今のアーセナルの中盤に最も必要なものは何なのか

分析Tim Stillman,海外記事

最近のサッカー界の話題は移籍市場の影響が強すぎて、この期間中はサッカーの試合がどんな選手を獲得するかを確かめるための90分のように扱われる、という本末転倒な事態になっている。

従って、アーセナルを取り巻くMF獲得の噂に対する熱狂も少し割り引いて考える必要があるが、それでも、やはりアーセナルは中盤の補強が絶対に必要なことは間違いないだろう。

個人的には、今季のアルテタのチームがトップ6レベルのチームで終わるか、トップ4を争えるチームになるかはこの補強が行われるかどうかにかかっていると思われる。

昨季マンチェスター・ユナイテッドも同じような状況にあったが、ブルーノ・フェルナンデスはペレイラとフレッジと比べて明らかな上位互換で、ほぼ独力でユナイテッドをトップ6チームからトップ3に押し上げた。

昨季の王者リバプールですらチアゴをチームに加えることでこのエリアを強化したくらいだ。ガナーズのエンジンルームに強化が必要なのは誰もが知る事実だ。

土曜日の試合でアーセナルに一点が必要な場面でアルテタはベンチからエルネニーを投入しようとしていた。

クラブも中盤の補強が必要なのはよくわかっているはずで、この夏のクラブの動きはセドリック・マリ・ウィリアン・ガブリエルとまず獲得難易度が高くない選手の獲得を決め、その後MFの獲得に全力を注ごう、というアプローチをとっているように見える。

とはいえ、アーセナルを即座に変えられるようなスター選手の獲得にはアーセナルはまず売却を行う必要があるというのは当初からわかっていることで、恐らくポジション的にはトレイラとゲンドゥージを放出する必要があるだろう。

さて、ではアーセナルは(少なくとも)一人は中盤に新たな選手を加える必要があるという点で意見が一致したとすると、アーセナルの中盤に最も必要なのはどのような選手なのだろうか。

もちろんカソルラ+ヴィエラ+ラムジー+全盛期のエジルをあわせたような選手が理想だが、そんな選手はどこにもいない。

アルテタは最近3-4-3を採用しており、これは3人の中盤がスタンダートとなっている時代に中盤に2人の選手しか起用できないということを意味する。

ジャカとセバージョスのペアは悪くないが、ワールドクラスとは言えない。ただ、彼らへの不満はどちらかというと2人のクオリティ自体というよりも、3人の中盤と比べてという点が大きいように感じる。

彼らは二人ともタイプは違えどディフェンシブサードからミドルサードへとボールを進めるのが非常に上手い。ジャカが主にパスでこれを行うのに対し、セバージョスはドリブルも用いる。そして、セバージョスのインターセプトとプレスは過少評価されている。

そして、彼が後ろ向きで自ボックス内でボールを受け相手を交わしてボールを前に進める能力ももっと評価されるべきだ。また、セバージョスは相手のプレスをいなすことも出来るので、自ボックスのすぐ外といった低い位置でボールを受けた際も安心だ。

だが問題は、ジャカとセバージョスの能力が最も生きるのは自陣からミドルサードにボールを進める際においてであり、ミドルサードからファイナルサードにボールを進める能力にはそこまで優れているわけではないということだ。

何度も言っていると思うが、近年のアーセナルにはファイナルサード侵入を助けることができるボールの運び屋が数えきれないほどいた。カソルラ、ウィルシャー、ロシツキー。イウォビやサンチェスもこれを手助けすることができた。

しかし、現在のアーセナルにはこのような前線と中盤をリンクできる選手が欠けている。3バック起用に伴って、本来3人目の中盤の選手が担当するこの役割を左のウイングバック(サカ、あるいはナイルズ)と、右のウィリアンあるいはトップのラカゼットがボールを繋いでいる際に後ろに落ちることで担おうとしている。

だが、ナイルズはそのまま前線に上がっていった際のファイナルボールを欠いているし、ウィリアンが中に入ると代わりに前線に上がっていくのはベジェリンだ。ラカゼットが下がれば彼はゴールに背を向けてプレイすることになる。

これらはどれもアーセナルを力強く前に進め、脅威となるとは言えない。アーセナルが低いブロックを敷く相手に苦戦する背景にはこれがあるに違いない。

エジルはピッチ上とは関係ない理由でチームを外れているが、どちらかというとアーセナルがその不在を痛感しているのはカソルラだろう。

ハーフターンでプレッシャー下でもボールを引き受け、攻撃のギアを入れることができるような選手だ。ある程度はセバージョスがこの役割をこなしているが、彼には定期的にそのままドリブルで相手のボックス手前まで運んでいくような芸当は出来ない。

もし今のアーセナルに若く、より怪我の少ないウィルシャーあるいはディアビのような選手がいたら、チームは完全に違ったものになるはずだ。

勘の良い読者なら気付いたかもしれないが、何行か前に私が今のアーセナルは3人目のMFの役割を分業制で担当していると書いた際に、意図的にサカの名前は外した。

何故なら、私は彼は分業ではなく、サカは素晴らしい左CMFとして花開くだけの全ての素質を備えていると思うからだ。

サカはオーバメヤン・ティアニーと連携して左サイドで数的優位を作り出すのにうってつけの人材で、同じようなことをブラジル代表がネイマール・マルセロ・コウチーニョのトライアングルで行っていた。

サカはボールを運ぶことも出来るし、同時にウエストハムを攻略する上で彼のオーバメヤンとセバージョスへのパスは欠かせなかった。

また、サカは昨季11アシストを記録しており、誰もが彼のチャンス創出力のポテンシャルは見て取ることができる。

その2本目のパスでは、セバージョスは中盤の持ち場を放棄することでウエストハム守備陣を出し抜くことに成功した。これは、アーロン・ラムジーが去って以降アーセナルの中盤に見られない動きだった。

だが、2人しか中盤がいない状態では、このようなプレイをセバージョスが出来るとしても、頻繁にこのようなことを行うことはできない。

仮にアルテタが私のサカはCMFが本職だという意見に賛同してくれるとしても、どちらにせよまだ市場での動きが必要なのは間違いない。

多くのアーセナルファンがオーバメヤンのフラム戦でのゴールがいかにコミュニティシールドでのゴールと似ていたかに注目したが、これは後ろから繋いで実現したものだった。どちらの場合もこのゴールに至る過程で中盤はバイパスされていた。

アーセナルがこのまま一シーズンずっと中盤を飛ばしたサッカーを行うのであれば、昨季と比べて劇的に得点力を改善できるとは思えない。現在のアーセナルは中盤のギャップが大きすぎ、サイドからの攻撃の組み立てに依存している。

アーセナルには3人目の中盤の選手となれるピースが必要だ。ジャカやセバージョスからパスを受け取り、前線の3人を見つけ出し彼らにボールを届けられる選手が。

それがフセム・アワールなのか、トーマス・パーティなのかはわからないが、これらのクオリティがチームに必要なのは間違いない。

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Posted by gern3137