ウィリアンとラカゼットの不調の原因を探る 後編
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ラカゼットは残り契約が一年半となっているが、この夏契約延長をオファーされることはなく、これが長期的にアルテタがラカゼットのことをどうみているかを示しているのだろう。
もちろん私はこのことに関してアルテタを批判するつもりはない。むしろその逆で、理想を言えば、夏にラカゼットは売却されるべきだった。ラカゼットもそのことをは気づいているはずで、もしかするとこれも彼の地震に影響を与えるファクターの一つなのかもしれない。
また、ここ何試合かのウィリアンのパフォーマンスががっかりであることにも疑いの余地はない。彼はこれまで技術戦術面での安定性をもたらす右ウイングという評判だった。チェルシーでは中に入るアザールの、ブラジル代表ではネイマールのバランスをとるような働きをこれまでにこなしてきた。
ラカゼットと同じくウィリアンもまた、コンビネーションの相手がいないことから苦しんでおり、彼にはベジェリン以外にパスを出す相手がいない。
そして、オーバメヤンもまた孤立しがちで、攻撃時にパートナーがいないことが問題の一つとなっている。
ウィリアンは本来他の選手に自由を与えるために輝ける選手なのだが、アーセナルではそのような役割のために起用されているわけではない。
Athleticのトムとジェームズが書いた記事の中でアーセナルがいかに相手にとって危険なエリアでプレイできていないかを示し、ウィリアンはチェルシー時代1試合平均38-44程度のアタッキングサードでのボールタッチ数を記録していたが、アーセナルではそれが1/3以上減り、24になっていると指摘している。
この記事ではエジルもまた、彼がチームから姿を消してしまう前に同じような下降傾向を見せていたことも指摘している。
2015/16シーズンには彼はファイナルサードで一試合当たり45タッチしていたが、2018/19シーズンには28へと減っていた。それに伴い、アシストも一試合当たり0.56から0.1へと減少した。
アーセナルの自陣からミドルサードへの前進はうまくいっているが、そこから先にボールを進めることができず、それがアーセナルの攻撃陣の選手がほぼ全員といっていいほど平均以下のパフォーマンスを見せている理由だ。
すでに言及した選手たちに加え、ニコラ・ペペもまた監督からの信頼を欠いており、同時にコンスタントなプレーを見せられないことで苦戦している。
偶然チームの攻撃陣全員が同時に不調に陥るというのは考えづらく、そういった場合はより構造的な原因があると考える方が自然だろう。
アルテタはサイドバックにサポートされた3人の前線の選手という5レーン型の攻撃を好むが、現在の問題点は、これらがフラットになりがちで、頻繁に彼らがただ5レーン上に立っているだけ、という状況にある点だ。
良い攻撃にはもう少しカオスの要素が必要であり、MFのサポート、ポジションチェンジや効率的に三角形を作ることが必要だ。
現在のアーセナルの攻撃はこれらすべてを欠いており、チームの4人の高給を得るアタッカーが全員輝けていないのも当然といえば当然だ。さらに、これにより彼らの自身が失われるという悪循環が始まってしまう。
また、もう一つ良い構築に必要なのは技術面の安心性で、ボールを保持し、相手への攻撃を繰り返すことで相手を低い位置にピン止めすることだ。
これもまた、アーセナルが行わないことだが、ウィリアンは過去に、よりひらめきにあふれ、動き回るチームメイトのサポートとしてこの安心性を提供できる選手だということを示している。
だが、今のアーセナルにはウィリアンがサポートできるような動きとスパークにあふれた選手がおらず、結果として彼の起用の魅力があまりなくなっている。
先ほども書いた通り、私はラカゼットとウィリアンの不調が選手個人の要因と全く関係ないといいたいわけではない。だが、突然崖から落ちるかのように選手の調子が落ちる際には、個人的なものだけではなく、チームが抱える要因があることが多いというのは覚えておくべきだろう。
我々はチームのクリエイティビティの欠如がオーバメヤンの不調の原因だという見方でおおむね一致している。では、それがウィリアンとラカゼットにも当てはまると考えることもできるはずだ。
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