スタッツで振り返るアーセナルの19/20シーズン ft. polestarさん

分析スタッツ

昨日アーセナル・ラジオでゲストにpolestarさんをお迎えしてスタッツ面からアーセナルの激動の19/20シーズンを振り返ったわけですが、今回はそのスライドを流用させて頂いて、補足しながら振り返っていきたいと思います!

まず動画はこちら!個人的にはスタッツ的には相手を押し込んでいる場面が増えているわけではないのになぜアーセナルの攻撃は上手くいき始めたのか、という問いに関するpolestarさんの答えが全部『やっぱりオーバメヤンじゃないですか?』だったのが面白かったです笑

一年を通した成績

失点期待値、という言い方の方がわかりやすいかもしれません

今更言うまでもありませんが、昨季のアーセナルのリーグ順位は8位でした。ただし、得点期待値で見るとリーグ11位、失点期待値的にはリーグ10位ということで、単純に作り出したチャンスと相手に与えたチャンスを考えると、リーグ10-11位あたりが妥当という事になるので、いかにレノとマルティネスがシュートを止め、オーバメヤンがチャンスをきっちり決めていたかというのがわかります。

xG(ゴール期待値/得点期待値)とは?

過去のデータに基づいて、同じような位置、同じような状態から打たれたシュートがどれくらいの割合でゴールに繋がったかの指標。xGが0.1であれば、平均的な選手であれば10回に1度は得点につながるようなチャンス、ということになる。

ただし、相手のDFの状況などをどれくらい考慮するかなどの明確な定義はなく、xGは算出元次第で結構ばらつきがある。

失点期待値はその逆で、相手にどれだけの得点期待値を与えたかの数字。

また、下二枚の画像中では、赤がオープンプレイでの得点期待値、黄色(オレンジ?)がセットプレーでの得点期待値となっているのですが、興味深いのは、セットプレーでの得点期待値はあまりリーグ順位と相関関係がないように見えるのとは対照的に、セットプレーからの失点期待値はリバプールとシティが非常に少ないという点でしょうか。

セットプレーからの得点はリーグ上位に立つ上で必要条件ではないが、セットプレーで安易に失点しないことはより重要である、という感じでしょうか。

アーセナルはセットプレーからの得点・失点期待値共にかなり悪い数字ですね。アルテタがブレントフォードのセットプレー指導を専門とするコーチをスタッフに加えた、とオーンスティン氏が報じていましたが、やはりこの点は監督も重々承知、ということなのでしょう。

エメリからアルテタに監督が代わり、変わった点

特に顕著なのは平均失点ですが、やはりアルテタに監督交代後、チームの成績は全体的に改善傾向にあります。ただし、プレーエリアのスタッツには特にそれは現れておらず、むしろアルテタ監督就任後、全体のボールタッチ数、ファイナルサードでのタッチ数とファイナルサードへのパス数全てが減少しています。

したがって、アルテタ体制になり、アーセナルがガンガン相手を押し込めるようになった、というわけではないですね。むしろ、じっくりつなぐというイメージに反して、よりダイレクトで縦に速い攻撃が増えた、という見方が出来るかもしれません。

ただ、ファイナルサードというのはあくまでピッチの1/3なので、あれほど攻めあぐねていた印象があったエメリアーセナルの方がファイナルサードでボールを持てた回数が多いということは、ファイナルサードの自陣寄りの部分、ペナルティエリアの手前あたりでボールを持てても、その先がなければ全くチャンスにはつながらないという事が表れているのかもしれません。

アルテタの秘策 3バックの効果は

ここまでは、スタッツ的にはアルテタに監督が代わってから何が良くなったのかよくわからん!という感じになっていますが、今年は非常にイレギュラーなシーズンでアルテタ体制の途中にシーズンオフのような中断期間を挟んでおり、しかもその直後にアルテタはシステムの変更を行っています。

なので、これについてより詳しく見ていきましょう。

中断前と中断後、という区切りではそこまで違いは見られませんが、4バックと3バック、という区切りで見ると、3バック(というか試合中はティアニーがサイドバックのようになって4バックも併用するような形も多かったですが)移行後は、圧倒的に成績が良いのがわかります。

ただし、興味深いのはやはり中盤を一人減らして追加のCBを起用しているため、ボールタッチ数やパス数は軒並み減少しており、チームのプレイエリアも中盤が少し減り、後ろが少し増えています。

また、全体のパス数も大きく減少していますね。比較してみると、エメリ時代とアルテタの4バック時はボールタッチ数は647と645で変化がないものの、3バックになってからは大きく減少しているのがわかります。

また、平均勝ち点もこれとほぼ対応しており、エメリ時代は1.38に対し、アルテタ4バックは1.42と大差ないながら、3バック移行後は2と大きく上昇しています。

ボールタッチ数が大いに減ったにもかかわらず、結果が良くなっているのは面白い点です。また、4バックから3バックに移行後xGが大きく上昇していますね。

まとめ

如何だったでしょうか。今回のスタッツを見た限りではアルテタ体制の成功の要因まではなかなか見えづらい、という感じではありましたが、シーズン終盤にかけて明らかに成績が良くなってきているのは非常にポジティブな点で、ここに新戦力を加えたアルテタアーセナル今季どこまでやれるかに期待したいです。

3バックにして結果が出ているので、これをそのまま継続するのか、あるいはガブリエル(発表はまだですが)とサリバという守備範囲が広そうなCBを獲ったことで4バックに再びシフトするのかも興味深いですね。

配信ではこのほかにもCBの比較やセバージョスの守備の改善、ガブリエルやウィリアンのスタッツに関してなども話しましたので、もしよかったら動画をご覧ください!

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137