スタッツプレビュー アーセナル vs マンチェスターシティ
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今年のマンチェスター・シティをどう評価すればよいのかは非常に難しい。
今季開始時点までは、私は彼らこそイングランドナンバーワン、世界でもトップ3には入るチームだと思っていた。
タイトル獲得に至らなかったのも多少不運だっただけで、単にリバプールが同じくらい優れたチームだったことに起因しており、昨季のスタッツを見る限りシティの全てはうまくいっており、今季も何の問題もないだろうと予想していた。
だが、その予想は裏切られた。シーズン開始時点では、今回の試合はアーセナルの敗戦を受け入れるしかないだろう、と思っていたが、今はそれほどの確信がなくなってきている。
攻守の傾向
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シティの攻撃は高いレベルでバランスがとれている。
だが、1試合当たり17本の平均シュート数は多いが、昨季と比べてシュート一本当たりのxGは低下しており、5%を下回っている。
オープンプレイからのシュートの位置を見てみると、ゴールの前の危険なエリアからのシュートがかなり少ないことがわかる。
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かつてのようにサイドからのカットバックによるゴールの目の前でのシュートがあまりなく、一方でどちらかというとウイングが中にカットインした位置からの悪くはないとはいえ絶好機ではないポジションからのシュートが増えている。
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そして、守備面でもシティはあまりうまくいっているとは言えない。
7失点の内3つはPKによるもので、スタッツが示唆するほど守備が悪いわけではないが、それでも昨季のオープンプレイからの失点期待値と比べると見劣りする。
また、相手に大チャンスを作られる回数が大きいのも心配な兆候で、全被シュート数のうち、21%近くがxG0.2(=失点確率20%)以上のシュートだ。
シティの対戦相手が以前よりもカウンターに成功する回数が増えており、これにより危険なシュートまでもっていかれる回数が増えている。
今季ここまでですでにシティは危険なカウンターを10度食らっており、そのうちの6度がシュートに繋がっている。
カウンターを食らうことが多い傾向は昨季にもみられたが、昨季はそのうちの1/4程度しかシュートに結び付けられていなかった。
もしかすると、これは戦術というよりも単にフェルナンジーニョがもう一人で相手のカウンターを止めることが出来ないというだけのことかもしれないが、これによりマンチェスター・シティは色々な問題を抱え込むこととなっている。
フォーメーション
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昨季のマンチェスター・シティは433と4231を使い分けていたが、今季は3試合のうち2試合で4-2-31を起用している。
シティがアーセナル戦でもこのうちのどちらかで来ることは間違いないと思うが、中盤の底に1人を置く形となるか、2人置く形となるかは蓋を開けてみなければわからない。
ボール前進のツリーマップ
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上の2つの図から見てとれる通り、ケビン・デ・ブライネがxGビルドアップ、プログレッシブパス両方で中心的な役割を果たしている。
だが、シティのMFの質と、グアルディオラの評判を考えると、デブライネに続くプログレッシブパスの出し手が中盤の選手ではなく両サイドバックなのはなかなか興味深い。
チャンス創出のツリーマップ
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シティのボックス内へのパスがこのような度合いでデブライネに依存しているというのはかなりクレイジーだといえる。昨季もデブライネが中心的な役割を果たしていたが、彼のプログレッシブパスの割合は20%に過ぎなかった。
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デブライネはチャンス創出でチーム1位であるだけではなく、xGでもフォーデンに次いで2位の数字を残している。これは彼がボランチというよりも伝統的な攻撃的MFに近い役割を最近は果たしているということを示しているのだろう。また、ヘズスとアグエロが怪我で離脱しているため誰かが彼らの得点を埋める必要があったということも関係しているかもしれない。
注目選手: ケビン・デブライネ&フェルナンジーニョ
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上のセクションで見た通り、怪我人の影響もあって、ボール前進、アシスト、得点ほぼ全てにおいてのカギを握るのがこのデブライネだ。
だが一方で、私が思うに、シティ最高の選手はデブライネだが、この4年間でシティにとって最も重要な選手はフェルナンジーニョで、彼がアーセナル戦でどのようなタスクを任さされるかは興味深い。
18/19シーズンのフェルナンジーニョはとんでもない選手で、彼のおかげでペップは二人の攻撃的MFを起用することが出来たが、それ以来少しずつフェルナンジーニョの神通力は衰えてきているため、シティでのタスクも変わってきた。
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この年のフェルナンジーニョはリーグ優勝を達成した年のレスターやチェルシーの時のカンテを思い起こさせる。今季シティが4-2-3-1を起用しロドリとフェルナンジーニョのダブルボランチを採用することが多いのは、フェルナンジーニョ一人でアンカーを務めることが出来なくなってきているからだろう。
試合結果のシミュレーション
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シティが勝利する可能性は73%に対してアーセナルの勝利する可能性は12.5%で、あまり分が良いとはいえない。
ただ、今回のシミュレーションモデルはアーセナルが中盤の補強に成功したということを知らない。もちろんチームに溶け込む時間がほとんどない状態でパーティがいきなりメンバーに選ばれるか、何らかのインパクトを残せるかはわからない。
とはいえ、やはり客観的に見ると、アーセナルが2-3ゴール差で敗れることとなってもサプライズとは言えないのかもしれない。
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