは言えない。

試合後の会見で、非常に興味深い質問があった。

アルテタは『我々は今日は得点してもおかしくないシチュエーションを作り出していた』とコメントしていたが、『十分に質の高いチャンスを作りだせていると思いますか?』という質問だった。

ただ漫然とクロスを放り込むのはチャンス創出とは言えない。それはクリエイティビティではない。

もちろん、これらに加えてティアニーの奇妙なロングスローやセットプレイからゴールの1つや2つは生まれるだろうが、それは、我々が目標にすべき形ではない。

むしろこれはアーセナルがきちんとした攻撃の形を作れていた際に、致し方なく対戦相手がとった作戦だった。

もちろん、多くのファンの気に入らないかもしれないが、アーセナルが空中戦に秀でたFWを揃えているというのであれば、この戦略にも正当化の余地はある。

だが今のアーセナルのクロスは何か起こってくれればいいな、という単なる願掛けのようなものだ。

オーバメヤンはかつての姿が見る影もないが、私はこれは契約延長と関係あるとは思わない。延長の前からすでに彼は億万長者なのだ。それがさらに増えたからと言って、モチベーションを大きく欠くとも思えない。

スカイスポーツの解説で、アーセナルとスパーズの戦力差はそこまでないが、ケインとソンという"ワールドクラスの"FW二人が違いを作ったと話していたが、だが、実際にはアーセナルにもワールドクラスのFWがいるのだ。

チームの不調に伴って絶不調となっているが、オーバメヤンは本来もっとできるはずだ。確かに部分的には彼自身の責任ではあるだろうが、アーセナルで挙げた77ゴールのうちヘディングはたったの3つで、もしクラブが突然オーバメヤンがヘディングでゴールを量産し始めてくれるだろうと考えているのであれば、彼が不服に思うのも理解できる。

もし我々が本気で勝利を目指すのであれば、このようなやり方を続けることはできない。

プレミアリーグのアーセナルの次の対戦相手はバーンリーだ。もしこの試合でもアーセナルがスパーズ戦のように中途半端に工夫のないクロスを放り込み続けても、彼らの巨大なCBとセンターフォワードは喜んでこれを迎え撃ち、90分間跳ね返し続けることだろう。

クラブ側から監督やスタッフを変えたりということは近い将来にはおそらく起こらないと感じられるので、変革が起こるとすれば、それは内側からでなくてはならない。。

アルテタのアプローチが機能していないことは明らかで、彼は即座に結果を出し始める必要がある。最近のチームのパフォーマンスにより、アーセナルの評価は著しく打撃を受けただけではなく、アルテタの立ち位置も苦しくなりつつあるのだから。

今後彼がアーセナルの受けた傷を修復することが出来るのか、あるいはもう回復も及ばないところまで来ているのか、これから明らかになるだろう。

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Posted by gern3137