新型コロナウイルスがアーセナルの経営に与える打撃 2020/2021シーズン編

分析財務

以前にも何度か紹介しているアーセナル・サポーターズ・トラストによるアーセナルの経営の分析の最新版が先日発表された。より新しい情報に基づいて、2020/2021シーズンの経営予測が掲載されているので、それを参考にしながら、COVID-19がアーセナルの経営に与える打撃について分析していこう。

まず、前提として、スタジアムの借金の借り換えのためのオーナーからのローンの利率が公開されていないこと、そしてCOVID-19の動向次第では今季の試合でどれくらいの観客動員が見込めるのか、商業収入の減少幅など、不確定/不明な要素が多くあるため、ある程度は推測に基づいているということは留意する必要がある。

以下が18/19シーズン、19/20シーズン、20/21シーズンのアーセナルの経営状況を表にしてまとめたものだ。

 収益(m£)18/1919/20(コロナ前の推定)19/20(実際・推定)20/21 予測
マッチデー収入96927720
放映権料183169136169
商業収入111146136136
ローン収入554
総計395412353325
支出(m£)
人件費235230219212
その他運営費86868676
移籍金償却費91110110110
施設等減価償却費15151515
総計428441430413
営業損益-32-29-77-88
選手売却益等12454540
債務返済等-12-12-12-35
Profit / (loss) before tax-32+4-44-83

マッチデー収入(≒チケット代)は当初2019/20シーズンは92m£を見込んでいたが、無観客試合への変更を受けて £77mへと減少した。また、これはシーズンチケット保持者へのカップ戦分の払い戻しも織り込み済みの数字となっている。

20/21シーズンも一応1/4程度のマッチデー収入が得られるとASTは試算していたが、先日スタジアムへのファンの復帰の延期が発表されたので、これすらも怪しくなっており、さらに減少する可能性がある。最悪の場合はこれがゼロに近い数字になることも覚悟しなくてはならないだろう。

ちなみに、この20mという数字が通常のマッチデー収入の1/4より低い数字となっているのは観客の人数を制限して行われる試合には追加で医療設備や警備費などもかさむこと見込まれるためだ。

19/20シーズンの放映権料は、コロナの影響もあるが、それよりもむしろEL早期敗退の影響でガクッと落ち込んでいる。ASTは、夏のプレシーズンツアー等が実施できないこともあり、スポンサー料も12%程度の減少を推定しているようだ。

ただ、逆にそれらの試合がない分運営費は多少少なくて済むだろう。とはいえ、給与や移籍金の償却費などはこれからの獲得と放出次第ではあるが、そこまで昨昨季・昨季・今季で大きな違いはないだろう。フロントと選手たちも給与削減分も11m程度の削減にしかなっていないので、全体の損失から見ると焼け石に水だ。

また、アーセナルがEL出場権を獲得したことで、選手の給与に関しては当初の12.5%の減額ではなく7.5%の減額にとどまることになった。(この5%分は翌シーズン分の給与に載せられる)

そして、支出に関して一番大きな変動があるのは利息等の支払いで、ASTはスタジアムの借金の借り換えの影響で21/22シーズン以降は毎年の支払額が7m£へと減少するものの、初年度に当たる2021年には35m£の支払いが行われるだろうと予測している。

借り換えに関して詳しくはこちら

ASTはアーセナルのキャッシュ事情に関しても分析を行っているが、これに関しては不確定要素と非公開の要素が多すぎるため、明確な予測を現時点で行うのは難しいようだ。

シーズンチケット更新分が全て無くなるわけではなく(2021年以降に持ち越される制度などがある)、多くの支出がある一方で、バークレイズ銀行とのオーバードラフト契約の活用や、借金の担保的に保持しておく必要があった36m£に手を付けることが出来るなど、複雑な要因が絡み合っており、実際に今アーセナルの手元に残っているのがいくらなのかを推測するのはほぼ不可能なので、これに関しては割愛したいと思う。

収支に関して総括すると、18/19シーズンに久々となる赤字を計上したアーセナルだが、昨季もそれは変わらず、今季も大幅な赤字は続き、3年あわせて150m£もの赤字となるだろう、との予測だ。

放映権料やスポンサー料に関してはもしかすると今回の想定を超えて減額される可能性も無きにしも非ずなので、今季に関しては、巨額の売却などが行われない限りは最良のケースで90m£程度の赤字、下手をするともっと多くの損失を計上する可能性がある。

もちろんアーセナルだけではないだろうが、やはりサッカークラブにとって非常に厳しい一年となることは間違いなさそうだ。

参考:

スポンサーリンク

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137